犬の歯みがきは浸透しつつありますが、お世話のなかでもハードルが高く、「なかなかできない」と悩んでいる方もいるでしょう。
そこで今回は獣医師の白畑壮先生が、犬に歯みがきが必須な理由や歯みがきに慣れさせるコツついて解説。歯みがきにまつわるお悩みにもお答えいただいたので、あわせて参考にしてみてください。
犬にとって歯みがきが必須な理由
犬の口内は弱アルカリ性。虫歯にはなりにくいものの、歯周病を引き起こしやすい環境です。近年では「1才以上で約80〜90%が歯周病」との報告もあります。
また、歯周病菌が血液に入り込むと、心臓、腎臓、肝臓など内蔵の病気をはじめ、一説には糖尿病や認知症の一因になるとも。毎日の歯みがき習慣が歯周病予防のカギです。
このほか、口の中にできやすい悪性の「口腔内腫瘍」を早期発見しやすいというメリットも。歯茎や舌などにできるため、歯みがき中に気づける確率が高まります。
慣れさせレッスンをしよう
愛犬が歯みがきを嫌がっているのに、無理強いするのは逆効果。まずは慣れさせることからスタートしましょう。できていたのに嫌がるようになった場合も、ここに戻ってリトライしてください。
ペーストを利用
参考・写真/「いぬのきもち」2025年7月号『大きな写真でわかりやすい!とってもやさしい歯みがき見本帳』
ペーストは風味も質感もさまざま。愛犬が好むペーストがあれば、慣れさせるのに大活躍です。歯ブラシにのるくらいの量を指につけて、なめさせたり歯にタッチしたりしましょう。ペーストのなかにはカロリーが高いものもあるので、1日に何度も与えることは控えましょう。
歯みがきシートを利用
参考・写真/「いぬのきもち」2025年7月号『大きな写真でわかりやすい!とってもやさしい歯みがき見本帳』
指に巻いて使う歯みがきシートは、歯ブラシより刺激が少なく慣れさせるのにおすすめ。歯にタッチできたら、歯をこする練習を。こするときは強くせず、クルクルとやさしくしましょう。
歯みがきの悩みに答えます!
最後に、犬の歯みがきに関する“よくあるお悩み”を取り上げ、白畑先生にお答えいただきました。
歯みがきをしても歯石がつきやすいような……
ウエットフードやおやつのボーロなどは歯垢がつきやすいので、与えている場合は控えて。水を飲むことで汚れが落ちやすくなるので、しっかり水分を摂っているかどうかもチェックしましょう。
どの歯ブラシを買うか迷います……
歯と歯茎の境目の汚れをかき出しやすいものを選びましょう。毛先が細く、かたすぎずやわらかすぎないしなやかさのある犬用の歯ブラシがおすすめです。
歯の内側がうまくみがけません
内側の歯みがきは違和感があり、嫌がる犬は多いです。内側の汚れはヨダレや舌の動きで取れやすいので、無理してみがかなくてもOK。あおむけにできる場合は内側が見やすくなるので、比較的みがきやすいでしょう。
毎日歯ブラシでみがくのは困難。併用できるものはある?
毎日歯ブラシでみがくことが理想ですが、どうしても難しい場合は、歯みがきシートや歯みがきガムを活用しても◎ 大型犬の場合は、毎日歯をブラッシングしている場合でも、歯の表面の汚れ取りに歯みがきシートが役立ちます。歯みがきガムはどんどん併用してOKですが、かたすぎるものは歯を傷つけるおそれも。かたいほうが効果があるわけではないので注意しましょう。
愛犬の健康のためには歯みがきが必須。徐々に慣れさせてあげてください。
お話を伺った先生/白畑壮先生(「プリモ動物病院 古淵 /歯科・内視鏡センター」院長 博士(獣医学) 日本小動物歯科研究会歯科認定医)
参考・写真/「いぬのきもち」2025年7月号『大きな写真でわかりやすい!とってもやさしい歯みがき見本帳』
文/柏田ゆき
※一部写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性がない場合もあります。