シニア犬になり体力が衰えると、食事面にも影響が出てきます。愛犬の食事姿に変化が見られたら、原因を探って適した工夫をしてあげることが大切です。
今回はシニア犬によくある食事のお悩みについて、獣医師の佐々木彩子先生に解決法を教えていただきました。
【お悩み1】ゴハンを食べにくそうにしている
体幹や嚥下(えんげ)のための筋肉などの衰えが原因であれば、食事の環境とゴハンの形状を見直してみましょう。
愛犬が食べやすいフードボウルを探す
参考・写真/「いぬのきもち」2025年3月号『愛犬に食べる楽しみと喜びをいつまでも!シニア犬の食事の困った!を解決』
フードボウルは高さがに合っているかどうかを確認したうえで、犬が舌ですくいやすい形状のものに替えてみてください。たとえば短頭種なら、底が丸みを帯びた口径の広いフードボウルを用いるなど、より愛犬に合ったものを選んであげましょう。
フードを愛犬が食べやすい形状に
参考・写真/「いぬのきもち」2025年3月号『愛犬に食べる楽しみと喜びをいつまでも!シニア犬の食事の困った!を解決』
また、ドライフードをお湯でふやかしたり、ウエットフードに変えたりして食事の形状を変えることで、犬が食べやすくなることも。また、香りもでるので食欲をそそるでしょう。
【お悩み2】食への執着が増した
しっかり食べているのにゴハンを求めてくるようになったら、食事への執着が高まっているのかも。こういった場合は、一食の満足感を高めつつ、ゴハン以外の楽しみをつくって気持ちを分散させてあげましょう。
シニアでも楽しめる遊びを取り入れていく
参考・写真/「いぬのきもち」2025年3月号『愛犬に食べる楽しみと喜びをいつまでも!シニア犬の食事の困った!を解決』
宝探しなど嗅覚を使った遊びや、飼い主さんのコミュニケーションを意識した遊びなど、愛犬が喜ぶ時間を日々の生活に取り入れましょう。
知育おもちゃを使ったゴハンで満足度を高める
狩りをしていた犬にとって、努力して得た食べ物はそれだけ価値があり、満足度も高まります。知育おもちゃを使ってゴハンを与えるのもいい方法ですよ。
【お悩み3】吐き戻す
胃や腸などの消化機能の衰えが原因で、食べたものを吐き戻してしまうことがあります。消化のしやすさなど、フード自体を見直してたうえで、一気に食べると吐き戻しやすいため、少量ずつ何度かに分けて与えましょう。
1日の分量はキープしつつ、食事回数を増やす
参考・写真/「いぬのきもち」2025年3月号『愛犬に食べる楽しみと喜びをいつまでも!シニア犬の食事の困った!を解決』
これまで朝夕1日2食であった場合、朝昼晩の1日3食さらには1日4食にするなど、1日の食事量は変えずに1回に与える量を減らすことで、胃への急な刺激・負担の軽減に。
【お悩み4】食が細くなった
食が細くなったり、食べられなくなったりするときは、病気が原因の場合も。まずは動物病院で病気の有無を確認してもらいましょう。また、食が細くなったときは運動に注目を。とくに足を動かすと、動きが鈍くなっていた胃腸が動きだし、食べられるようになることがあります。
モチベーションを高め運動を促す
参考・写真/「いぬのきもち」2025年3月号『愛犬に食べる楽しみと喜びをいつまでも!シニア犬の食事の困った!を解決』
明るい声かけや好きなおやつなどを使って愛犬のモチベーションを高め、室内の移動や散歩などで意識的に体を動かすよう促し、胃腸の働きを活発にしましょう。
愛犬が好きなフードを与えて体重をキープ
参考・写真/「いぬのきもち」2025年3月号『愛犬に食べる楽しみと喜びをいつまでも!シニア犬の食事の困った!を解決』
体重が減ってしまわないよう、香りの強いウエットフードなど、愛犬が食べてくれそうなものをいろいろ与えるのも手。
【お悩み5】選り好みをする
選り好みは必ずしもワガママではなく、消化機能の衰えによってタンパク質や脂質を分解しにくくなり、体が拒否状態であることも。今のフードが愛犬の体の負担になっていないか確認しつつ、トッピングで変化をもたせるのがおすすめです。
参考・写真/「いぬのきもち」2025年3月号『愛犬に食べる楽しみと喜びをいつまでも!シニア犬の食事の困った!を解決』
味や香りが変わることで食欲の増進に期待ができるトッピング。トッピングの内容に変化つけ、日替わりで楽しませるものいいですね。
※与えてもよい状態かどうか、かかりつけの獣医師に確認してからにしましょう。
愛犬がいつまでも食べる喜びを感じられるよう、適した工夫をすることでサポートしていきましょう。
お話を伺った先生/佐々木彩子先生(「キュティア老犬クリニック」獣医師 獣医中医師1級・獣医推拿整体師 獣医中医師協会所属)
参考・画像/「いぬのきもち」2025年3月号『愛犬に食べる楽しみと喜びをいつまでも!シニア犬の食事の困った!を解決』
文/柏田ゆき