昨年の災害級といえるほどの暑さに加えて、明らかに増えている地震や台風なども心配。そこで、暑さにも暑い中で起きる自然災害にも配慮した今年ならではの熱中症対策を、獣医師の原修一先生、ペット防災の専門家・浜田あゆりさんに聞きました。今回は車移動などのお出かけ時に気をつけたいことをご紹介します。
年々、暑さが深刻化! 熱中症対策はアップデートが必要です
年々、暑さが増していますが、昨年の夏の暑さは災害級といえるほど。「昨年はこれまでの対策では不充分なこともありました。今年は去年以上の備えが必要」と獣医師の原先生も警鐘を鳴らしています。
自然災害が増加! 防災の観点をプラスした熱中症対策が必要です
そして、酷暑とともに心配なのが自然災害。地震はもちろん、夏の台風やゲリラ豪雨などが増え停電や浸水の不安も。防災士の浜田あゆりさんは「夏に自然災害が起こることを想定した熱中症対策を立てるべき」と言います。
車内ではうちわでクレート内に風を送る
車移動中は、安全上の観点から犬をクレートに入れてシートベルトで固定しますが、酷暑ではエアコンをつけても効きが悪いなど、クレート内まで涼しくならないことが。必ず隣に人が乗るようにして大きな風をつくれるうちわで内部までエアコンの冷気を送って。クレートの出入り口から風を送りがちですが、サイドの隙間からも送り、クレートの奥まで冷気を送りこむようにしましょう。
犬側の窓にはサンシェイドを
直射日光がクレートに当たると内部の温度はより上昇することに。犬側の窓だけでも日よけアイテムを取りつけて。
最低でも2時間ごとに休憩をとり、給水・排泄・健康チェックを
どんなに用心していたとしても、酷暑で狭い空間に閉じこめられている状態は犬の体の負担に。最低でも2時間ごとにサービスエリアなど、犬を車外に出せる場所で休憩をとって。
一瞬たりとも犬を車内に置いてけぼりにしない
「エアコンをつけている」「日陰」「地下駐車場」など、熱中症の心配がないと思うどんな状況下だとしても、車内の置き去りはリスク大です。昨今の酷暑では、数分ではなくほんの一瞬でも犬を置いてけぼりにしないようにして。
電車や新幹線移動の場合は、できれば1時間以内に
移動手段が電車や新幹線などの場合は、車より刺激が多くあり熱中症リスクが高まります。知らない人を警戒し吠えて体温が上昇したり、大きな音に驚き心拍数が上がったりは熱中症に直結。とくに電車や新幹線での遠出は避けて1時間以内にして。公共交通機関での移動の場合、乗り物に乗るまでの道中にも熱中症リスクがあります。クレートの中に充分な保冷アイテムを備えておいて。
どうしてものときは予行練習をしよう
予行練習といっても、行き先までの練習は難しいので、同じ移動手段で近場にお出かけを。それだけでも犬の様子がわかり、対応策を考えられるでしょう。また、事前に休憩場所や移動先の救急動物病院などを調べておくことも重要です。
【防災の視点】突然の被災に備えて“冷やせるもの”を持ち歩こう
もし出先で被災したら、暑い中での長時間の待機や移動などが想定されます。二次被害として熱中症にならないためにも、〝冷やすこと〞に役立つものはお出かけの際には必ず持ち歩いて。
ジッパーつき保存袋+トイレシーツで〝簡易保冷〞が作れます!
代用品のアイデアは知っていると得に。この代用品のアイデアは、水分を含みゼリー状になったトイレシーツがひんやりします。
たらいなどに水を入れて、トイレシーツに水を充分に吸わせます(トイレシーツを水で濡らすだけでも可)。
トイレシーツから水がしたたらないように軽く絞り、ジッパーつきの保存袋の中に入れるだけ。凍らせてもOK。
※ジッパーつきの保存袋は、二重にすればより破れにくくなります。ただし、誤食が心配な犬には使用しないようにしましょう。
車移動などのお出かけ時の熱中症対策をご紹介しました。愛犬の体調がすぐれないときや酷暑のときは、外出しないことも検討しましょう。
お話を伺った先生/上野原どうぶつ病院院長・獣医師 原 修一先生、「ペット防災せたがやネットワーク」代表理事、防災士 浜田あゆりさん
参考/「いぬのきもち」2024年7月号『熱中症対策をアップデート』
写真/尾﨑たまき、殿村忠博
イラスト/オガワナホ
文/いぬのきもち編集室