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犬の心の病気「分離不安」 原因や症状、治し方を行動療法専門家が解説

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犬の心の病気「分離不安」。今回は、「分離不安」の症状や病院での治療法、自宅でできる対処法や予防法について、専門家監修のもと解説します。愛犬との健やかな暮らしのためにも、“適度な距離”を保つことが大切ですよ。

犬の心の病気「分離不安」とは?

「分離不安」とは、犬がかかる“心の病気”のことです。飼い主さんがそばから離れると、病的なまでに不安を感じて、そそうや吠え続ける、物を壊すなどの問題行動を起こします。それでは、どんな犬がかかりやすいのでしょうか。

室内犬

室内飼いの犬は、飼い主さんとの関係が密接になりがちです。そのため、少しでも飼い主さんがそばを離れると、「もう帰ってこないのでは」と不安を感じてしまうことがあるといいます。とくに、常に飼い主さんが視界にいるような環境だと、犬は「分離不安」にかかりやすくなるといわれています。

1~2才、7才くらいの犬

犬が心身ともに成熟するといわれる1~2才は、最初に「分離不安」に注意したい時期です。犬が1頭で過ごす時間を徐々に作るなど、自立心を芽生えさせて予防しましょう。また、耳が遠くなったり、視力が低下し始めたりする7才以降も注意が必要です。

室内犬が増える昨今、「分離不安」予備軍は多いと考えられます。愛犬の体格や性別に関係なく、どんな犬でも分離不安になる可能性があるといえるでしょう。

「分離不安」の症状①「留守番中の問題行動」

「分離不安」の犬は、飼い主さんの留守中に不安を強く感じて、以下のような問題行動を起こします。

吠え続ける

飼い主さんといるときにはめったに吠えない犬が、留守番中吠え続けているようなら、「分離不安」を疑いましょう。ただし、留守番中だけでなく、ふだんから外の物音に吠える場合は、警戒心によるもので「分離不安」の症状とは考えにくいです。

そそう

いつもは正しい場所で排泄するのに、留守番時だけそそうするケースは要注意。しかし、いつもより長く留守番をさせたときのそそうなら、トイレシーツの汚れや我慢できなかったことが原因かもしれません。

物を壊す

留守番中に限って愛犬の破壊行動が見られる場合も「分離不安」を疑います。ただ、ゴム製のおもちゃなど“噛んでいいもの”を与えて留守番させたときに破壊行動がない場合は、単なるイタズラが原因のケースも。

さみしがり屋との違いとは?

「分離不安」の犬は、飼い主さんの姿が見えなくなってすぐに不安な気持ちになり、この不安な気持ちはどんどん強くなって、30分後くらいにピークを迎えるといわれます。留守中の様子をビデオカメラなどに撮ってチェックする場合は、最初の30分に注目するといいでしょう。このタイミングで、上記のような問題行動を起こす場合は、単なるさみしがり屋ではなく、「分離不安」になっているのかもしれません。

「分離不安」の症状②「体調の変化」

「分離不安」が悪化すると、留守番中の問題行動だけではなく、体調にも以下のような変化があらわれます。

下痢をする

留守番前にしたウンチは適度な硬さだったのに、帰宅後に愛犬が下痢をしていたら、「分離不安」かもしれません。不安や緊張を感じると、犬もストレスによる下痢の症状が出ることがあります。

嘔吐

分離不安」の症状がひどいと、ずっと1頭でいる不安な気持ちが強くなり、嘔吐することがあります。これは、飼い主さんがいない寂しさによるストレスが原因でしょう。

震える

犬は、寒さ以外にも不安を感じて震えることも。飼い主さんの外出の気配を感じた犬が震えていたら「分離不安」のおそれが。留守番中はその場にいないとわからないので、ビデオカメラなどで撮影しておくとよいでしょう。

硬直する

不安な気持ちから筋肉が収縮し、体が硬くなることも。飼い主さんが外出する気配を感じて、体をこわばらせる犬もいます。

足元をなめる

不安な気持ちを解消しようと、自身の足先をしきりになめることも。外出先から帰ってきて、愛犬の足を触ったら、濡れたり湿っていたりしている場合は要注意です。

用意したフードをまったく食べない

フードやおやつを用意して外出したのに、帰宅してみると一切手をつけていない……。それは、犬が不安な気持ちが強く、食べる気になれないからかもしれません。

「分離不安」の治療法

体調不良の症状はなく、軽度の「分離不安」の場合は、飼い主さんが対応を工夫することで克服ができることもあります。しかし、体調に異変が見られる場合は、飼い主さんだけの力では解決できない段階になっていることがほとんどなので、行動学や問題行動に詳しい獣医師がいる動物病院を受信することをおすすめします。
では、犬が「分離不安」になると、どのような治療が行われるのでしょうか。

