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【獣医師監修】犬のパテラ(膝蓋骨脱臼)の症状や治療法とグレードを解説

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膝蓋骨脱臼は、後ろ足の膝のお皿の骨が内側や外側にずれて起こる脱臼です。「パテラ」といわれることもありますが、パテラは膝蓋骨というお皿の骨の名称で、厳密には病気の名前ではありません。

小型犬の膝蓋骨脱臼の場合、膝蓋骨が内側にずれる「内方脱臼」を起こすことが多いとされていますが、外方脱臼を起こすこともあります。この記事では、主に膝蓋骨内方脱臼について獣医師が解説します。

この記事の監修

草場 宏之 先生

 獣医師
 横浜戸塚プリモ動物病院院長

 日本大学生物資源科学部獣医学科卒業

●資格:獣医師/東京医科歯科大学医歯学総合研究科 研修生終了

●所属:日本獣医麻酔外科学会日本小動物歯科研究会

●主な診療科目:一般診療(外科・内科)、救急診療、整形外科、歯科

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膝蓋骨脱臼(通称パテラ)はどんな病気?

犬の走りで遊ぶミニチュアプードル
studiohoto/gettyimages

脱臼とは、骨が本来あるべき正常な位置にない状態を指します。

その中で、犬の膝蓋骨脱臼(通称パテラ)は、後ろ足の膝の皿が内側や外側にずれて起こる脱臼の状態です。無症状の場合もありますが、犬が足を引きずったり、スキップのような歩き方がみられることもあります。

膝蓋骨脱臼は、左右両側の足に起こることが多く、基本的には歩くごとにを“ずれ”を繰り返すので、軟骨表面に炎症や変形を起こしたり、骨格に影響を及ぼすこともあり、重度の場合は骨が変形して歩くことができなくなることもあります。

膝蓋骨脱臼は、基本的に生まれつきのもので、成長に伴って病状が進行していく場合があります。内方脱臼は小型犬に多くみられ、また、発症しやすい犬種があるため、そういった子は子犬の頃から歩き方に注意が必要です。愛犬の歩き方などに異変を感じたら、できるだけ早く動物病院を受診しましょう。

膝蓋骨脱臼(通称パテラ)の原因

美しい雌ポメラニアン犬
tsik/gettyimages

犬の膝蓋骨脱臼(通称パテラ)は、基本的に先天性の病気ですが、成長に伴って病態が進行性に悪化することがあります。また、後天的にケガや事故などで強い外力が加わることによって発症することもあります。

遺伝的な要因

犬の膝蓋骨脱臼(通称パテラ)は、遺伝的な要因が関係しているといわれています。基本的に生まれつきの疾患なので悪化を防ぐことはできても、完全に予防をすることはできません。

先天性の場合、子犬の頃から骨や靭帯、筋肉に問題があって、生まれつきかあるいは成長の過程で発症することが考えられます。

膝蓋骨脱臼になるかどうかは、飼い主さんが迎え入れる前にすでに判明している場合もあります。ワクチンを初めて接種する際に行う、生後2~3ヶ月齢での健康診断で病気が発見されることが多いようです。

膝蓋骨脱臼(通称パテラ)は、チワワやトイ・プードル、ポメラニアン、マルチーズ、ヨークシャー・テリアなどの小型犬が発症しやすい犬種といわれているため、これらの犬種と暮らしている場合は、特に注意が必要です。

歩き方や座り方が気になる、後肢が使えないため逆立ちして歩くなどの症状がみられた場合は、早めに動物病院を受診するようにしましょう。

ケガや事故

犬の膝蓋骨脱臼(通称パテラ)は、まれに後天性の原因で起こることもあります。例えば、室内や屋外でぶつかる、ひねる、落下するなどの外からの衝撃によって、外傷性に脱臼が生じることが考えられます。

実際の診察経験では、他にも大型犬に乗っかられた、後肢にひもがひっかかった、落下した、溝にはまった後から跛行するようになったなどの事例があります。

膝蓋骨脱臼(通称パテラ)の症状とグレード

犬が走っている
kimrawicz/gettyimages

主な症状

犬の膝蓋骨脱臼(通称パテラ)の症状は、両足で起こる場合も片側だけで起こる場合もあります。犬が小走りをした際に、ケンケンやスキップのような走り方の異変で気が付く飼い主さんも多いようです。

他にも、静止時では立ち姿がややガニ股になっている場合や歩き方、走り方、座り方がおかしい、動かなくなる、痛がるといった様子が程度によってみられることがあります。

膝蓋骨脱臼は、基本的に歩くたびに膝関節のズレを繰り返す病気です。このため、軟骨表面に炎症や変形がみられたり、骨格に影響を及ぼすことがあり、具体的には、膝関節を伸ばすことができなくなる、腰を曲げて猫背になってしまう、内ももの筋肉が固くなってしまい痛みが出るなどの症状がみられるようになります。

膝蓋骨脱臼のグレード

犬の膝蓋骨脱臼(通称パテラ)には、以下の4つのグレードがあります。

グレード1:軽度/基本的に骨の変形はなく、無症状
グレード2:軽度から中程度/基本的に骨の変形はなく、時々一過性に症状が出ることがある
グレード3:軽度から中程度/骨の変形を伴う場合があり、基本的にずっと外れているが一次的に戻すことはできる
グレード4:重症/骨の変形を伴う場合が多く、戻すことができない。持続的に跛行(ひきずったりかばったりするような歩き方)がみられるが歩くことはできる

