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犬がかかりやすい重病とは?7才になる前に知っておくべき基礎知識

7才を超えてシニア犬になると、免疫力や体力が落ち始めて病気になりやすくなります。愛犬の病気を予防するためには、病気について事前に知っておくことが非常に重要です。今回は、愛犬が7才になる前に知っておきたい、犬の病気について解説します。

年のせいと見過ごしやすい“病気のサイン”

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犬の老化が始まってくるのは、一般的には7才くらいからだと言われており、「シニア犬」や「老犬」などと呼ばれるようになります。さらに、7才から9才頃にかけて、犬の体には様々な変化が起こるようになります。この変化は老化によるものもありますが、もしかしたら、病気が原因かもしれません。「年齢のせいだから」という思い込みは、愛犬の病気の発見を遅らせます。様子がおかしいと思ったら、まずは病気を疑ってみましょう。

7才過ぎてからのこんな変化は病気かも!

・触ると嫌がる
触られたときに痛がったり、「お手」など特定の動作を嫌がったりするときは、 関節疾患の疑いが考えられます。

・散歩の途中で休みたがるようになった
老化による体力低下でもこのような変化は起こりますが、「心臓病」などの死に至ることのある病気や、関節疾患などが原因の場合もあります。

・イボができた
老化現象の一つですが、腫瘍など皮膚病の可能性もあります。

・目の輝きがなくなってきた
年を取ると意欲が低下してこのような変化が起こりますが、「核硬化症」や「白内障」など目の病気も疑いましょう。

・トイレの失敗
10才以上の高齢犬の場合、「我慢ができなかった」だけかもしれませんが、神経障害などの可能性もあります。

・痩せてきた
年を取ると運動量が少なくなり、筋肉量が減って、痩せてきます。しかし、「痩せる」という変化には、「ガン」や「糖尿病」など、深刻な病気が潜んでいることもあります。

このように、7才を過ぎた犬の様子の変化には、病気のサインが隠れている可能性があります。上記のような変化が気になったら、すぐに動物病院を受診することをおすすめめします。

命に関わる!犬がかかりやすい病気

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7才を過ぎてシニア犬の仲間入りをすると、病気にかかりやすくなります。飼い主さんにとって一番怖いのは、死亡率の高い、命に関わる病気でしょう。早いうちから病気について知っておくことで、早期発見や疾患予防につながります。

悪性腫瘍(癌)

悪性腫瘍は、皮膚から血管まで、あらゆるところに発症する病気です。高齢犬に比較的多くみられるのは、「乳腺ガン」や「悪性リンパ腫」などですが、これらは初期に痛みなどの症状がないため発見しづらいのが難点。進行すると、死に至ることもあります。たとえ愛犬が痛がっていなくても、小さなしこりなど見つけたら、医師に相談しましょう。

【主な症状】
悪性腫瘍の症状は、できる場所により異なりますが、最も顕著なのが体重の減少です。他にも、皮膚にしこりができたり、口や耳の中にできものができたりします。

【発症しやすい犬】
犬種問わず、6歳ごろから発症しやすくなり、9~10才くらいからは、特に増えてきます。悪性腫瘍の中でも最も多いのがメス犬の「乳腺ガン」で、避妊手術をしていない高齢のメス犬に多くみられます。

【予防法】
一部の悪性腫瘍を除き、明確な予防方法はありません。しかし、早期発見に努めることで治癒率も上がるので、しっかりと病気について学び、愛犬の変化にいち早く気づくことが何より大切です。

心臓病

ガンと並んで多い死亡原因が心臓病です。なかでも高齢犬に多く見られるのが、「僧帽弁(そうぼうべん)閉鎖不全症」です。この病気は完治が難しく、体に必要な血液が充分に流れなくなると、死に至ることがあります。この他にも、「三尖弁」や「閉鎖不全症」、「不整脈」や「心内膜炎」といった心臓病も、高齢犬になるとかかりやすくなります。

【主な症状】
心臓病にも様々な種類がありますが、軽い運動でもすぐに息がきれる、頻繁に咳をするようになったら危険信号。夜中でも咳をするようなら、すぐに病院へ連れて行きましょう。

【発症しやすい犬】
「僧帽弁閉鎖不全症」の場合、10才を過ぎた小型犬に発症することが多く、キャバリアやマルチーズなどの特定の犬種に多く発症することから、遺伝的要因もあると考えられています。他にも、肥満は心臓機能を低下させ、病気を悪化させる原因になりますし、歯周病の犬は、それが原因で「心内膜炎」になることもあります。

【予防方法】
食事管理を行い、肥満にならないよう注意することが大切です。歯周病の犬は、歯石除去を行うなどの治療を行い、最低でも2~3日に1回のペースで歯磨きをするようにしてください。

慢性腎不全

腎臓は、体内の老廃物を排泄する働きをしています。その腎臓の機能が慢性的に低下した病気が、この「慢性腎不全」です。ほとんどの場合は発症に気付かず、高齢になって顕著な症状が出てから診断されるケースが多いことでも知られています。