薬物療法

「分離不安」の薬物治療では、不安な気持ちを軽減する効果が期待できる「塩酸クロミプラミン」などの精神安定剤が処方されることがあります。また、様子見で回復することもありますが、吐き気がひどい場合はステロイドなどが処方されるケースも。

行動療法

薬物療法と併用して、行動療法が行われるのが一般的です。行動療法とは、犬が起こしてしまう問題行動を、動物行動学と獣医療の両面から診察して治療する方法のことで、獣医師と飼い主さんが二人三脚で行います。
ただし、犬の問題行動の原因を探し、治療法を提案するのが獣医師の役割で、治療そのものを実践するのは飼い主さん自身です。「分離不安」の場合は、犬が1頭になっても問題行動を起こさなくなる練習が行われるようです。

いぬのきもち WEB MAGAZINE「吠え・噛み・破壊……犬の困った行動、もしかして「治療」が必要かも!」

自宅で出来る「分離不安」の対処法

軽度の「分離不安」やその疑いがある場合、飼い主さんはどのように対応すればよいのでしょうか。

軽度の「分離不安」の場合

◆短い時間から、1頭で過ごさせる


飼い主さんの外出と不在に犬が慣れるように、留守番の練習を地道に行いましょう。飼い主さんがドアを閉め、部屋に犬を1頭だけにします。最初は5秒、10秒と短い時間でOKなので、犬が1頭でも問題なくいられる間に、ドアを開けて犬と対面してください。時間を徐々に延ばし、犬だけでいることに慣れさせましょう。犬から離れるときも、帰ってきて接するときも声かけなどはせず、当たり前のように静かに対応するのがポイントです。

◆留守番のとき、寂しくならないよう工夫する


留守番時、犬に楽しみを与えるのもポイントです。犬が大好きなおもちゃを用意してあげましょう。また、ラジオやテレビをつけておいたり、飼い主さんのニオイがついた洋服や毛布などを与えたりして、犬が寂しくならないように工夫してあげてください。

※洋服を与える場合は、誤飲防止のため、ボタンなどを取ってから渡しましょう。

「分離不安」疑いがある(予備軍)場合

◆在宅中でも愛犬を無視する時間をあえてつくる


飼い主さんが用事をしているときなどは、犬にかまわないようにします。見ない・触らない・声をかけない時間を意識的につくって、1頭でも落ち着いていられる犬にしましょう。また、ゴム製のおもちゃの中におやつを詰めたり、塗り込んだりして与えるのもおすすめ。これを繰り返すことで、「1頭で遊んでいても楽しい」と犬に教えることができます。

◆指示しつけ「マッテ」で離れる練習をする


「マッテ」の指示を出してはなれることも、「分離不安」の予防法のひとつです。最初は1歩離れる程度にし、徐々に離れる距離を延ばしていくのがコツです。
愛犬を「分離不安」にさせないために、日ごろから予防もしておくといいでしょう。

こんな方法も

◆サプリメント


「分離不安」の自宅での対処法として、犬用のサプリメントを取り入れる飼い主さんもいるようです。カゼインやカノコソウ、テアニンバなどが精神を安定させる効果が期待できるといわれています。

◆リラックス音楽


人が聴いても犬が聴いてもリラックスできるといわれている周波数「528Hz」。この周波数を含む音楽を犬に聴かせて留守番させている飼い主さんも少なくないようです。犬用のCDとしても販売されているので、気になる方はチェックしてみるとよいでしょう。

犬の飼い方の変遷から、飼い主さんが愛犬に依存しすぎてしまい「分離不安」を引き起こす例が増えているようです。愛犬の心の健康を願うなら、“常に抱っこしている”“いつも体を触っている”などの接し方を見直し、適度な距離感を保つことも大切ですよ。

参考/「いぬのきもち」2008年8月号『もしかして分離不安かも?』(監修:武内ゆかり先生)
   「いぬのきもち」WEB MAGAZINE『いぬのきもち編集室便り「犬が本当にすやすやと眠ってしまう前奏曲」』
   「いぬのきもち」WEB MAGAZINE『吠え・噛み・破壊……犬の困った行動、もしかして「治療」が必要かも!』
監修/いぬのきもち相談室獣医師
文/hasebe
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。

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