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犬のウンチの放置がなくならないのは、夜間の伸びるリードの散歩が原因!?|連載・西川文二の「犬ってホントは」vol.155
今回は、昔から苦情の対象になりやすい、犬の排泄物の処理、とくにウンチの放置に関するお話。ウンチの放置が絶えない理由を、西川先生が分析します(編集部)。
今回は第3弾、排泄の問題です。
トップの犬の吠え声と2番目のノーリードが増加傾向にあるのと違い、排泄の問題は増えてはいません。
ただ、古くから根強く存在し未だ3番目というのは事実です(当コラム(Vol.62)参照)。
さて排泄といっても2種類あります。小さい方と、大きい方。
小さい方の方に関する話題は、過去コラム(Vol.121)で取り上げていますので、そちらをご覧いただくとして、今回は大きい方に関するお話をしていきましょう。
大きい方の苦情は、なんといってもその放置です。
トレーニング次第でどうなるという話でもなく、飼い主のモラルの問題。つまるところは飼い主への啓発を続けるしかない。
とはいえ家庭犬しつけインストラクターの視点から、アドバイスできることがないこともないわけでして……。
「処理袋を持っていますか?」
犬と飼い主とが良き市民の一員と認められるか、を見るテストです。
日本では優良家庭犬普及協会が実施しています。
テストは、社会化およびオスワリ、フセ、それぞれのマテ、オイデ、リードをゆるませてのお散歩、クレートでの待機などができていないと、クリアできない15項目で構成されています。
見出しの「処理袋を持っていますか?」は、実は日本におけるCGCTテストの、最初のテスト項目なのです。
トレーニングに関係するわけではないのですが、あえてそうした項目を入れているのは、犬と飼い主とが良き市民の一員と認められるためには、「処理袋」は欠かせないからです。
その場ですぐに出せないと不合格になってしまいます(CGCTテストは15項目どれかひとつでもクリアできないと不合格になる)。
「あ、家に置いてきた」などといったうっかりがないようにと、テスト項目に入っているわけです。
処理袋は持ってはいるが、どこに排泄物があるかわからない
その道は、毎日のように朝になると大きい方が残されていました。
日中は、新たに残される大きい方はありません。飼い主は、処理袋を持ってはいるが、夜は排泄物が夜目に紛れてしまって処理しきない、そういうことではないかと想像したものです。
しかしその想像は、あながち間違いではありませんでした。その道沿いに住宅が立ち並び、街路灯の数も増えると、朝方大きい方が残っていることが、なくなったのです。
処理袋は持っていても、排泄物の場所を特定できなければ、回収は不可能です。
たとえば伸びるリードでのお散歩。排泄に気づいて「この辺りでやったはず」と探しても、薄暗い光のなかでは肝心の大きい方は見つけられない結果となりやすい。
そもそも薄暗くなくても(明るくても)、草むらなら見つけられないかもしれません。ノーリードの場合は排泄したことすら気づかなかったりもするでしょう。
こうした点からも、ノーリード、伸びるリードでのお散歩はNGということなのです。
モラル向上が絶望的なら
大きい方の放置が飼い主のモラルに頼らざるを得ないのは、たとえ罰則があったとしても、飼い主を特定できないからでもあります。
でも、改善策がないことはありません。大きい方をした犬が特定でき、その犬からさらに飼い主を特定できればいいわけです。
今年の6月以降、販売される犬にはマイクロチップの装着が義務づけられました。そこに犬のDNA情報を紐づけする。販売時にマイクロチップの装着のみならずDNA検査も義務づけすればいい、、そう私は思う次第です。
大きい方からDNAはわかる、DNAがわかれば飼い主がわかる。
法改正も、予算も必要。さらにはすべての犬にマイクロチップが装着されるまでにはまだまだ時間がかかるので、現時点ではそうなればいいな的な話にすぎないかもしれません。でも可能性はゼロではない。
現実に話を戻しましょう。
排泄物の問題も前回のノーリードの話同様、犬連れで入れる場所を少なくしている大きな要因です。犬連れで行ける場所を少なくしたくないのであれば、大きい方の回収は必ず行うことです。
散歩は処理袋を携行し、伸びるリードは使用せず、日が落ちたら草むらは避ける。
もっとも、このコラムを読んで欲しい相手ほど、このコラムを読んでいなかったりするわけでして、まぁなんともじれったい話ではありますが。
西川文二氏 プロフィール
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