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ノーリードの危険性 ノーリードの犬に遭遇した体験談|連載・西川文二の「犬ってホントは」vol.154
苦情が寄せられ、行政も困惑しているノーリード。「本当はよくないとわかっているのだから、ノーリードとは決別しよう」と西川先生が話します。ノーリードの犬に危険な思いをしたこともある先生が、そのときの体験を語ります(編集部)。
私が依頼を受けてしつけ相談会を行っている行政への苦情です。
私が相談会を頼まれている行政の管轄内には多摩川があります。ノーリードの苦情が増えているのは、どうやらその多摩川の河川敷での話が主なようです。
犬が元気よく走っている姿を見ているのは、元気に遊んでいる幼いわがコを見ているようで、楽しいものです。
また、そうした姿を見たいという気持ちもわかります。
プロのインストラクターとして活動を始めて23年経つわけですが、インストラクターになるための勉強を始める前は、私も一般の飼い主と同じでした。
私も公園や河原で、時として犬をリードから離していました。
でも犬のこと、犬を取り巻く社会、犬との共生とはなど、いろいろと学ぶなかで、考えを改めていくことになります。
いけないのは承知の上
条例のことを知らなくとも、何かしらの法を犯していることを、リードを離している飼い主はわかっている。
なぜなら、例えば公園などでは管理事務所の人らしき人が来たら、すぐにリードをつけるから。
わかってはいるけど、やっているということです。
東京都でいえば、「東京都動物の愛護及び管理に関する条例」の第9条に触れることになり、罰則もあります(第40条)
ただノーリードという理由で、罰則を受けたという話は聞いたことがない。だから、「まっいいか」とやってしまう。インストラクターになるための勉強を始め多くを学ぶ前までの私もそんな感じでした。
でも捕まらなくとも、ノーリードが元での事故やトラブルはたくさんある。
他犬と走り回り興奮して公園から飛び出してしまい結果事故に見舞われた事例、犬嫌いの人に向かって走って行きトラブルになった事例、犬同士のケンカが始まる事例、などなど……。
犬のことを学ぶなかでこうした事例をたくさん知ることとなり、私はノーリードとは決別をした次第です。
「うちのコ大丈夫ですから」
ノーリードの犬がこちらに向かって公園内の垣根の合間からダッシュしてくるのです。それもドーベルマンが、です。
これはまずいな、とそれこそ体に力が入り、一瞬恐怖すら感じました。
幸いドーベルマンは、私たちの手前2mほど離れた位置で止まり、事なきを得ました。
垣根の向こう側にはちょっとしたスペースがあり、どうやらそのスペースで犬連れ数組が、ノーリードで犬を遊ばせていたようです。
「リードから離さないでください!」
ドーベルマンの後を追ってきた飼い主らしき相手に、私は強い口調で注意しました。
それに対して返ってきた言葉は
「あの〜大丈夫ですから〜うちのコ」
犬の犬歯は、ある意味使い方によっては武器にさえなるナイフのようなもの。
そこそこ成長しているわがコがナイフをちらつかせて、他者に向かって走って行く。
それに対して「大丈夫ですからうちのコは」はないものです。
多くの人の楽しみを奪うのは、一部の人の行為
バーベキューにやって来る人たちの目に余る行為には、近隣住民たちは眉をしかめます。やがてそれはクレームとなり行政に届く。
行政側はまずは、そうした迷惑行為をしないようにという看板を立てる。でも、一向に改善されない。であれば、禁じてしまおう。そうすれば、クレームは収まる。
迷惑行為を行うのは一部の人たちかもしれません。でも、その一部の人たちのせいで多くの人たちが、とばっちりを受ける。
しつこいようですが、ノーリードはNGなのです。
近い将来、多摩川のどこからどこまでは、犬の散歩を禁ずる、なんてことが冗談ではなく起きるやもしれません。バーベキューが禁止になったようにです。
多摩川の話に限りません、犬連れで行ける場所を狭めたくないのであれば、飼い主はルールを守ることです。
しつこいようですが……
「おいおいノーリードの話はまずまずわかった。その先、苦情トップ3の残り、排泄物の話は?」
ですよね、それは今回も、次回に持ち越しということで。
西川文二氏 プロフィール
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