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原因不明の四肢麻痺から奇跡の回復を遂げた歩ちゃん

この特集では、難病や障がいをもった愛犬とその飼い主さんの、闘病や暮らしの様子をレポートします。

今回ご紹介するのは、四肢が麻痺した状態で保護され、懸命なリハビリによって奇跡的な回復を見せた歩ちゃんのお話です。

四肢が麻痺した状態で公園に置き去りに……

東京都にお住まいのUさん宅の歩ちゃんは元保護犬で、2022年3月に四肢が麻痺した状態で動物愛護団体に保護されました。その後、懸命なリハビリの積み重ねで、歩ちゃんは奇跡的に回復し、現在は、しっかりした足取りで歩けるようになりました。
 
歩ちゃん(メス・推定3才/3.5kg/ミニチュア・ダックスフンド/甘えん坊)
歩ちゃん(メス・推定3才/3.5kg/ミニチュア・ダックスフンド/甘えん坊)
歩ちゃんは発見された当時、四肢が硬直した状態で公園にポツンと放置されていたそうです。それを近所の住民が発見して保健所に連絡。そして、NPO法人アグリドッグレスキュー(以降アグリ)によって保護されました。
保護直後の歩ちゃん。四肢がピーンと硬直して起き上がることもできませんでした。ここから懸命なリハビリが始まりました
保護直後の歩ちゃん。四肢がピーンと硬直して起き上がることもできませんでした。ここから懸命なリハビリが始まりました
動物病院での検査や診察を経て、その後歩ちゃんは、アグリで預かりボランティアをするTさん宅で、献身的なケアを受けることに。Tさんは「メンテナンスドッグマッサージ®」という犬のリハビリテーションなどを行うセラピストの資格をもっていたため、工夫を凝らしたさまざまなリハビリを行ったそうです。

まず、四肢の関節がピーンと突っ張ったままになっている歩ちゃんの足を毎日欠かさずマッサージして、足の裏の感覚をよみがえらせるための指圧などを行いました。そして、手嶋さんと旦那様が手作りした専用マッサージローラーで全身に刺激を与え、傾斜の角度が変えられる専用のボードに乗せて後ろ足に負荷をかけるトレーニングなども実施。そして1カ月くらいがたつと、歩ちゃんの前足が動くようになってきたそうです。
アグリの預かりボラでリハビリなどの資格をもつTさん。アイデアを駆使したリハビリ法により、症状は劇的に改善
アグリの預かりボラでリハビリなどの資格をもつTさん。アイデアを駆使したリハビリ法により、症状は劇的に改善

歩ちゃんの壮絶な過去を知り、家に迎える決意を

Uさんは、ちょうどそのころアグリのブログで歩ちゃんを見つけ、その背景を知り衝撃を受けました。
「このコは体が動かない状態でひとりぼっちで公園に置いていかれて、どんなにつらかったか……、それを考えたら涙が出ました。そんな壮絶な体験をしたこのコを、なんとしても幸せにしてあげたいと心から思ったんです」
 
そして、Uさんは譲渡前にまずはトライアルをすることになり、Tさんと二人三脚で毎日歩ちゃんのリハビリに励みました。
「最初は前足だけではうような形で移動していましたが、ある日、ゴハンを用意していると、待ちきれなくなった歩がウサギみたいに後ろ足にも体重をかけてピョンピョンと跳ねたんです。『これなら歩けるようになるかも!』と、そのときは本当にうれしかった」とUさん。
 
そして、一日も早く歩けるようにと『歩』と名づけることに。トライアル中も、歩ちゃんはその気持ちに応えるように少しずつ回復していってくれたそう。
預かりボランティア宅での懸命のリハビリを行い、トライアル期間を経て、歩ちゃんがUさん宅に正式に迎えられる
預かりボランティア宅での懸命のリハビリを行い、トライアル期間を経て、歩ちゃんがUさん宅に正式に迎えられる
ところで、もともとUさんは保護活動に関心があり、歩ちゃんを迎える前には、シニアの元保護犬を迎え、最後は介護をして看取りをした経験がありました。
「なーちゃんという先代犬は、2021年12月に推定16才で虹の橋を渡りました。なーちゃんの介護をしていた日々には、大変なこともありましたが、私にとって一日一日が本当に貴重でした。この介護の期間があったからこそ、愛犬との絆をさらに深められたと思っています」と語るUさん。
 
シニアであったり、何かしらのハンデがあったりする保護犬は、譲渡が難しいと愛護団体などから聞きますが、むしろ、そうした犬たちを一頭でも迎えていきたいと思ったそうです。そして、なーちゃんを看取った翌年の1月には、推定15才の全盲のメリアちゃんを別の愛護団体から迎え、5月に歩ちゃんを正式に家族として迎えることにしました。
最初に前足が動くようになり、少しずつ後ろ足にも力が入るようになった歩ちゃん。引き続き、後ろ足のリハビリを重点的に行う
最初に前足が動くようになり、少しずつ後ろ足にも力が入るようになった歩ちゃん。引き続き、後ろ足のリハビリを重点的に行う
次回は毎日のお世話と工夫についてレポートします。
※掲載の情報は2022年11月号発売時のものです。
出典/「いぬのきもち」2022年11月号『困難と闘う!……その先のしあわせへ』
取材協力/自由が丘動物医療センター
写真/田尻光久
取材・文/袴 もな
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