まだ涼しいのに熱中症になるの?
「熱中症」は夏だけのものだと思っていませんか?人の感覚で「まだ暑くないから大丈夫」と判断していると実は非常に危険なのです。
被毛に覆われた犬は、人に例えると常に厚い毛皮を着ているようなもの。それに加え、ちょっと暑いと感じても犬は言葉をで伝えることができないため、飼い主さんが気付いた時にはもう手遅れになってしまうこともあります。
涼しい地方や時期でも愛犬が熱中症になってしまったという飼い主さんの実際の体験談をチェックして、熱中症への危機感を高めましょう。
短頭種の「ハァハァ」を見逃さないで!
熊本県熊本市で起こったフレンチブルドッグの飼い主さんの体験談
フレンチブルドッグを飼っている我が家。その日も呼吸が荒かったのですが、もともとハァハァしがちな犬種だからという思い込みからそのままにしていました。夜になり涼しくなれば治まるのかと思っていましたが、さらに悪化してガァガァと苦しそうな呼吸困難な状態に…。夜間救急に駆け込みました。
先生からのコメント
フレンチブルドッグやシーズーなどの短頭種は、もともと気道が狭く呼吸がしづらい犬種です。体温が高くなると呼吸回数が増えてさらに呼吸がしづらくなる傾向があります。呼吸困難になると気道を確保するなどの処置が必要になるので注意しましょう。
肥満気味の犬は熱中症になりやすい?
京都府京都市で起こったミックス犬の飼い主さんの体験談
ゴールデンウィークに、太り気味の愛犬を連れて車で出かけた時のことです。渋滞にはまり4~5時間、車内に缶詰めになったのでエアコンを入れたり窓を開けたり、室温には気を使っていました。しかし、愛犬の呼吸が荒くなり、気が付けばぐったり。渋滞が解消して動物病院に着いた時には意識がなく…。
先生からのコメント
首周りに脂肪がつくと気管が圧迫されて、常に首を絞められているような状態になります。呼吸がしづらいだけではなく、熱中症も引き起こしやすくなります。太り気味の犬の場合は、特に注意する必要がありそうですね。
遊びに夢中になったら、要注意!
福島県南会津郡で起こったボーダーコリーの飼い主さんの体験談
芝生のある公園で遊びに行った時のこと。ボールを投げると全力で追いかける愛犬と「モッテコイ」遊びを20分程していました。日陰で休もうとしたところ、突然愛犬がバタンと倒れて動けない状態に。幸い近くに川があったので全身を冷やして回復しましたが…。
先生からのコメント
走り回ったり遊びが盛り上がったりすると、犬の体温が上がりがち。特に雨の翌日は、芝生が蒸れて高湿状態になります。雨上がりの暑い日は、激しい遊びを控えたり、涼しい時間を選んだりするなど工夫しましょう。
車内の高温にご注意!放置は絶対NG!
沖縄県那覇市で起こったチワワの飼い主さんの体験談
沖縄旅行中、お店の駐車場に車を止めて愛犬を待たせ、お昼ごはんに。暑くない日で、なおかつ日陰だったので大丈夫だと思っていました。しかし、40分後に車に戻るとぐったりした愛犬に姿がありました。土地勘もない中、やっとの思いで動物病院にたどり着いた時には、すでに亡くなっていました。
先生からのコメント
旅行先の暑さ寒さは、現地に着くまでわかりづらいものです。それに加え、車の中は人が感じるよりも暑いもの。車に残すのは絶対にNG。また、愛犬と一緒に旅行する際は、旅先の動物病院の場所や連絡先も把握し、万が一に備えましょう。
涼しい時期でも犬が熱中症になってしまう一番の原因は、まだ涼しいから大丈夫という「油断」にあるかもしれません。犬は、人以上に暑さや湿度に対して敏感な生き物だとしっかり意識し、熱中症対策をしましょう!
出典/「いぬのきもち」2017年8月号『熱中症体験談』(監修:東京動物医療センター 南直秀先生、京都ダクタリ動物病院京都医療センター 森尚志先生、竜之介動物病院徳田竜之介先生、みずほ台動物病院/琉球動物医療センター 兼島孝先生)
文/なかやまゆ
※写真はスマホアプリ「まいにちのいぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。