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【獣医師監修】犬の骨折の症状と治療法、手術やリハビリケアについて解説

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犬の骨にヒビが入ったり折れることを「骨折」といい、犬の骨折の治療には、ギプス固定やプレート、ピンなどを使った外科手術が行われます。この記事では、愛犬が歩けなくなった、痛がるといった骨折の疑いがある場合の対処方法や手術後に犬を安静にさせる方法、リハビリについて専門医の獣医師が解説します。

この記事の監修

今井 巡 先生

 獣医師
 相模原プリモ動物医療センター第2病院院長

 日本大学生物資源科学部獣医学科卒業

●資格:獣医師

●所属:日本大学動物病院整形外科専科
手術実績:664件(2017年医療センター実績)
手術実施症例:各種骨折症例、頸部椎間板ヘルニア(ベントラルスロット)、腰部椎間板ヘルニア、椎体固定他

●主な診療科目:一般診療(外科・内科)、整形外科、神経外科

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犬が骨折する原因

【獣医師監修】犬の骨折の症状と治療法、手術やリハビリケアについて解説 いぬのきもち
didesign021/gettyimages

犬の骨折はさまざまな原因で起こります。主な原因をみていきましょう。

怪我や事故によるトラブル

犬の骨折は、室内での階段からの転落、ソファなどの家具からの飛び降り、抱っこ中での落下、転倒、室内ドアでの挟まり事故、屋外での交通事故、他にも飼い主さんが踏んでしまったなど、思わぬトラブルが原因で起こりやすい疾患です。

骨が折れやすい状態だった

犬の骨折は、さまざまな理由で起こります。中でも、まだ骨がしっかり形成されていない子犬や骨がもろくなった老犬、骨自体が細いトイ・プードルなどの小型犬や超小型犬は、わずかな力が加わっただけでも骨折しやすいといわれています。

犬の骨折と捻挫、脱臼の違いは?

犬の骨や関節にかかわるトラブルには骨折の他にも捻挫、脱臼などが挙げられます。それぞれの状態をみていくと、骨折は、骨あるいは軟骨の連続性が完全あるいは不完全に破壊された状態のことで、骨そのものの形が変わってしまっていることをいいます。

捻挫は、骨と骨の間にある関節を支えている靭帯や関節包などの軟部組織、軟骨が損傷した状態で、骨以外の部分の異常を指します。

脱臼は、関節を構成する骨同士の位置関係がずれてしまう状態のことをいいます。

それぞれの状態によって治療方法は異なるため、動物病院での正しい治療が必要です。

犬の骨折が起こりやすい場所

トンナーラ
kukai/gettyimages

犬の骨折は、以前は外で飼育されている環境が多かったことから、交通事故による後肢(大腿骨)の骨折が多い傾向がみられていました。

しかし、最近では室内で飼育されている小型犬が多くなり、高いところからの落下や飛び降りた際の前肢(橈骨尺骨)の骨折が多い傾向があります。

犬の骨折の症状

犬が骨折をしたとき、急に高い声で痛がって鳴く、歩けなくなる、足を地面につけなくなる、歩き方に変化が出る、腫れる、熱が出る、全く動かなくなる、体に触ろうとすると怒るといった症状がみられるケースもありますが、折れ方や折れた場所によっては触っても痛がらないケースや歩けるケースもあります。

このため、愛犬が歩けるか歩けないかで判断するのではなく、骨折の疑いがある場合は、まず動物病院を受診することが大切です。

骨折の疑いがある際の救急対応

犬の動物病院
Chalabala/gettyimages

愛犬に骨折の疑いがみられる場合は、まずは落ち着いて動物病院に搬送しましょう。ここでは骨折の救急対応についてお話しします。

安静にさせる

骨が折れて体に激痛が走った愛犬は、何が起きたかわからずに突然鳴き叫ぶかもしれません。しかし、だからといって慌てて抱きかかえようとすると骨折部位に不用意に触れてしまったり、パニックになった愛犬が人を噛んでしまうこともあります。

このため、犬の骨折が疑われる場合、まずはケージやキャリーにそっと入れて犬が落ち着くのを待ちましょう。

愛犬を落ち着かせている間に、かかりつけの動物病院に電話をして状況を説明し、なるべく体を動かさないようにキャリーに入れたまま動物病院へ連れて行くことが大切です。

犬が歩けない場合(犬をキャリーに入れることができない場合)

骨折の疑いがある犬が中型犬~大型犬で、キャリーやケージに入れて運ぶことができない場合は、大きいバスタオルか毛布を犬の体の下に敷き、2人以上でタオルの端を持つなど、担架のようにして運びましょう。

このとき、骨折部位をなるべく動かさないように、犬が痛みを感じている側を上にして、骨折をしている部分に体重がかからないように注意してください。

犬の骨折の検査と診断

かわいい犬は、ケアを探して、女性の人にその足を与えます
SERCAN ERTÜRK/gettyimages

犬の骨に骨折の疑いがある場合は、動物病院で検査と診断が行われます。

レントゲン検査と処置

まず最初に、動物病院で全身の触診とレントゲン検査が行われます。レントゲン画像で骨にヒビが入っていたり、折れている箇所と状態を確認してから治療方法が検討されます。

また、骨の折れ方や部位によっては特殊な手術が必要で、かかりつけ医が対応できないという場合も考えられます。こういった場合では、骨折部位が動かないように処置を施してから(不動化)、緊急対応が可能な動物病院に搬送するケースもあります。