【主な症状】
おしっことして排出されるべき老廃物が体内にたまって「尿毒症」を起こし、食欲不振や嘔吐、痩せるなどの症状がみられ、やがて死に至ります。

【発症しやすい犬】
高齢になればなるほどなりやすい病気ですが、「膀胱炎」や「膀胱結石」、「腎炎」などを起こしたことのある犬や、「免疫介在性疾患」や「糖尿病」、「肝臓障害」を患っている場合も要注意です。

【予防法】
明確な予防法はありませんが、「おしっこが増えて水をガブガブ飲んでいる」ようなら危険信号です。なお、定期的な尿検査も非常に重要です。

完治が難しい!犬がかかりやすい病気

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前項で紹介した以外にも、犬がかかりやすく、完治が難しい病気があります。

副腎機能亢進症

「副腎機能亢進症」は、副腎から副腎皮質ホルモンが過剰に分泌されることで起こる病気です。症状のひとつとして「食欲旺盛で太ってくる」ことがあるため、ただの肥満だと思い込んでしまし、病気を見逃してしまいがちです。放置しておくと「糖尿病」や突然死の原因になることもあります。

【発症しやすい犬】
8才を過ぎたすべての犬に見られる病気ですが、特にプードルやダックスに発症しやすい傾向にあります。また、皮膚病などの治療で用いる、ステロイド製剤の副作用として発症することもあると言われています。

【予防法】
明確な予防法はなく、病院のホルモン検査で発見されることがほとんどです。まずは、定期的な健康診断の受診と、「水をよく飲み食欲旺盛で太る」という初期症状を覚えてきましょう。

糖尿病

先ほどからよく名前が出ていますが、「糖尿病」は、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンが不足することで起こる病気です。

【発症しやすい犬】
糖尿病は、遺伝が原因で引き起こされることが多いですが、歯周病や精神的ストレスも要因になります。肥満も糖尿病の原因になり得ますし、症状を悪化させる要因でもあります。なお、糖尿病が原因で、「白内障」や「腎不全」などの合併症を引き起こすことも考えられます。

【予防法】
糖尿病を予防するには、何よりも太らせないことが重要です。

肝臓病

肝臓は、体内の毒素の分解や消化を助ける働きをしていますが、長期間の偏食などによって肝臓に負担をかけることで、「肝臓病」を引き起こします。

【予防法】
この病気を予防するには、栄養バランスが取れており、年齢に合ったドッグフードを与えることが一番。しかし、心臓病などの循環器障害や、感染症が原因で突然発症することもあります。なお、肝臓病になると疲れやすくなるので、元気がないといった初期症状が見られることがあります。この症状は見落としやすい症状の一つですので、定期的に健康診断を受診することが早期発見につながります。

【オス犬・メス犬別】それぞれがなりやすい病気

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高齢犬になると、オス犬・メス犬それぞれに注意したい病気もあります。

オス犬に注意|甲状腺肥大

「甲状腺肥大」とは、膀胱の横にある前立腺が肥大化する病気です。去勢をしていないオス犬が、老化とともにホルモンバランスが崩れることで発症します。

【主な症状】
無症状のこともありますが、尿道や直腸が圧迫されてしまい排便や排尿がしづらくなるので、「おしっこのポーズをしているのになかなか出ない」など症状が見受けられたら、この病気を疑ってみるべきです。

【予防法】
未去勢のオス犬にしか発症しないため、去勢手術を受けることが一番の予防法といえます。ちなみに、去勢手術によって防げる病気は、「肛門周囲腺腫」や「精巣腫瘍」、「会陰ヘルニア」など、数多くあります。

メス犬に注意|子宮蓄膿腫

「子宮蓄膿種」は、子宮の内部が細菌に感染して、膿がたまる病気です。速やかに治療を行わないと、約2週間で命を落とすこともあります。

【主な症状】
よく見られる症状としては、お腹の張り、元気がなくなって食欲が低下する、水をよく飲む、吐くなどが挙げられます。この症状に気が付いたら、すぐに検査を受け、重症化するのを防ぎましょう。

【予防法】
この病気は、未避妊の免疫力の落ちた、高齢メス犬に多く発症するため、避妊手術をするのが一番の予防法です。この他にも、避妊手術することで「卵巣ガン」や「乳腺腫瘍」を予防することができます。

定期的な健康診断と愛犬の変化を見逃さないで!

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今回ご紹介した病気のなかには、「明確な予防法はない」というものも多く、その場合、最も重要となるのは「病気の早期発見」です。7歳未満の犬の場合、年に1回の健康診断が通例ですが、7歳を過ぎたら2回程度に増やすと良いでしょう。それ以降も、年齢に応じての康診断の回数を増やしてあげることで、病気の早期発見の可能性が高まります。なお、定期的なスキンシップで、愛犬の変化を観察してあげることも大切ですよ。

大切な愛犬の健やかな未来のためにも、7歳を迎える前に病気や健康について学んでおき、今後の飼育方針などを考え直してみてはいかがしょうか。
出典元/いぬのきもち特別編集『7才を過ぎても愛犬が元気』(監修:ノヤ動物病院 獣医師 野矢雅彦先生)
文/hasebe
※写真はスマホアプリ「まいにちのいぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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