愛犬に与えるドッグフードを選ぶ際、含まれている栄養や成分が気になる飼い主さんも多いのではないでしょうか。そこで今回は、ドッグフード選びに関するよくある4つの疑問を取り上げ、獣医師の左向敏紀先生にお話を伺いました。
ドライフードは加熱処理で栄養が失われているって本当?
ドライフードの製造過程で加熱処理が行われることは事実ですが、そもそも総合栄養食を製造しているフードメーカーでは、加熱処理後に製品が完成した状態でも栄養成分を測定しています。
そのため、加熱によってドッグフードの栄養バランスが崩れることはありません。
やはり「無添加」フードは安心なの?
添加物は体に悪いと考えられがちですが、栄養を整える目的で加えるビタミンなども添加物の一種です。総合栄養食を添加物なしで作ることは難しいため、完全無添加で栄養が整ったドッグフードはほぼないでしょう。
なお、ドッグフードに使用される主な添加物は、以下のとおりです。
栄養のバランスを整える添加物
総合栄養食には犬が生きるために必要な栄養素を全て入れ込まなければならないため、ビタミン、ミネラル、アミノ酸などが添加されていることが多いです。
品質を保つための添加物
有害な微生物がドッグフードに悪影響を及ぼさないようにするために、保湿剤、pH調整剤、保存料が含まれている場合があります。また、ドライフードに含まれる油脂の酸化を抑える酸化防止剤、油脂と水分を混ざりやすくする乳化剤などが添加されることも。
フードを美しく見せたりおいしさをUPさせたりする添加物
缶詰やレトルトパウチのドッグフードにとろみをつける増粘安定剤、フードの色を鮮やかに保つ発色剤、おいしそうな見た目にする着色剤などがあります。
避けたほうがいい添加物はある?
最近はペットフードに使用されることが減っていますが、酸化防止剤の「エトキシキン」「BHA」「BHT」が気になるなら、購入前にラベルの成分表示を確認しましょう。
なお、これらはマウスなどを用いた研究で発がん性が認められたとの報告があるようですが、現在犬では確認されていません。また、ペットフードに使用する際は量の上限が定められており、入っていてもごく少量なのでほぼ害はないと考えられます。
たんぱく質は多いほどいい?
健康で活発な犬に対し、高たんぱくの総合栄養食を与えるのは問題ありません。しかし、肉などのたんぱく質量が多い食材ばかり与えると、腎臓や肝臓の負担になることがあります。
とくにシニア犬に肉などを継続的に与えたい場合は、獣医師に相談してからにしたほうがよいでしょう。
愛犬に与えるフードに悩んだら、かかりつけの獣医師に相談してみるとよいでしょう。
お話を伺った先生/左向敏紀先生(獣医師 日本獣医生命科学大学名誉教授 日本ペット栄養学会会長)
参考/「いぬのきもち」2024年10月号『添加物はダメ? 安いフードでも大丈夫? みんなの気になるetc. ドッグフードQ&A』
文/東里奈
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性がない場合もあります。