犬の骨折の種類と治療

雌動物を整える手術医に犬
monkeybusinessimages/gettyimages

犬の骨折の種類としては、

  • 若木骨折(骨の一部に亀裂が入って曲がるものの完全に折れていない骨折で、まだ骨に弾力性のある幼齢犬猫に起こる)

  • 亀裂骨折(骨に亀裂やヒビが入った状態の骨折)

  • 剥離骨折(靭帯や筋肉、腱が急激に収縮することに伴って、骨がはがれ落ちてしまう骨折)

  • 開放骨折(骨折した際に皮膚が破れて骨が外に露出する状態で、雑菌による感染症を引き起こすリスクが懸念される)

  • 横骨折(骨の短軸に対して30度未満の角度で骨を横断する骨折で、棒を折る様に折れる)

  • 斜骨折(骨の短軸に対して30度以上の角度で骨を横断する骨折で、変形につながりやすい)

  • らせん骨折(骨折線が骨の長軸に対して螺旋状になっている状態で、治療がしにくい症状であるケースが多い)

  • 粉砕骨折/複雑骨折(骨が粉々に砕けた状態で、それぞれの骨折線は互いに連続することはない、また外見が変形することもある)

  • 病的骨折(骨にできるがんなどにより骨が弱くなり起こる骨折)

  • 圧迫骨折(骨の一部が圧迫されて起こる骨折)

などがありますが、骨折の種類や程度によって治療法は異なります。

骨折治療は、骨折が起こってからできるだけ速やかにはじめることが大切です。

犬が骨折をした場合、何も治療を行わないと、骨がくっつかなくなりぶらぶらしたままの状態になったり(偽関節)、痛みや跛行などの後遺症が出たり、曲がったまま骨がくっついてしまう(変形癒合)などのリスクが生じることがあります。

このため、一見軽症ですぐに治りそうな骨折であっても、ギプス固定や外科手術での適切な治療を受けることをおすすめします。

ギプス固定

犬が骨折をしても、症状が軽く安静に過ごすことができる場合は、手術をしないで外側からギプスのみで固定する「ギプス固定法(副子固定法)」があります。(※副子とは添え木のことをいいます。)

手術

犬が骨折をしたとき、骨を正しい位置で整復し、癒合させるためには外科手術が行われることが多いです。

手術では、ステンレスやチタンなどのプレートを入れてスクリューで固定する「プレート固定法」や皮膚の上からピンを挿入して固定する「創外固定法」、骨髄にピンを挿入して固定する「髄内ピン法」などがあります。

プレート固定法は再手術を行うこともある

骨折の治療でプレート固定法の手術をした場合、スクリューやプレートを抜去するための再手術を行う場合があります。

この理由として、プレートは骨折しているときは負重に耐えたり、骨折部を安定化させるために重要な役割を担いますが、骨折が治って骨がくっついた後は、負荷がプレートばかりにかかって骨に負荷がかからなくなると骨が細くなってくるため、再度骨折してしまうリスクが生じることがあるからです。

ただし、必ずしもプレートやスクリューが悪さをするわけではありませんが、判断のためには術後しばらくの間は定期的なチェックが必要になります。

ホームケアとリハビリ

白いカーペットの上のジャック ラッセルの子犬
Smitt/gettyimages

骨折後は家での過ごし方にも注意が必要です。愛犬の手術後やギプス期間中の過ごし方とリハビリについてもみていきましょう。

食事やトイレ、散歩での注意点

愛犬の骨折の治療中は、犬が動き回ってしまうことで、再び骨折してしまったり、ギプスがずれるといったトラブルが起こることもあります。早く治すためにも、飼い主さんは散歩などを控えて、犬を興奮させないように安静に過ごさせることを心がけましょう。お散歩は、獣医師の指示が出てから行います。

また、ギプスやテーピングを噛まないようにエリザベスカラーを使用したり、犬の動きを制限して落ち着いて過ごさせるために、獣医師の指示に従いながらケージの中で過ごさせるケージレストが行われることがあります。

食事は、犬が無理な体勢にならないように食事台を設置したり、食べやすいものを与えるとよいでしょう。

トイレは、できるだけ床が滑らないように環境を整えたり、体を支えてあげるケアが必要になる場合もあります。ギプスなどでトイレの体勢が作れないような場合は、おむつの使用も検討してあげましょう。

リハビリテーション

骨折後に骨がくっついても歩かない場合や筋肉が萎縮したり関節の可動域が制限されている場合は、リハビリが適応になります。

また、疼痛が強い場合や熱感がある場合は、手術部を保冷剤(コールドパック)などで冷やしたり、関節の可動域が制限されている場合はホットパックなどで温めたり、ストレッチングをするなどして歩行の改善を促します。

特に手術後は再度骨折してしまうリスクもあるため、リハビリはかかりつけの獣医師の指示に従って行ってください。

犬の骨折予防

小さな犬が床のじゅうたんの上に立っています。家の中の犬
V&G Studio/gettyimages

犬の骨折は室内で起こることが多いです。思わぬケガにつながらないためにも、高いところに登らせたりジャンプをさせない、室内の床が滑らないようにする、高いところで抱き上げる習慣を止める、正しい食事管理を行うなど、日常生活の生活習慣を整えることが大切です。

また、交通事故を防ぐためにも、お散歩中はリードを短く持って歩いたり「マテ」などの基本的なしつけを行い、飼い主さんの指示に従うようにすることも大事です。

監修/今井巡先生(相模原プリモ動物医療センター第2病院院長)
文/maki
※一部写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。

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