飼い主さんが知っておきたい犬の健康について獣医師さんに聞いてみました。今回のテーマは、『犬の膀胱炎』です。(監修/いぬのきもち獣医師相談室)
『犬の膀胱炎』とは?
膀胱に炎症がおこる病気です。犬の泌尿器疾患の中では発症率が高く、治療で良くなった後も再発には引き続き注意が必要です。水分摂取量が減ると発症しやすくなるため、飲水量が減る寒い季節には特に注意が必要です。
犬の飲水量が減る寒い季節は特に注意が必要です
Q. 犬の膀胱炎の原因を教えてください
A. 原因として多いのは細菌感染です。大腸菌やブドウ球菌などの細菌が尿道を逆行して膀胱に達し、増殖して膀胱に感染する事で発症します。真菌・寄生虫感染による場合もあります。感染性膀胱炎は、尿道が太く短いメスに発症しやすい傾向があります。
尿結晶や膀胱結石による膀胱粘膜への刺激も、発症の原因になります。尿結晶や膀胱結石は、遺伝的要因や食事内容、代謝の異常などにより尿中に作られる傾向があります。
その他、腫瘍や外傷による膀胱粘膜の損傷、排尿を我慢する、水分摂取量が少ないといった毎日の生活習慣が、膀胱炎の発症や悪化に関わる場合もあります。
Q. 犬が膀胱炎になるとどんな症状が出てきますか?
A. 残尿感から何度もトイレに出入りする、尿の色が濁る、臭いが強くなる、血尿、などの症状が見られます。また、排尿時の痛みによって尿が出せなくなる「尿道閉塞」を起こす事もありますが、これはオスに多い傾向です。
排尿以外の症状としては、食欲不振、発熱、元気消失などの全身症状が現れる事もあります。まれに慢性の膀胱炎から更に腎盂腎炎などを引き起こすケースもあります。
Q. 犬が膀胱炎になった場合、どのような治療が行われますか?
A. 投薬などの内科的治療が中心です。細菌や真菌などの感染が原因の場合は、最適な抗生物質や抗真菌剤を選択し投与します。尿結晶や膀胱結石が原因の場合は、それらの種類に合わせた療法食や薬・サプリメントなどを与えます。ただ、膀胱結石が原因の場合は状況により結石の摘出手術が必要な場合もあります。
Q. 犬の膀胱炎の予防法を教えてください
A. 予防の基本は、膀胱に尿道から侵入してくる細菌を尿で流すことなので、尿の量が減らないよう飲水量を増やします。また、排尿を我慢するような状況が続いたりしないように、トイレを清潔に保ち、ストレスなどによって免疫力が低下する事も避けるようにします。栄養バランスのとれた良質のフードを与える事も予防になります。膀胱炎は早期発見・早期治療が大切です。トイレに行く回数や尿の量・色などに変化が見られる場合は、早めに動物病院で診察を受けましょう。