犬はしぐさや症状でストレスのサインを出します。そこで今回は、獣医師の菊池亜都子先生に代表的な犬のストレスサインについてお話を伺いました。ストレスのレベルに応じてさまざまなサインがありますので、ぜひチェックしてみてください。
レベル1:軽度のストレスサイン
犬が軽度のストレスを感じたとき、以下のようなしぐさがよく見られます。
体をかく
「ちょっとやだな」と感じると、犬は数秒体をかくことがあります。長時間のトレーニングなどで、軽いストレスを感じたときに見られる場合があります。
あくびをする
こわばった顔の筋肉をほぐしたり、ちょっとした気分転換をしたりするために、犬はあくびをすることがあります。動物病院などの緊張する場面で見られる場合が多いです。
パンティングする
犬がストレスで緊張すると、「パンティング」と呼ばれる行動をすることがあります。パンティングでは、運動後のようにハァハァと早くて浅い呼吸をします。
体をブルブル振る
体をほぐしてリラックスするために、犬は体を振ることがあります。お手入れのあとや飼い主さんの指示が理解できないときなどによく見られるようです。
レベル2:中度のストレスサイン
犬が中度のストレスを感じたとき、おもに以下のような行動が見られます。
逃げ出す
怖いものから一刻も早く離れたいという気持ちが働き、その場から離れようとします。苦手な犬などに対して見られることが多いようです。
吠える
苦手なものに対して、「あっちに行け!」と吠えて伝えています。恐怖心や警戒心が強いときに出やすいストレスサインの一つです。
少しの間隠れる
苦手な犬や人に会ったとき、見つからないように家具の陰などに隠れてやり過ごそうとすることがあります。
歯をむき出す/うなる
「これ以上近付くと噛むぞ!」と相手に伝えています。噛む一歩手前のストレスサインで、これを無視し続けると噛む行動に出る場合があります。
レベル3:重度のストレスサイン
犬が重度のストレスを感じると、以下のようなしぐさや症状があらわれます。
震え続ける
極度の恐怖心から精神的に強いストレスがかかると、何分間も震え続けることがあります。震えと同時にヨダレが出る犬もいます。
食事をまったくとらない
病気などほかに原因がないにもかかわらず、フードやおやつを一切食べない場合は、強いストレスがかかっている可能性があります。
下痢や嘔吐
長期のストレスにより自律神経が影響を受け、体に症状が出る場合があります。とくに下痢や嘔吐が症状として多く見られる傾向があります。
サークリングやペーシングをする
強いストレスに長時間さらされると、同じ場所をぐるぐる回る「サークリング」や、同じところを行き来する「ペーシング」と呼ばれる行動が見られる場合があります。
ストレスがかかり続けると、犬の心と体にさまざまな影響を及ぼします。ふだんから愛犬のしぐさをよく観察して、ストレスサインにいち早く気付けるようにしたいですね。
お話を伺った先生/菊池亜都子先生(獣医師 獣医行動診療科認定医)
参考/「いぬのきもち」2021年10月号『コロナ禍で新しいストレスも増えている!?犬のストレス』
文/寺井さとこ
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
※今回ご紹介したストレスレベルの分け方は、菊池先生の考えをもとに作成したものです。
※犬によってストレスを感じたときに行うしぐさは異なります。今回ご紹介したしぐさのなかには、生理現象として行うものなどもあるため、ストレスが原因でない場合もあります。