高温多湿の日本の夏は、犬にとって皮膚が荒れやすい時季。愛犬の皮膚の状態をチェックし、健康管理してあげることが大切です。
そこで今回は、夏に犬の皮膚病が増える主な原因や、皮膚病を起こしやすい部位などについて、獣医師の後藤慎史先生に詳しく教えていただきました。
夏に皮膚病が増える主な原因
下記のような“夏ならではの要因”が、犬の皮膚病を誘発すると考えられています。
高温多湿による蒸れ
高温多湿な環境下では皮膚がふやけやすく、ふやけた皮膚はダメージを受けやすい状態に。細菌が繁殖しやすい環境でもあるので、細菌が増殖して感染しやすくなります。
洗いすぎによるバリア機能の低下
夏はベタつきや皮脂汚れを落とそうと、シャンプーの頻度が高まりやすい時季。しかし、洗いすぎはバリア機能を低下させ、皮膚トラブルを招く原因になります。
サマーカットのやりすぎ
サマーカットをやりすぎると、被毛が減るぶん、皮膚が紫外線などのダメージを受けやすくなります。皮膚が弱い犬の場合は、バリカンの刺激で皮膚が赤くなる、かゆくなるなどのトラブルが出ることも。
エアコンによる空気の乾燥
エアコンで空気が乾燥すると、表皮は皮脂でうるおっていても、内部は乾燥した状態になることが。表皮はベタついているため、内部の乾燥に気づきにくくなります。
カビやハウスダストの増加
高温多湿な環境でカビが増殖するほか、エアコンの使いっぱなしで掃除の機会が減ってハウスダストが増加すると、アレルギー皮膚炎を招くこともあります。
柴やシー・ズー、ダックスフンド、プードル、フレンチ・ブルドッグ、アメリカン・コッカ―・スパニエル、ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアといったアレルギー好発犬種はとくに注意しましょう。
そのほか、近年は局地的豪雨が多発していますが、雨にぬれたあとの拭き取り不足などが原因で、皮膚病を起こすこともあるでしょう。
夏の皮膚病が出やすい部位
夏の時季、とくに皮膚病が出やすい部位は以下のとおりです。見落としにくい部位もありますので、注意してチェックしてみてください。
耳の中
高温多湿の環境下では、耳の中が蒸れて汗や耳アカが発生しやすくなり、外耳炎の原因に。垂れ耳の犬はとくに注意しましょう。
首まわり
首輪をつけっぱなしにしている犬の場合、首輪の下が蒸れて皮膚炎になることがあります。また、パグやブルドッグなどの犬種では、首のシワの間が蒸れやすいです。
指の間
湿気の多い環境下では、指の間が蒸れやすく、菌が繁殖して皮膚炎になりやすい状態に。雨の中の散歩後、愛犬が足先を気にしてなめて炎症を起こすケースもあります。
肉球
アスファルトなどの地面が高温になるため、散歩中に肉球をやけどすることがあります。やけどから感染症を引き起こすケースも。
アレルギーのある犬はこんな部位に注意
アレルギーのある犬の場合は、以下の部位にも注意しましょう。
顔まわり
食物アレルギーのほか、ダニやハウスダストなどによるアレルギー性皮膚炎で、顔まわりに炎症が起こることがあります。
わきの下
アトピー性皮膚炎やマラセチア皮膚炎などで、わきの下に炎症が起こることもあります。ハーネスを着用している犬は隠れて見えにくいので、チェックをしてみましょう。
ひじ
アトピー性皮膚炎や疥癬症(かいせんしょう)、ノミアレルギーなどで、ひじにかゆみや発疹が出ることがあります。かきこわすと脱毛が見られるケースも。
内また
アトピー性皮膚炎などで、内またにかゆみや赤みが見られることがあります。皮膚が摩擦しやすい部位なので、気付かないうちに悪化することも。
足先
アトピー性皮膚炎などで、足先に炎症が起こることもあります。湿気がこもりやすく、菌が繁殖しやすいうえ、愛犬が噛んで悪化しがちです。
蒸し暑い日本の夏は、冬に比べると皮膚の状態が悪化しやすく、1日で一気にひどくなってしまうケースも。愛犬の皮膚をこまめにチェックし、早めの対策をとりましょう。
お話を伺った先生/後藤慎史先生(北川犬猫病院院長 ヒフカフェ動物病院獣医師)
参考/「いぬのきもち」2025年8月号『カイカイ、カサカサ、ベタベタが増えがちです! 夏の皮膚病&ケア』
文/長谷部サチ
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性がない場合もあります。