さまざまな特色をもつペットフードを製造、販売している各ペットフード会社。その製品には、創業者たちの思いが 今も込められています。そこで、ロイヤルカナン、ヒルズ、ブルーバッファロー、日本ペットフードの各社に伝わる、 創業者たちの熱い思いがつまった創業ヒストリーをお伝えします。
「ロイヤルカナン」−年齢によるトラブルを薬ではなくフードで改善したくて研究−
1968年に南フランスの獣医師ジャン・カタリー博士によって誕生したロイヤルカナン。フランス・リヨンの獣医大学で学んだのち、犬の皮膚疾病の研究活動を始めた博士は、年齢とともに現れるトラブルを薬ではなく、フードで改善できないかと研究を重ねます。
そして、診察に来る犬のうち、南フランスに多いジャーマン・シェパード・ドッグが、消化能力の悪さが原因でさまざまな疾病やアレルギーを引き起こしていることを解明。同じ病気で再び訪れる犬が多かったため、博士は人の残飯を与えていることが原因と考えてドライフードを開発します。これがもとになり、犬と猫の健康を食事からサポートするブランド、ロイヤルカナンが誕生しました。
「ヒルズ」−盲導犬の深刻な疾患を食事の改善で治したい!−
ヒルズのペットフードの誕生には、初代米国動物病院協会の会長でもあった獣医師マーク・モーリス博士と1人の青年の出会いが大きくかかわっています。1939年、モーリス博士のところに、フランクという盲目の青年が訪ねてきました。彼は盲導犬協会設立の寄付を募るため、全国を行脚していたのですが、大切なパートナーの盲導犬バディーが深刻な腎疾患にかかってしまったのです。そこで博士はバディーのために食事の改善による治療法を提唱。研究を重ね、慢性的な兆候の軽減と、症状の改善を助けるペットフードを開発しました。
そしてさらに研究、改善を重ねた結果、特別療法食のフード「プリスクリプション・ダイエット」が誕生します。この製品は今では米国の獣医業界において高い信頼を獲得し、ペット医療の市場で大きなシェアを占めるまでに。フランクと愛犬バディーに対するモーリス博士の献身的な努力は「人とペットの深い絆を、より豊かにより永らえることに貢献する」という現在のヒルズの企業の理念に受け継がれています。
「ブルーバッファロー」−がんになった愛犬ブルーへの思い“体にいいものを食べて欲しい!” –
2003年に米国コネチカット州で創業したブルーバッファローは、同社のオーナー、ビショップ一家の愛犬でエアデール・テリアの「ブルー」への思いから誕生しました。ブルーが6才になった頃、癌になってしまったのです。
一家は大切な“家族”の健康問題に真剣に向き合い、栄養豊富で健康的な原材料を使ったペットフードを作ることができないかと考え始めます。そして米国の優秀な獣医師や動物栄養士を集め、高品質の動物性たんぱく質を主原料とした自然派ペットフードを開発。商品は愛犬ブルーにちなんで「BLUE」と名付けられました。また創業とともに犬・猫の癌研究のための「ブルーバッファロー財団」も設立。動物の癌研究への支援を行っています。
「日本ペットフード」−牧場主の一言にヒントを得て国産のドッグフードを開発!−
国産初のドッグフード「ビタワン」を生んだ日本ペットフード(発売当初は協同飼料株式会社から発売)は、もともとは大手畜産飼料会社。第二次世界大戦後に著しく成長した会社の次の可能性を探っていた創業者の大津 利氏は、アメリカの畜産飼料会社が価格低迷にあえぎ、ペットフード研究を進めていることを知り、危機感を覚えていました。
そして1959年、懇意にしていた牧場主が何気なく「うちの犬はチックフード(協同飼料のヒヨコ用の配合飼料)を食べるんですよ」と話したことが大津氏に大きなヒントを与えます。経済成長を続ける日本もアメリカ同様、必ず犬には犬専用のフードが求められるに違いない、と確信。早速ドッグフードの開発に着手し、翌年「ビタワン」が誕生しました。
引用元:いぬのきもち『ドッグフード大事典』