〝愛犬が望むこと〞として、飼い主さんに約束してもらいたい10のことを紹介します。この先もずっといっしょに幸せでいるために、愛犬の希望をかなえてみませんか? 獣医師でドッグトレーナーの藤本聖香先生に教えていただきました。
※この記事では、内容をよりわかりやすくするために、一部擬人化して表現しています。
1.ぼくの一生は10〜15年ほど。その間いっしょに幸せに暮らしていくためのプランを思い描いてほしいのです。
犬は人よりも速いスピードで年をとります。まだ若いと思っていても、あっという間に飼い主さんの年齢を追い越してゆくのです。残りの犬生を悔いなくいっしょに楽しむために、「次はあそこへ旅行に行こう」「今年、春と秋に定期健診を受けよう」など今からでも先々を考えて計画することで、一日一日を胸に刻みながら大切に過ごせるようにしましょう。
2.ぼくに飼い主さんたちのことをいろいろ教えてほしい。そしてぼくのことも、たくさん知ってほしいです。
たとえば夜間に吠えさせないなど、人社会のルールを教えないと、愛犬は慣れない世界に不安を感じ、周囲の人にも迷惑をかけるかもしれません。対して飼い主さんも愛犬の行動をよく観察して「犬」を知れば、愛犬の気持ちに気づきやすくなることでしょう。
3.ぼくに何か教えるとき、それができるようになるまで少し気長に構えていてほしいな。
愛犬にしつけをするのは、私たちが外国に行き、その国の言葉やしきたりを覚えるようなもの。覚えるまでそれなりに時間が必要なのです。ただし根気よく教えていれば、愛犬は必ず覚えます。長い目で見て教えましょう。
4.何かできたらニッコリ笑って心からほめてもらいたい! 本当はおやつより何よりも、それがいちばんうれしいから。
愛犬を上手にしつけるコツは、できたときに笑顔で心からほめること。それだけで愛犬は「うれしい! 楽しい!」と思い、教えられたことを覚えていくのです。ただし、心のこもっていない笑顔は愛犬に伝わらないのでご注意を。
5.「ときにはたたいたり怒鳴ったりして教えることも必要」だなんて思わないで。そんなことをされたら、ぼくはきっとおびえてしまいます。
怒鳴れば伝わるという考えは間違い。怒ったときに愛犬がおなかを見せたり飼い主さんをなめるのは、謝っているのではなく、そうすればその場が早く収まると知っているから。半ばおびえているのです。暴力、暴言は×!
6.たとえ短時間でも、日々ぼくと向き合う時間をつくってほしい。大好きな飼い主さんとの時間、大切にしたいのです。
日中は留守がちな飼い主さんも少なくないでしょう。でも外出前や帰宅後など、できる限り愛犬との時間を大切にしたいもの。その時間が愛犬にとって何より至福のときで、お互いの関係を深められるタイミングなのです。
7.とはいえ、たまにはぼくひとりで過ごす時間もつくってね。そのほうが、飼い主さんといい関係を保てるから。
いっしょに何かをする時間は大切ですが、それぞれのプライベート時間も必要。眠いときや疲れたときは、愛犬もひとりでゆっくりしたいのです。四六時中かまっていたら「飼い主さん=安らげない人」と思われるかも。
8.ぼくにも感情や機嫌のよしあしがあります。それを正しく読みとってくれれば、もっと仲よくなれるんです。
たとえばほかの犬が怖くて固まっているのに「恥ずかしがらないで」と無理に相手の犬に近づける、嫌だと伝えたくて歯を見せているのに「おもしろい顔」としつこく嫌がることをするなど、愛犬の気持ちをくみとれない行動はNG。関係性が崩れるきっかけになってしまいます。
9.いつもはできるのにやらない。何か違う……。そんな“いつもと違う”様子は、ぼくからのSOSサインです。
愛犬の体調の変化は「いつもと違う」にあらわれることが多いです。それに気づけるのは世界でただひとり、飼い主さんだけ。愛犬はいつも飼い主さんを頼りにしています。些細な変化を見逃さず、SOSに気づいてあげて。
10.最期のときまで、ぼくといっしょにいてください。飼い主さんがいてくれれば、ぼくは安らかに眠れるのです。どうか忘れないで。そして、ぼくはあなたの笑顔が大好き。あなたを生涯愛しています。
飼い主さんがそばにいなければ、愛犬は不安でしょう。でも笑顔で隣にいてくれれば、それだけで愛犬は満ち足りて、飼い主さんといられて幸せだったと思うはず。最期のときこそ笑顔で「ありがとう」と言いたいですね。
いかがでしたか? 愛犬ともっと絆を深められるように、「犬の十戒」をぜひ家族みんなで読んで、実践してくださいね。
お話を伺った先生/獣医師。英国APDT認定ペットドッグトレーナー 藤本聖香先生
参考/「いぬのきもち」2020年1月号『犬の十戒』
写真/尾﨑たまき、佐藤正之
文/いぬのきもち編集室