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【獣医師監修】犬のウンチで分かる健康状態 色や回数は?ゆるいとき、出ないときは?

排泄物は、人と同様、犬にとっても健康をはかる大事な指標。とくにウンチは、愛犬の健康状態やその日の体調を教えてくれる「貴重なもの」です。心配な色や回数は? ゆるいときや出ないときに考えられる病気は? 毎日、処理をする際にかかさずチェックして、愛犬の体の異常を見逃さないようにしましょう!

後藤 瞬 先生

 獣医師
 相模原プリモ動物医療センター第2病院勤務

 東京農工大学農学部獣医学科(現 共同獣医学科)卒業

●資格:獣医師

●所属:日本獣医皮膚科学会日本獣医がん学会動物介在教育・療法学会

●主な診療科目:一般診療(外科、内科)/麻酔科

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ウンチは、犬の健康のバロメーター

犬も人と同様、食べたものが食道、胃、小腸、大腸などを通りながら、体に必要な栄養分と水分が吸収されていき、残りが肛門からウンチとして排出されます。排出されるまでの過程に異常があると、ウンチの硬さや色、ニオイ、量に異常があらわれます。その意味でも、ウンチは健康のバロメーターといっていいでしょう。

犬のウンチは、硬さ、色、量、ニオイをチェックして

愛犬の毎日のウンチは、硬さと色、量、ニオイの4つの点からチェックしましょう。
理想は、「容易につまめる硬さ」「茶系の色」「多すぎず少なすぎず」「とくに強いニオイではない」といったところですが、ウンチはフードによっても変わるもの。愛犬のふだんのウンチの状態を覚えておき、それと変化がないかを注意してみていきましょう。

心配ない犬のウンチはこんな感じ

犬によってふだんのウンチは様々ですが、健康上問題ないとされる許容範囲は、硬さだと、粒状のコロコロとしたやや硬めの「コロコロ便」、崩れずに拾えてトイレシーツに跡が残らない「普通便」といえます。色でいうと、野菜や穀物など食物繊維の多いフードを食べている犬に多い「黄土色」、「茶褐色」、肉類を多く含むフードを食べている犬に多い「濃い褐色や黒っぽい色」が許容範囲です。量やニオイは愛犬のふだんの様子を覚えておいて、いつもと変わらないようなら問題ないでしょう。

犬の心配なウンチの状態、硬さや形、色は?

すぐかかりつけの動物病院で受診したい心配なウンチは、硬さなら「泥状の便」。腸内バランスが悪く、腸に炎症などがあると、泥のようなウンチになります。「水様の便」も心配です。腸内に強い炎症があったり、感染症を起こしていたりすると、サラサラした水のようなウンチになります。形では、おならといっしょに水様便が出る「しぶり便」、「四角くて平べったい便」、腸に腫瘍がある可能性が高い「細い便」は、すぐ動物病院に連絡しましょう。色なら「グレー・白色」「赤色」は非常に危険な状態。胆嚢から分泌される胆汁が正常に出ていないと、グレーや白っぽい色になり、赤は血液が混じっているということなので、感染症の危険や腸内での出血が疑われます。

異物がないか、愛犬のウンチの内容物にも注目して

愛犬のウンチをよく見るときに、異物などが混じっていないか、内容物もよく観察して。「ぬいぐるみなどの綿が入った便」、「寄生虫がついた便」、「粘液がついた便」は、犬の体の異常のサインですから、これらが見られたら、すぐ受診をしましょう。

極端に少なすぎる、または多すぎる便は病気のサイン

愛犬のウンチが、いつもより極端に少ない場合は、腫瘍などにより便の通りが狭くなっていたり、内臓などに腫れがあって排便が困難になっていたりすることが考えられます。いつもより極端に多い場合は、フードが体質に合っておらず未消化になっているケースや、水っぽいウンチなら腸の炎症の疑いが考えられます。

生臭いニオイや強いニオイは要注意!

犬のウンチは臭いものですが、いつもより強いニオイがしたり、生臭いようなニオイがしたら要注意です。腸炎が重症化している、ストレスなどで腸内バランスが乱れている、などが考えられます。ニオイが強く、泥状や水様のウンチが続いたときは、すみやかに受診してください。

ウンチで気付くことができる犬の病気

毎日の愛犬のウンチで気付く可能性が高い、犬の病気を解説します。代表的なものは次の通りです。

・前立腺肥大…しぶり便、平たい便、長細い便が見られる
未去勢のオスに多く、男性ホルモンが過剰に分泌され、前立腺が肥大するオス特有の病気です。肥大した前立腺が腸を圧迫して排便困難になります。

・会陰ヘルニア…便秘、極端に少ないウンチ、しぶり便が見られる
肛門まわりにある筋肉がゆるみ、隙間ができて肛門や膀胱が飛び出してしまう病気。5才以上の未去勢のオス犬に多く、便秘や排便困難になることもあります。

・腸炎…血液や粘膜が付着した便、水様、泥状の水っぽい便が続く
ウイルスや細菌、寄生虫、ストレス、アレルギーの影響で小腸、大腸などに炎症が起きる病気です。

・膵炎…真っ黒い泥状の便、血便、下痢が続く
膵臓の消化酵素が異常に活性化され、膵臓に炎症が起きる病気。犬は食欲がなくなり、下痢や嘔吐を繰り返します。

・胆嚢の機能低下(症状)…白っぽい水様便、茶系の便にグレーや白色の便が混ざる
胆嚢の機能が低下し、正常に胆汁が分泌されなくなる症状です。胆汁が分泌されなくなると、白っぽい便になります。

まとめ

愛犬のウンチを毎日確認することは、愛犬の体調不良にいち早く気づくためにも大切なことです。愛犬が健やかに暮らせるように、飼い主さんはウンチの硬さ、色、量、ニオイなどによく注意してチェックしてみてください。
出典:『いぬのきもち』2017年6月号「愛犬のウンチで健康チェック!」(監修:南直秀先生)
監修/後藤瞬先生(相模原プリモ動物医療センター第2病院勤務)
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