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セラピードッグに会ってきました【いぬねこボランティア部活動報告】

高齢者や病気の人の心と体に寄り添うセラピードッグ

セラピードッグとして訓練中のルーシー(推定1才)と、(一財)国際セラピードッグ協会代表の大木トオルさん
「セラピードッグ」とは、高齢者や患者さんの心身の状態と向き合い、リハビリに寄り添い、対象となる方々の症状に合わせた治療のケアをしている犬のこと。全国の高齢者施設や病院以外にも、児童施設、教育現場、被災地への訪問など、幅広く活動しています。

今回、いぬねこボランティア部は、セラピードッグを育成している音楽家で「(一財)国際セラピードッグ協会」代表の大木トオルさんにお話を伺いに行ってきました。

日本初の認定セラピードッグ「名犬チロリ」

名犬チロリ(2006年3月16日乳がんのため永眠・推定16歳)
日本初の第一号認定セラピードッグはミックスのメス犬「チロリ」。チロリは、生んだばかりの子犬5頭と共にゴミ捨て場に捨てられていたそうです。子犬たちはなんとか新しい家族が見つかったものの、チロリの貰い手だけはどうしても見つからず殺処分寸前だったところを大木さんに救助されました。
通常では2年半かかるセラピードッグ訓練カリキュラムを、チロリは、なんとわずか半年でクリアし、日本初第一号認定セラピードッグに。チロリは、AAT(動物介在療法)の礎を築き、その功績が認められ国などから30以上の表彰状、感謝状を授与されたそうです。

セラピードッグの訓練中の様子

杖使用の患者さんとの歩行を想定した訓練(ケインウォーク)。ハンドラーさんの左側で距離を保ちながらペースを合わせるセラピードッグたち
チロリがセラピードッグとして活躍して以降、協会では、多くのセラピードッグの育成をしています。
当日は、3頭のセラピードッグとハンドラーさん(※セラピードッグに指示を与える人)による訓練を見学させていただきました。

高齢者や病気やケガで障がいが出た方のリハビリに寄り添うことを想定して、セラピードッグは人の足に触れない程度の距離を保ちながら、人の左側で、人の速さや歩き方に合わせて歩きます。
ハンドラーさんが、普通の速さ、速足、駆け足、ゆっくり、杖使用の歩行、障害物がある場合の歩行、車いすとの歩行など、様々なシーンを想定した歩行を行いますが、ハンドラーさんの指示により、即座に反応して歩くスピードを変えていくセラピードッグたち。その対応力と柔軟性に驚かされました。

殺処分寸前の犬や被災犬が、セラピードッグに

セラピードッグのライム(推定8才)
驚くべきは、「素質のある優秀な犬」をセラピードッグとして選んでいるわけではないということ。セラピードッグたちは、殺処分寸前であったり、被災犬であったりする犬であるため、ほぼ大半が雑種でした。小型犬から大型犬まで、多種多様な犬たちがセラピードッグとして活躍していました。
犬たちは、心身の健康を回復した後、2年以上かけて45を超える教育カリキュラムをマスターし、各施設での実習を十分に重ねた後に、セラピードッグとして認定されます。
犬種や年齢は問わず、体に障がいがあっても克服して活躍している犬たちもいるそうです。育成までの時間に差はあれど、途中でセラピードッグになれなかったという犬はまだ1頭もいないそうです。

セラピードッグにとっての何よりのごほうびは「ほめられる」こと

訓練後の「ごほうびタイム」でおなかを見せて喜ぶセラピードッグ
当日の訓練中も、ハンドラーさんの指示に的確に従っていたセラピードッグたち。訓練終了後の「ごほうびタイム」は、ちょっと意外な光景でした。

犬のしつけとしては、何かできたらごほうびとしておやつなどの食べ物を与えることが一般的ですが、セラピードッグにとってのごほうびは「思いっきりほめられる」こと。

セラピードッグは、高齢者や病気の方を助けるための存在なので、食べ物ではなくほめることを喜びと感じるようにトレーニングをするそうです。
伺った当日も、トレーニング中はとても静かで一生懸命な犬たちが、終了後、ハンドラーさんにたくさんほめられて大はしゃぎしていて、訓練中とはまるで別のコのようでした。
実際の活動現場でも、訪問先の患者さんからほめられることを喜びと感じることができるからこそ、セラピードッグとして活躍できるのですね。
トレーニング中のセラピードッグ・JB(推定8才)。被災地福島から救済した犬です
ハンドラーさんは協会に所属するプロとして、さまざまな知識を長い期間かけて学ばれている方たちでした。いぬねこボランティア部の部員は、もちろんそのような知識はもっておらず、今すぐ何かお手伝いできることは残念ながらありませんでしたが、人と一緒に暮らせない犬や猫を1匹でも多く減らすために、まずセラピードッグのような、新たな活躍の場を得ている存在をできるだけ多くの方に知っていただくことや、わたしたちにできる活動を見極めていきたいと引き続き考えていきたいと思っています。

次回は、セラピードッグたちの実際の活躍している様子についてご報告します。この記事をご覧になった皆様の感想もよかったらお聞かせください。
文/いぬねこボランティア部 担当K

いぬねこボランティア部の活動報告はこちら

国際セラピードッグ協会

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