子犬期は免疫機能が整っていないため、感染症全般にかかりやすい傾向があります。また、体が未発達でしつけも未完成なので、事故によるケガなども少なくありません。
そこで今回は、子犬期に気を付けたい病気やトラブルについて、獣医師の野矢雅彦先生に伺いました。
寄生虫症
回虫、コクシジウム、ジアルジアなどの寄生虫によって引き起こされる「寄生虫症」。下痢やおう吐、食欲不振などの症状が出ます。家族に迎える前からすでにかかっていて、一緒に暮らし始めてから症状が出るケースが多いようです。
先住犬がいる場合は、新たに迎えた犬と先住犬の間で感染がループしてしまうことがあるため、ウンチの検査をしてから対面させるといいでしょう。
感染症
ケンネルコフやジステンパー、パルボなどの感染症は、咳や高熱、下痢やおう吐などの症状が出る病気です。子犬は免疫力が未熟なので、これらの感染症にかかりやすい傾向があり、重症化すると命に関わります。
感染した犬との接触、汚染された施設、散歩などで感染し、家に迎え入れてからすぐに発症することも多いため、ワクチン接種が終わるまでは注意が必要です。
誤食
子犬期は歯の生え替わりによる口内の違和感や、新しいものに対する好奇心などから誤食をしやすい時期です。食べたものや状態によっては、開腹手術が必要になることもあるため、誤食させない環境づくりを徹底して予防をするといいでしょう。
なお、子犬が誤食しやすいものは以下のとおりです。
・トイレシーツ
・子どものおもちゃ
・ぬいぐるみの綿やスポンジ
・革製品
・輪ゴムや布、ひも など
前足の骨折
子犬期の前足の骨は成長途中でとても細く、小さな衝撃でも折れやすくなっています。前足にある橈骨(とうこつ)や尺骨(しゃっこつ)がそれぞれつまようじ1~2本の太さしかないこともあり、成長途中の子犬期は特に折れやすい傾向に。
また、運動不足だと骨が弱くなり、簡単に折れてしまうことがあるため、床を滑りにくくしたうえでたくさん運動をさせて、骨を丈夫にしましょう。特になりやすい犬はトイ・プードル、チワワ、ポメラニアン、パピヨンなどの小型犬が挙げられます。
股関節形成不全
股関節形成不全とは、股関節を形作る骨が正常に育たず、炎症や痛みが生じて歩行障害などを引き起こす病気です。発症には遺伝的な要因が強く、ゴールデン・レトリーバー、バーニーズ・マウンテン・ドッグ、グレート・ピレニーズなどの大型犬に多く見られます。
症状の程度や年齢によって対処方法は変わりますが、痛みを抑える処置や手術などで治療を行います。
子犬期に注意したい病気は、ご紹介したとおりたくさんあります。子犬をお迎えしたら、毎日しっかりと観察をして、少しでもおかしいなと感じたら早めに動物病院を受診しましょう。
お話を伺った先生/野矢雅彦先生(ノヤ動物病院院長)
参考/「いぬのきもち」2025年6月号『いぬのきもち23周年特別企画① ずーっと元気でいてほしいから! かかりやすい犬種&タイプもわかる! ライフステージ別 気をつけたい 病気・トラブル』
文/東里奈
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
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