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犬が子どもにもたらす効用|連載・西川文二の「犬ってホントは」vol.50
今回は、犬と子どもに関するお話。子ども時代に犬を飼うと情操教育にいいといわれますが、実際はどうなのでしょうか? ホントのところと、注意点を西川先生がしっかり解説します(編集部)
なかには子どもにせがまれて、という人も少なくないのでしょう。
先日私のパートナー(人間のです。要はカミさん)から、「見た目小学校低学年の子がひとりで犬の散歩をしていた。危ないと感じたけど、子どもに注意するのもなんだし、どうすればいいかわからなかった」という、話を聞きました。
親らしき存在はそばにいなかったようで……、「まぁたとえ親がいても注意をすると逆ギレされるかもしれないから、何もできないんじゃないかな」という意見を返した次第です。
私が子どものころから、ペットを飼うことは情操教育にいいなどといわれていました。犬を飼うことは子どもたちにいい影響をたくさんもたらしますが、事故などに対する注意は必要です。
そこで今回は、小さな子どもと犬との関係についてお話しましょう。
犬を飼う効用
昔はよく耳にしたものですが、情操とは「美しいものや尊いものなどに接したときに感じる感情、情緒」のこと。
ペットは子どもの情緒を安定させ、知的能力や社会的なスキルを上昇させる可能性がある。今ではそうしたことがAAE(アニマル・アシステッド・エデュケーション/動物介在教育)の研究などにより、わかっています。
ペットは子どもたちが大人へと成長する過程で死を迎えていきます。ペットたちは、死というものの実態をも子どもたちに身をもって教えてくれる。それは、命の尊さ、儚さ、愛しさを、子どもたちに教えてくれることに他なりません。
なかでも犬は、家族のようにどこにでも一緒に連れて行ける。それだけ、子どもたちと接している時間は長くなる。結果、子どもたちにもたらす効用は大きいといえるでしょう。
犬を子ども任せにはしてはいけない
リビングで一緒に生活し、どこにでも一緒に連れていき、楽しい時間を共有する家族のような存在、コンパニオン・ドッグに育てたいのならそのための教育(しつけ)が不可欠です。
その教育係(お散歩も含みます)の重責を、8〜10歳以下の子どもたち、犬でいえば社会化を終えていない子どもたちに、決して負わせるべきではありません。
幼い子どもの教育を幼い子どもに任せられないのと同じです。
その責務に応えられるのは、早くても第二次性徴期以降(中学生以降)となります。
犬とのふれあいは大人の管理下で
「持たせて持たせて!」としつこく駄々をこねられ、つい根負けして子どもにリードを渡してしまう。結果、犬に引っ張られ子どもが交通事故に、リードを離し犬が交通事故に、犬が他人を噛むといった事故が、実際にいくつもあるのです。
こうした事故を防ぐには、リードを2本つけ、1本を子どもに持たせ、もう1本を飼い主がしっかりと持つことです。
「抱かせて抱かせて!」と駄々をこねるのも常です。最初はおとなしく抱かれていても、「他の犬が近づく」、「猫を発見する」、などで犬が興奮、子どもの腕の中で暴れ、結果、犬は腕からすり抜け地面に落ち、ケガをする。子どもの手からすり抜けた犬が、その子の目の前で車に轢かれ亡くなるという事故も、過去にありました。
子どもに犬を抱かせるのなら犬にリードをつけ、飼い主は首輪に近いリードの部分をしっかりと持つことです。それだけで万が一の事故は防げます。
ちょっとした注意を怠った結果、事故が起き、子どもの心に大きな傷が残ってしまう。それでは情操教育どころの話ではありません。
あららら、話は途中なのですが、文字数の限界がそろそろ。この続きは次回にということで。
次回は、小さな子どもと犬との遊びについてお話しします。
写真/Can ! Do ! Pet Dog School提供
https://cando4115.com/index.html
西川文二氏 プロフィール
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