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Vol.12 アンチエイジング・未病のためにできること「 愛犬のすこやかアンチエイジング」

Vol.12 アンチエイジング・未病のためにできること

前回に引き続き、高円寺アニマルクリニックの高崎一哉先生にお話を伺います。今回は「食」からつながるサプリメントのことや、加齢によって見られる現象、飼い主さんが気をつけておきたいことなどについて教えていただきました。
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写真左より、高円寺アニマルクリニックの高崎一哉先生、センパイ、石黒

サプリメントは犬にとってよいもの?

飼い主さんたちの間でも愛犬の健康について情報交換がさかん。その中で「サプリメントを飲ませている」という話を耳にします。足腰を意識して「グルコサミン」、毛並みや毛ヅヤに効くと言われる「セサミ」、脳の健康維持に「ARA(アラキドン酸)」や「DHA(ドコサヘキサエン酸)」……etc。

サプリメントは薬ではなくて、健康補助食品というものなんですよね。それだけに「気軽に試してみようかな」という気持ちにもなりますが、センパイはまだ一度もサプリを飲んだことがありません。サプリはやっぱり与えたほうがいいのでしょうか。
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「ある程度の年齢になったら、頭の中に入れておくのもいいですね。しかし、市販されているものもピンからキリまであります。安価なものも魅力的ですが、飲んでもあまり効果がないようだったら意味がありません。逆に、薬のように効くものもあるんです。そしてそれは副作用がある場合もありますので、慎重に試してほしいですね」と高崎先生。

そうなんですね、私は「サプリを飲むことは、犬の健康ベースを上げるため」というくらいに思っていました。飲むときは、獣医師さんやサプリメント管理士などのアドバイスを受けてから飲んだほうがよいそう。
「日本犬は、認知症になるケースが多いと聞くので、センパイにはDHAを飲ませようかと思います」そう私が言うと、先生は「それもいいですね。私の経験では、13才くらいで認知症の症状が出たケースがありました。気をつけておくのはいいことです」。
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犬の老化現象として現れやすいのは、毛にツヤがなくなったり抜けたりする被毛の変化、白内障などにより目が見えなくなる、耳が聞こえにくくなる。筋肉が衰えてあまり歩かなくなる、そして中には立とうすらしなくなる犬も。その症状の出現を1日でも遅らせるためにサプリを飲ませる選択肢もあるということなんですね。

年齢を重ねるほど大切な健康診断

「前回もお話しましたが、やはり“未病”は大切です。とくに年齢を重ねてからの発病は治りにくい場合もありますから、まずは病気にさせないこと」と高崎先生はおっしゃいます。では先生、それには、飼い主の私たちは何をすればいいのでしょうか?

「食べさせすぎない、しっかり散歩をさせるなど、日ごろの生活習慣も大切です。でも厳しくし過ぎるのではなく、飼い主も犬と楽しみながらでいいんです。あとは、医学的にわかりやすいことでいえば、血液検査をときどき受けてみるといいでしょう。センパイは受けたこと、ありますか?」。「はい、3月に目元の脂肪を切除する手術のときに受けました」と私。
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先生のお話は続きます「もう8才ならば、年に1回くらいは受けるといいですね。血液検査は、数値によって健康状態がわかります。そして、毎年受けていると、数値は正常範囲内であったとしても、その犬のここ何年かの状態からすると明らかに変化がある(数値が上がっている)、なんてことも解ります。正常値内であれば病気とは判断されませんが、放っておくと病気になる確率は高い。そこで、それを予防する手だてを早めに打つことができます。犬の1年は人間でいうと約4年に相当すると言われます。人間だって人間ドックに行って、4年間健康でいられるかどうかはわからないでしょう?」

あぁ、ほんとにそうですねぇ……。センパイもこれから定期的に血液検査を受けさせようと思います。
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それから、先生は「保湿スプレーも大切」とおっしゃいました。センパイは柴犬でダブルコートのふっさふさ犬ですが、フレンチ・ブルドッグやパグなど、つるんとした質感の犬にはとくに必要なのだとか。
「ブル系の犬などはオイリーな印象があったので本当に意外です」私がそう感想を言うと、先生は「被毛がオイリーなのと皮膚が乾燥するのとは違うんです。加齢によって、人間も乾燥肌になったりしますよね。犬の皮膚炎も乾燥が原因のことが多く、かゆいと犬もイライラしたり落ち着きがなくなったりします。出血するまで引っかいてしまう犬もいますよ。そうすると治療がまた大変になりますからね」。

