少し前に
お知らせしたようにこの連載が本になるのですが、ようやく完成しました。昨年、秋から加筆修正していたんですが、思っていたより時間がかかってしまいました。なぜそんなに大変だったのか。それにはいくつか理由がありまして。
いろいろ削る編集作業
まず、この連載は毎回だいたい800文字くらいなんですね。それを書籍にしようとすると、ものすごくブツ切れになるんです。見開きごとに違う話でスカスカな印象になるという。しかも、振り返ったりもしているので、重複も出てくる。だから連載原稿そのままではいかん、ということで書き足したり、いくつかをまとめたり、重複箇所を削ったり。
もうひとつが、同じく連載をまとめた前作『また、犬と暮らして。』を出してから約3年経っているわけですが、今回の本で初めて知る人もいるかもしれない。そう考えると、これまでの大まかな経緯も書いておかないといけない。というわけで、また書き足したり。
そして最後に、縦書きだと燃えるんです。別に横書きとかウェブ連載は手を抜いているわけではないんですが(ブログは手を抜きまくりだけど)、読む人のスタンスも違うと思うわけです。たとえばそこのあなたのように、スマホで何気なく読んでいたり。
そんなときに、いきなり熱く語られても困るじゃないですか。扉を開けた瞬間に中から速球が飛んでくるようなもので。だからウェブ連載などは、ひょいと軽く投げるように意識しているんです。だから手は抜いてませんが、力は抜いてます。
けれど本を読む場合は「さて、読むか」と心の準備ができていると思うんです。しかもお金を払って買ってくれているわけですから、こちらも襟を正してしっかり書かなければ、という意識に変わるんです。それでものすごく時間がかかってしまいました。
と、ここまで手の内を書いたことを若干後悔しています。むだにハードルをあげてしまったんじゃないだろうかと。そんなに熱くも語ってないし。でもまぁ、そういうスタンスで加筆修正したのは本当です。期待外れだったら、ごめんなさいよ。
そして、なんとか発売日はあの人の誕生日2月22日に間に合いました。とはいえ、出荷が21日ころなので、書店に並ぶのは今週あたりになると思います。タイトルは『犬の笑顔が見たいから』です。ぜひ読んで見てくださいね。
プロフィール
穴澤 賢(あなざわ まさる)
1971年大阪生まれ。2005年、愛犬との日常をつづったブログ「富士丸な日々」が話題となり、その後エッセイやコラムを執筆するようになる。著書に『ひとりと一匹』(小学館文庫)、自ら選曲したコンピレーションアルバムとエッセイをまとめたCDブック『Another Side Of Music』(ワーナーミュージック・ジャパン)、愛犬の死から一年後の心境を語った『またね、富士丸。』(世界文化社)、本連載をまとめた『また、犬と暮らして』(世界文化社)などがある。2015年、長年犬と暮らした経験から
「DeLoreans」というブランドを立ち上げる。
ブログ「Another Days」
ツイッター
インスタグラム
大吉(2011年8月17日生まれ・オス)
茨城県で放し飼いの白い犬(父)とある家庭の茶色い犬(母)の間に生まれる。飼い主募集サイトを経て穴澤家へ。敬語を話す小学生のように妙に大人びた性格。雷と花火と暴走族が苦手。せっかく海の近くに引っ越したのに、海も砂浜もそんなに好きではないもよう。
福助(2014年1月11日生まれ・オス)
千葉県の施設から保護団体を経て穴澤家へ。捕獲されたときのトラウマから当初は人間を怖がり逃げまどっていたが、約2カ月ほどでただの破壊王へ。ついでにデブになる。運動神経はかなりいいので、家では「動けるデブ」と呼ばれている。