ジメジメした梅雨時は、不調を感じる犬も少なくないようです。高温多湿により傷んだ食べ物を食べて食中毒を起こしたり、皮膚が被毛で蒸れて皮膚疾患を起こしやすくなったりすることも。今回は、梅雨時に起こりがちな犬の不調について、獣医師の南直秀先生に伺いました。
細菌やカビの繁殖による食中毒
食物にもともと微量に付着している、通常では悪さをしない菌が、高温多湿により増殖することで毒素を発生させ食中毒の原因に。カビが生えたドライフードや、数日経過して菌が繁殖した生肉などを与えることで、食中毒が発生しやすくなります。
食中毒になると、嘔吐を繰り返す、水のような下痢便が出る、血便が出るなどといった症状が出ます。
食中毒を起こさせないための対策
しつけ用のポーチの中にはフードを放置せず、こまめに洗濯しましょう。ただ洗濯するよりも、酸素系漂白剤を溶かした水につけおきすると、雑菌を除去しやすいです。
食べ残したフードは早めに片づけ、食器はまめに洗いましょう。また、飲み水は常に汚れをろ過できるボウルを使用するなど、新鮮な水が飲めるようにすることも食中毒を防ぐのにおすすめです。
●ドライドライフードは少なめサイズを短期間で使いきる
ドライフードが古くなると酸化してカビが生える原因になるので、買いだめや大袋での購入は控えたほうがよいでしょう。手作り食の場合は、1食分ずつを密閉容器に小分けにして入れて冷凍保存を。
菌やノミ・ダニが増えて起こる皮膚トラブル
湿度が上がると犬の被毛に付着した細菌やノミ・ダニが繁殖しやすくなり、皮膚にかゆみや炎症などを引き起こす原因に。また、雨の日の散歩後や、シャンプー後に濡れた被毛をしっかり乾かさないと、皮膚表面の湿度が上がって細菌が繁殖しやすくなります。
皮膚トラブルで出るおもな症状は、皮膚が赤くなる、ただれる、脱毛する、耳から嫌なニオイがするなどです。
また、起こりやすい皮膚疾患として、ホットスポット、皮膚糸状菌症(ひふしじょうきんしょう)、ノミ・ダニ感染症、マラセチア感染症などがあります。
皮膚炎を起こさせないための対策
室温は26℃前後、湿度は50~60%を超えないようにエアコンなどで管理しましょう。空気清浄機を併用したり、部屋の掃除をこまめに行ったりすると、空気中のホコリや花粉などが皮膚に付着しにくくなります。
シャンプーは地肌の汚れを落とすことと、念入りに乾かすことが大事です。自信がなければプロに頼んでもよいでしょう。シャンプー後だけでなく、雨の日の散歩で濡れた足などもしっかり乾かしましょう。
紫外線の浴びすぎは犬の皮膚にも悪影響が。紫外線は5~8月ごろに強くなるといわれているので、日が高い時間帯は散歩を避けたり、日中は極力日陰を選んで歩いたりするなどの工夫を。また、紫外線を浴びやすい窓際に長時間いさせないように注意しましょう。
ブラッシングを丁寧に行うことで、抜け毛や汚れを取り除いて通気性をよくし、被毛を清潔に保ちましょう。ブラッシングが嫌いな犬の場合は、部位ごとに時間をあけてブラッシングしてもOKです。
梅雨時は、いつも以上に食中毒や皮膚のトラブルに気をつけて愛犬の健康を守りましょう。愛犬に不調が見られた場合は、動物病院を受診してくださいね。
お話を伺った先生/南直秀先生(東京動物医療センター副院長)
参考/「いぬのきもち」2018年6月号『ジメジメした季節に起こりやすい体調変化に気をつけて 梅雨の不調から愛犬を守ろう!』
文/小林けい
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。