住環境も愛犬の変化に合わせる

また、住環境についてもお聞きすると「やはり、ソファやベッドなどにステップを付けることは必要だと思います。弱くなった足腰をいたわる意味でもそうですが、昨日は上がれたソファに急に上がれなくなったら、犬もプライドが傷つけられます。一度失敗すると、2度とトライしない犬もいます。行動範囲も狭くなり、積極性をなくす場合もあります」。
むむむ、そうなんですね。アンチエイジングは、身体だけでなく心の若々しさを保つことでもあるから、飼い主が愛犬の心をおもんばかるのも大切なんですね。

「あと足腰でいえば、フローリングの床が滑るのも犬にはあまりよくないんです。年齢とともに、後ろ脚を広げて腰をおろしたり、左右どちらかに重心を傾けるように座ったりする犬がいますが、これはフローリングが滑ることによって足腰に負担がかかっているケースが多いですね」とも。
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愛犬の爪が長い状態でフローリングの床に触れると、シャカシャカと音が鳴り足を滑らせることが多くなります。高崎先生曰く、肉球を掌に軽く当てた状態で犬の爪が手に触れるのならば、爪きりをしたほうがよいとのこと。センパイはセーフでした

私の「家の中で、家具などにぶつかる、なんて犬の話も聞きますが……」の問いに、先生は「目が見えなくなって、ということですね。でもそれはだいぶ見えなくなってからの話です。犬は感覚が鋭いので、慣れた家の中では、見えていなくても見えているかのように暮らせてしまうものです。なので、目のことを早めに発見するには、天気のいい日に外を散歩して、急に日陰に入ったときなどに犬が立ち止まったり、歩くのが慎重になったりしないかを注意して見ておくといいですよ」。なるほど、急な変化に犬が戸惑うようならば、視力に影響が出ているかもしれないのですね。
先生のお話を伺って私が痛感したのは、日々、犬を注意深く観察することの大切さ。そして、冷静に根気づよく犬とじっくり向き合うこと。そして、健康を保つために年に1度の血液検査を受けること。

センパイ、すてきなおばあちゃん犬になるために

そして、この連載も今回でひとまず終了です。センパイと私も足腰を鍛えておくことを再確認し、歯みがきなど日々の習慣が長寿と健康につながる大切さも知りました。それから、定期的な血液検査も……。飼い主が注意深く愛犬を見守ることも忘れてはなりませんね。専門家の方々にお話を伺う機会も得て、本当に勉強になった12回でした。
読者の方々からも反応もあり、やりがいを感じながら執筆することができて、とてもうれしかったです。
センパイとは、これからもこの連載で学んだことを活かして暮らしていきます。その成果は、今後のセンパイの姿で確認してくださいね。センパイ、実はこの連載中にまたまた太っていました(高崎先生のところで計って発覚しました……泣)。
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あれ、センパイ、6.7キロだと思っていたのに体重計の数字は7.34キロ…。飼い主、センパイともに軽く落ち込むの図

なので、まずはダイエットからスタート! そして私の目標は、元気なセンパイと2020年の東京オリンピックを観ること(そのころ、センパイは15才です)。みなさんも愛犬と一緒にいつまでも若々しくいてくださいね。12回、ご愛読くださりありがとうございました。
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取材協力:高円寺アニマルクリニック
住所:〒166-0003 東京都杉並区高円寺南2-14-14
http://www.koenji-ac.com/


取材•文:いしぐろゆきこ

プロフィール
いしぐろゆきこ:愛犬誌や女性誌、WEBなどで日々の暮らし、犬猫に関するエッセイやモノのリコメンドを執筆。近著に『豆柴センパイと捨て猫コウハイ』(幻冬舎)。
http://www.blueorange.co.jp/yuruyuru/
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