リードをぐいぐいする、ほかの犬を嫌がるなど、なぜだかわからないけど愛犬が散歩中に妙に嫌がることってありますよね。じつは犬目線で考えてみると、その理由がわかってきます。今回は獣医師でペットドッグトレーナーの藤本聖香先生に、愛犬目線で嫌がる理由を教えていただきました。
ほかの犬を嫌がるのは……「苦手なホラー映画を見せられている気分になるから」
散歩中にほかの犬にあいさつさせようと近づけても嫌がって逃げる、なんていることはありませんか? それは、愛犬はほかの犬が苦手なのに無理に近づけさせせられ、犬目線でいえば、まるで苦手なホラー映画を最前列で見せられているような感覚になるから。目の前にほかの犬が現れたのに逃げられない状況は、想像を絶する恐怖なのですよ。
愛犬がほかの犬を苦手なら、無理にあいさつをさせず、相手から離れた場所をすれ違ったり、回り道をして接触を避けるのがいいでしょう。
リードを引っ張るのは……「引っ張られるから引っ張り返しているだけ」
犬は体を押されたり引っ張られたりすると、それとは反対に動こうとする習性があるといわれています。散歩中にリードを高い位置で持ったり短くしすぎていたりすると、リードが張って愛犬の体が後ろに引っ張られます。その結果、愛犬は「引っ張られたから前に進もう」と、リードをどんどんと引っ張るように。
改善するには、リードを引っ張らないようにすることです。散歩中は肩の力を抜いて、手は下におろします。リードは無理に短くせずに持ってみましょう。
台車やキャリーケースを嫌がるのは……「大きいし音がすごいから超怖い」
散歩中に台車やキャリーケースなどが近くを通ると怖がる犬は多いですよね。犬目線で見ると、台車やキャリーケースなどが道路を通る際の音は犬には雷鳴のように感じます。とくに台車と出会ったときは自分より大きな何かが雷鳴とともに迫ってくる感覚で、「襲われる!」と思うのです。
台車やキャリーケースを持つ人を見かけたら、愛犬が怖がらない程度まで離れるか、わき道へそれましょう。飼い主さんが間に立って壁になってもいいですね。
いかがでしたか? 犬目線になって考えると、なぜ?と思っていた愛犬の行動がどんどんわかってきます。今回ご紹介した散歩のシーン以外でも、犬目線で考えてみる習慣をつけて、愛犬を恐怖や不快から守ってあげましょう。
お話を伺った先生/英国APDT認定ペットドッグトレーナー・獣医師 藤本聖香先生
撮影/佐藤正之
参考/「いぬのきもち」2023年3月号『犬目線でわかった! うちのコがお世話を嫌がるワケ』
文/いぬのきもち編集室