膝蓋骨脱臼(通称パテラ)の診断

検査

動物病院では、レントゲン検査と触診、歩様診断(歩き方に異常がないかのチェック)が行われます。

問診ではどういったタイミングに跛行が出るのか、症状はすぐにおさまるのか、持続性に痛みを感じていそうか、脱臼が起こる頻度(1日に何回、1週間に何回など)はどれくらいなのかなどを聞かれるので、これまでの記録をとっておくとよいでしょう。

また、痛みが出ているときの愛犬の動画を撮影しておくと、診察時に状態を説明しやすいと思います。

膝蓋骨脱臼(通称パテラ)の治療

かわいい患者。仕事の制服の男性の獣医テーブルの上に座り、獣医医院でカメラを見ている少し美しい犬を握る
dima_sidelnikov/gettyimages

犬の膝蓋骨脱臼(通称パテラ)の治療について、飼い主さんの中には4つのグレードを重要視される方もいらっしゃるかもしれません。しかし、膝蓋骨脱臼の治療法は必ずしもグレードに一致しないということを理解しておきましょう。

最も大切なことは、グレードよりも愛犬の症状や状態に合った治療を行い、QOL(生活の質)を低下させないことです。

ちなみに、プリモ動物病院では、かかりつけの動物病院で手術しないと歩けなくなるということでセカンドオピニオンを受けにきた犬についても、飼い主さんに現状の病態と今後の見通しをお話しさせていただいて、手術をせずに問題無く暮らしているというケースもあります。手術が全てでは無いと思います。

一般的に触診とレントゲン撮影、および内科的な痛み止めの処方やサプリメントの処方は、たいていの動物病院で行うことができると思いますが、手術が必要となった場合は、跛行診断(レントゲンの前に歩き方を見て診断する)や細かな治療のオプションの提案ができる「整形外科が得意な病院」の方がよいかもしれません。

保存治療で経過観察を行う場合

手術をせずに経過観察をする場合は、症状の悪化を予防するためにも、食事や運動などの生活習慣を見直して、犬の関節に負荷がかかりにくい過ごし方をするように心がけましょう。

例えば、太りすぎないように体重管理を行う、適度な運動を行う、滑りやすい床にマットを敷いて滑りにくくするなどの注意が必要です。

他にも、痛みや炎症をとるために投薬を行う内科治療を行なったり、かかりつけの獣医師と相談の上、サプリメント(アンチノールやジョイントマスター、プロモーションなど)を取り入れる方法もあります。

経過をみている間も、異変を感じたら放置しないで動物病院を受診するようにしましょう。

手術を行う場合

生後間もない頃に症状が出ている場合は、早期に手術をすることが重要です。例えば、大腿骨に溝を掘って、膝蓋骨が外れないようにする手術、膝蓋骨脱臼によって変形してしまった脛の骨を矯正して股関節から足首までの向きを揃える手術などがあります。

手術後の過ごし方

膝蓋骨脱臼に対する手術を行った場合、術後すぐは犬の体を安静にすることを心がけ、適切な時期が来たら屈伸運動やプールトレーニング、キャバレッティレイル(ハードルのような器具で膝や足首などの可動域を広げるための、「足上げ」運動をさせるもの)などの理学療法と、薬物療法、食事管理、サプリメントなどを組み合わせたリハビリテーションプログラムに入ることで、状態の改善を図ります。

整形外科専門医から飼い主さんへ「もし愛犬が膝蓋骨脱臼(通称パテラ)になったら?」

遊びましょうか?
STOWEN SETO/gettyimages

愛犬が膝蓋骨脱臼(通称パテラ)だと診断されたら、飼い主さんはこれからどうサポートしていけばよいか心配かと思います。

膝蓋骨脱臼はグレードにこだわる方が多いですが、同じグレードであったとしても症状が犬によって異なることも多いため、治療法もそれぞれ変わってきます。このため「グレードが〇〇だから」ということにとらわれず、他のワンちゃんと比べることなく、心配があれば、自己判断をせずに動物病院に相談するようにしましょう。

できれば、関節などの整形外科に詳しい専門医が診察を行なっている動物病院を受診することをおすすめします。

また、膝蓋骨脱臼は膝蓋骨だけでなく、全身に影響を及ぼすことも多いため、股関節から足先までのアライメント(体の重心や軸)を把握した上で、手術のタイミングや内科治療、リハビリとのコンビネーションなどの治療に反映することが大切です。

プリモ動物病院グループでは、整形外科や腫瘍科、循環器科、皮膚科、歯科・口腔外科、眼科などの専門医の治療の連携を行いながら、1頭ずつ最適な治療方針を決定しています。

膝蓋骨脱臼は初期の頃は無症状でも、進行すると愛犬が痛みを抱えている場合があります。歩き方に気になることがある場合は、動物病院を受診しましょう。

監修/草場宏之先生(横浜戸塚プリモ動物病院院長)
文/maki
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。

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