飼い主さんから見ると眠りにくそうだったり、窮屈そうだったりする犬の寝場所。そこにはさまざまな理由がひそんでいます。今回は足元で寝る犬に注目し、愛犬がどんな心理で寝る場所を選ぶのかといった点も含め、哺乳類学者の今泉忠明先生に伺いました。
愛犬の寝る場所で気持ちが分かる
犬は「家族全員を見渡せる場所」を好んで寝場所にします。一見、ひとりでいたいのかな? と思えるような狭い場所や部屋の隅で寝ていても、そこが大好きな家族の存在を感じられ、安心できる場所なのです。
野生時代の犬は、小さな物音ひとつしてもすぐ動きだせるほど、眠りが浅かったといわれています。そうした本能は家庭犬となっても残っており、寝ているときも家族の気配を感じているのです。
とはいえ、ところかまわず“へそ天”で熟睡する犬もいるのは、「敵」のいない安心できる環境なればこそといえるでしょう。
愛犬が寝る場所を選ぶときの基準は?
家族の動きにいち早く反応できる場所
敵に備えて眠りが浅かった野生の犬の本能は、飼い主さんの声にすぐ反応するために受け継がれています。たとえば、「散歩」と声がしたら、すぐに動き出せるような寝場所をセレクトしているはず。
安全で静かな場所
たとえば寝ているときに足を踏まれた経験があると、足を隠せる場所を見つけ、足だけを隠して寝ることも。足は踏まれたくないけれど、飼い主さんのそばにいたいといった気持ちが読み取れます。
安心して眠れる場所
先述したように、家族の気配を感じられる場所が、犬にとって安心できる寝場所です。家族全員が目に映ったり家族の声や足音を聞いていられたりすると、安心できて心地よく眠りに落ちていけます。
愛犬が足元で寝るのは「飼い主さんを対等な関係だと思っている」
飼い主さんの足元を寝場所として選ぶ傾向にあるのは、飼い主さんと対等な関係に近い犬です。背中や足先など、体のどこかしらを飼い主さんにくっつけていることが多く、何かあれば助けようと思っています。
このように、寝る場所や寝姿にも愛犬の心理を探るヒントがたくさんひそんでいます。愛犬の住環境の充実やコミュニケーションのヒントになることもあるでしょう。ときには愛犬がどんな気持ちなのか想像しながら、おやすみタイムを見守ってあげてくださいね。
お話を伺った先生/今泉忠明先生(哺乳類学者 日本動物科学研究所所長)
参考/「いぬのきもち」2020年3月号『愛犬の心理を読み解こう!“寝る場所”でわかる犬のキモチ』
文/田山郁
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。