年末年始は犬の興味をそそるごちそうが食卓にならび、見慣れない装飾が飾られる季節。リビングで一緒にくつろいでいるときも、一歩間違えれば大事故になりかねない危険が潜んでいます。リビングで注意したい誤飲や事故について、ノヤ動物病院院長の野矢雅彦先生に教えていただきました。
年末年始に誤飲や事故が増える理由
「季節の飾り」や「犬がそそられるようなごちそう」など、ふだんはないものもあるのが年末年始。この状況は犬の誤飲が増える一因になっています。
そして、寒さが本番を迎え暖房器具が手放せないこの時期は、加齢や病気の影響で寒がりになった犬が暖房器具にくっついて、やけどを負うことも。また、犬に不慣れな来客があるときは、予想外のトラブルが起きる可能性もあるでしょう。
季節飾りやごちそうで、中毒やのどを詰まらせることが!
ポインセチア、シクラメンはかじると中毒になる
観葉植物のなかには、犬に有害な成分を含む植物がたくさんあります。ポインセチアやシクラメンも、例外ではありません。愛犬の安全を考えて、観葉植物全般は犬の手が届かない場所に置くほうが安全です。
テーブルに置かれたアルコールで中毒も
アルコールを分解できない犬の体は、少量でもお酒を誤飲すると危険です。最悪の場合は急性アルコール中毒になり、死に至ることもあります。人が集まると、お酒を食卓に置く時間も増えるので要注意。消毒用のアルコールも、噴霧する際は犬の顔にかからないよう注意しましょう。
プレゼントの中綿や細かいパーツも誤飲の心配が……
人用のぬいぐるみは、犬が噛んだり、くわえて振り回したりすることを想定していません。中綿を引き出したり、細かいパーツを噛みちぎったりして誤飲する危険性があるので、プレゼントにもらったら犬の届かない場所に片づけましょう。
角切りのりんごを盗み食いして詰まることも
りんごを食道に詰まらせるトラブルは案外多いです。大皿に盛った角切りのりんごを盗み食いして、事故につながることも。体重が2~3kgの犬は2cm角のりんごでも詰まらせることがあるので、果物だから大丈夫と気を抜かないほうがいいでしょう。
電化製品で病気や事故になることも!
こたつで熱中症になる
スイッチの入ったこたつは、なかに入って30分程度で熱中症になることも。犬自身の意思でなくても、掘りごたつに落ちてはい上がれなくなったり、こたつ布団が重くて出られなくなったりすることもあります。
事故を予防するためにも使わないときはスイッチを切り、布団の一部をあげて隙間をつくるなどの工夫が必要です。
ヒーターに近づきすぎてやけどする
シニア犬や甲状腺機能低下症(こうじょうせんきのうていかしょう)などの持病がある犬は、寒がりで熱さに鈍感な傾向に。ヒーターやストーブなどの暖房器具にくっついて、やけどを負ったり、被毛が燃えたりする事故も起きています。暖房器具の前に柵を立てるなどして、安全対策を施しましょう。
コードをかじって感電する
布が張られたこたつ用コードの噛み心地を好む犬は多いそう。コードを噛んで銅線がむき出しになると、犬が感電してしまいます。愛犬がコードを噛んでいたり、感電が疑われたりした場合は、電源を切って愛犬をコードから引き離しましょう。
ここで紹介した事例のほかには、来客がバッグにしまったマスクを誤飲する事故なども起きています。楽しいイベントが盛りだくさんの年末年始。愛犬を取り巻く危険に気を付けて、安全に楽しみましょう。
お話を伺った先生/野矢雅彦先生(ノヤ動物病院院長)
参考/「いぬのきもち」2022年12月号『“ちょっといつもと違う”から誤飲・ケガが起きやすい! 年末年始の室内トラブルハザードマップ』
文/小崎華
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。