犬が飼い主の靴下や靴を好む理由　ニオイが好きなの？

犬のなかには人の靴下や靴、スリッパが大好きなコがいますが「奪っていく」「体をスリスリする」「優しく噛み続ける」「ずっと守っていて離さない」など、みられる行動はその犬によって異なるようです。

では、なぜ犬にこのような行動がみられるのでしょうか。

「犬が飼い主の靴下や靴を好む理由」について、いぬのきもち獣医師相談室の藤井亜希奈先生が解説します。

犬が飼い主の靴下や靴を好む理由

犬が飼い主の靴下や靴などを好むのは、大好きなご家族のニオイが染み付いた靴下や靴をくわえることで満足感が得られたり、奪われた靴下や靴を取り返そうとみんなが一生懸命になる様子が面白いなど、遊んでもらえると思っているのでしょう。

また、ご家族の皆さんがそういった行動を繰り返すことで、犬はもっと靴下や靴を取ろうと学習していきます。

そのほかでは、靴下や靴が振り回しやすい、噛みごたえがある、ニオイがつきやすいなどの大きさや素材も犬に好まれやすい可能性があります。

犬にとって人の靴下や靴は臭くないの？

人が履いた後の靴下や靴は、私たち人間にとっては「臭いもの」「汚いもの」というイメージがありますよね。ここで出てくるのが「犬は、靴下や靴を臭く感じないの？」という疑問です。

人の靴下や靴は汗で蒸れることから臭いが出やすいものですが、犬はこの臭いを飼い主さんのニオイとそうでない人のニオイに嗅ぎ分けることができるため、飼い主さんやご家族の靴下や靴は安心できるとても魅力的なニオイとなっているのでしょう。

ニオイを嗅ぐことは犬のコミュニケーションツールのひとつなので、ニオイが強いものとして特に靴下や靴などが好まれる傾向があります。

犬の本能や習性から靴下や靴に興味を持つことがある

犬の性格や好みは個々に違うので一概にはいえませんが、犬にとって人の靴下や靴は、

飼い主のニオイが染み付いているもので手に入りやすい

洋服と違い靴は玄関に置きっぱなしであることが多い

靴下が室内に脱ぎっぱなしの場合は手に入りやすい

靴下は飼い主から脱がせやすい

大きさも手頃で振り回しやすく持ち運べる

といった理由からおもちゃの代わりにされやすいといえるでしょう。

また、狩猟本能や所有欲が刺激されやすいことから、好奇心旺盛な若い犬にこういった傾向がみられます。

靴下や靴が好きな犬への対応と注意点

靴下や靴を好む犬に対しては、トラブルにならないようにしっかりと対応していく必要があります。

①靴下を守る犬への対応

犬が靴下や靴を自分の所有物とすることで、誰かに取られたくない気持ちから守ろうとしたり、靴下や靴を取り上げようとする人に対してうなる、噛むなどの威嚇や攻撃をすることも考えられます。

一度取り上げられたものを取り返そうとしてくる犬の場合は、靴下や靴に限らず、愛犬が持っているものを指示によって離すことができるようにしつけを行いましょう。

②誤飲・誤食事故の防止

もし、愛犬に靴下や靴を取られた場合はすぐに返してもらうか、回収するところまでを必ず確認してください。

万が一遊んでいる途中でそのまま飲み込み、胃や腸で詰まると腸閉塞を起こしてしまい、開腹手術で取り出さなければならなくなってしまうことがあります。

何度も同じことを繰り返してしまい、4回も手術をして靴下を取り出さなければならなかったコもいます。飼い主さんが見守ることができないのであれば、愛犬が靴下や靴で遊ばせないように生活環境を工夫しましょう。

③靴下や靴で遊ばせないようにする

犬が「靴下や靴＝楽しいおもちゃ」「靴下や靴を持つ＝みんながかまってくれる」と学習してしまうと、何度も繰り返すようになりトラブルになる確率が上がるため、愛犬に靴下や靴で遊ばせないようにすることをおすすめします。

特に、靴下は素材や形状から犬が飲み込みやすいのでトラブルになりやすいです。

誤飲・誤食は犬の命に関わる問題となることがあるので注意が必要ですね。

（監修：いぬのきもち獣医師相談室獣医師・藤井亜希奈先生）
取材・文／maki
※写真は「いぬのきもちアプリ」で投稿されたものです
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください