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【獣医師監修】ダニが犬にもたらす病気や症状とは?治療法や予防法も解説

犬と暮らしていると、散歩などで外に出る機会が多くなります。そのとき注意したいのが、草むらなどにひそんでいて、犬に病気をもたらすおそれがあるダニです。ここではダニの種類や感染したときの症状、ダニやノミによる病気、駆除や治療の方法を解説します。

犬にこんな症状が見られたらダニがいる可能性が

画像/iStock、Getty Images Plus
犬に寄生するダニは、大きく以下の5種類に分類されます。なかでもマダニは、さまざまな病気を媒介するため大変危険です。愛犬に下記のような症状が見られたら、ダニがついていないか疑いましょう。
ダニの種類症状治療法
マダニ 貧血、頭痛、発熱、倦怠感、発疹、リンパ節の腫脹など 対症療法(殺ダニ剤など)
ヒゼンダニ フケ、発疹、かさぶた、激しいかゆみ、疥癬(かいせん)2~4週間程度の殺ダニ剤の投与と塗布
ミミヒゼンダニ 耳の激しいかゆみ、多量の耳アカ 殺ダニ効果のある滴下剤や経口薬を投与し、耳を洗浄する
ニキビダニ 皮膚の赤み、脱毛、免疫力低下(皮膚の免疫力次第で、再発を繰り返す) 殺ダニ剤の塗布、投与
ツメダニ 大量のフケ、ただれ、かさぶた、かゆみ 殺ダニ成分が含まれたシャンプーと殺ダニ剤の投与

ダニだけでなくノミにも注意が必要

ダニと同じように、ノミも犬に病気をもたらすおそれがあるため注意が必要です。ノミは外から室内に持ち込まれるほか、室内で生息・繁殖するケースもあるので気をつけましょう。
ノミがもたらす病気や危険性については、後ほど詳しく解説します。

ダニやノミを予防するためには?

駆除薬を投与する犬

定期的に駆除薬(予防薬)を投与する

ダニを予防するには、動物病院で処方される駆除薬が効果的です。駆除薬には月に1回の頻度で皮膚に滴下するタイプや、1~3カ月に1回程度を目安に使う経口タイプなど、さまざまな種類がありますので、飼い主さんが使いやすく、愛犬に合ったものを処方してもらいましょう。

なお、ダニやノミは一年中生息していますが、春先から秋口にかけてとくに活発になるとされています。そのため、駆除薬の投与期間は4月から11月・12月ごろまでと考えていいでしょう。ただしこれには地域差があり、今は通年予防も推奨されているので、かかりつけの獣医師に相談しながら投与期間を決めるのがおすすめです。

部屋を掃除する

ダニやノミは、室内に持ち込まれた後、子かくて暖かくて湿気のある場所に潜む可能性があります。さらにダニやノミは食べこぼしやフケ、皮脂などを栄養源とすることもあるため、家の中でも湿気や汚れがたまりやすい場所は要注意です。とくに床やカーペット、ソファ、犬のベッドはダニやノミの温床になりやすいため、しっかりと掃除してください。

床やカーペット

床やカーペットには、ダニ・ノミの栄養源となりうる食べこぼしやフケがたまりがちです。
床を掃除する際は、目に沿って隅々まで掃除機をかけてください。カーペットは毛が寝ている方向に沿って掃除機を押し、毛を起こしながら引くと、奥にたまった汚れも除去しやすいでしょう。

ソファ

犬が多くの時間を過ごすソファも、食べかすや抜け毛がたまらないようにしましょう。
ソファの表面に掃除機をかけるほか、シートの隅やクッションの隙間には細口ノズルを差し込んで掃除します。
クッションの間が掃除しにくい場合は、隙間に滑り止めつきの軍手を差し込むと、からみついた抜け毛が取れやすいでしょう。

犬のベッド

犬のベッドはダニやノミの成虫だけでなく、卵や幼虫も付着しやすい場所です。スチームアイロンを用意し、高温で駆除しましょう。

  1. まずは掃除機や粘着クリーナーで犬のベッドを軽く掃除します。
  2. あて布をし、犬のベッドにスチームアイロンをかけます。1カ所につき2~3秒を目安に、押しのばすようにかけてください。
  3. 湿気を飛ばすため、片面1時間程度を目安に天日干しします。
  4. 仕上げに掃除機や粘着クリーナーで再度掃除し、ダニ・ノミの死骸や汚れを取り除きましょう。

ダニやノミがもたらす病気とは?

画像/iStock、Getty Images Plus
ダニやノミは犬にさまざまな病気をもたらすとご紹介しましたが、なかには命にかかわる危険な病気の引き金となるものもあります。

その例として、マダニを媒介とするウイルス感染症である「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」「ダニ媒介性脳炎」などが挙げられるでしょう。いずれも犬だけでなく人にも感染する危険性があり、重症化すると人が死亡することもあるため十分注意が必要です。

また、ノミが原因で犬がかかる病気には、ノミの吸血が引き起こす皮膚病である「ノミアレルギー性皮膚炎」や、ノミが媒介して寄生する瓜実条虫により、ノミで下痢や体重の減少を引き起こす「瓜実条虫症(うりざねじょうちゅうしょう)」などがあります。

マダニが犬についたときの駆除・治療法は?

画像/iStock、Getty Images Plus
愛犬の体にマダニがついてしまったときは、滴下タイプまたは経口タイプの駆除薬を使用して駆除するのが一般的です。マダニによる病原ウイルスなどが感染する確率は、吸血から48時間経過後に急速に高まるといわれていますので、早めに動物病院を受診するなどして、すみやかに対処するようにしてください。

なお、休診日などですぐに動物病院を受診できず、また自宅に駆除薬がない場合は、以下の手順で駆除することもできます。

マダニの駆除方法(緊急時)

  1. 殺虫剤をしみこませた綿棒やワセリンを、吸血して肥大化したマダニの体や、吸血されている部分に塗ります。
  2. 酢やエタノールをコットンにしみこませたもので、吸血箇所を覆いましょう。
  3. 手順1~2を試すことで、マダニが落下します。

マダニ駆除の注意点

自宅でマダニを駆除する際は、ピンセットでマダニをつまんだり、手で無理に引っ張ったりするのはやめましょう。マダニの口器が犬の体内に残り、痛みが出て皮膚炎になるおそれがあります。

また、自宅でマダニを駆除した場合でも必ず動物病院を受診し、獣医師に診てもらうことが大切です。

マダニ駆除薬の料金の目安

滴下タイプの駆除薬の場合、体重5kg以下の犬なら1カ月あたり1,000~2,000円程度、3カ月効く経口タイプは4,000~5,000円程度が目安です。市販の駆除薬もありますが、薬剤によっては期待する効果が望めない場合もあるため、基本的には獣医師に処方してもらったものを使用するようにしましょう。

ちなみに、マダニが寄生した部分が炎症を起こしていたり、化膿していたりする場合は、抗生物質や消炎剤などを使用して治療することもあります。

予防で愛犬の健康を守ろう

白い犬
getty
マダニは草むらや河川敷などに潜んでいるため、散歩やおでかけでこのような場所を通ることがある場合は、帰宅後に愛犬の体をよくチェックし、ダニがついていないかを確認するようにしてください。ダニを早く発見できれば、その分治療期間も短く済む場合が多いです。

また先述の通り、駆除薬を定期的に投与していれば、万が一に愛犬にダニが寄生したとしても、多くの場合48時間以内に駆除することができます。ダニが媒介する危険な感染症を予防するためにも、定期的な駆除薬の投与は有効な方法なので、一度かかりつけの獣医師に相談してみるといいでしょう。
参考/「いぬのきもち」2017年12月『じつは冬でもキケンなんです!ノミ・ダニのいない部屋作り』
監修/石田陽子先生(石田ようこ犬と猫の歯科クリニック院長)
文/松本マユ
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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