愛犬の要求に、ついついなんでも応えてしまう飼い主さんも少なくありません。しかし、このような飼い主さんの対応は「甘やかし」になり、結果的に愛犬との生活に支障をきたしてしまう恐れがあります。今回は、飼い主さんの「甘やかし」が生む弊害や、甘やかさずに犬を育てるポイントを解説します。
犬をダメにする「甘やかし」とは?
犬を甘やかすというのは、犬の要求をすべて受け入れてしまい、ダメなことをしてもほめてしまったり、好きなだけおやつを与えすぎてしまったりすることです。例えば、散歩中に愛犬から抱っこをねだられて、その要求に応えてすぐに抱っこをしてしまうことも、「甘やかし」に該当します。
甘やかすと犬はどうなる?
欲しがったときにすぐおやつをあげてしまうなど、犬の要求をなんでも無条件にかなえてしまうと、犬は「飼い主さんはなんでも聞いてくれる」と学習します。そのため、飼い主さんに対して「おやつをちょうだい!」と要求吠えなどの問題行動をエスカレートさせ、“ワガママし放題の犬”になってしまうでしょう。
愛犬に何かを要求されたらどうしたらいいの?
愛犬に何かを要求されたときは、無視するのがいちばんです。それが難しい場合は、オスワリなどの簡単なコマンドをかけ、そのごほうびとして愛犬の要求に応えるようにしましょう。視線を向けたり、嫌そうな表情をしたりしても、無視したことになりません。あくまで無反応でいることを心がけてください。
また、甘やかさない基準は家族全員で統一、もしくは自分の中でいつも同じように対応できるようにしておくことが大切です。
飼い主さんの行動が「甘やかし」なのかどうか見極めも必要
愛犬を甘やかさずに育てるためには、飼い主さんの対応が甘やかしなのかどうなのかを見極める必要もあります。例えば、「ダメ!」と口で言いながらも愛犬を抱っこしていたら、それは愛犬にとって「よいこと」だと思わせてしまうことが。
また、何かを教えているときに飼い主さんが途中でやめてしまうことがありますが、このように逃げ道を作ってしまうことも「甘やかし」になるので注意しましょう。
「行動診療科」での治療が必要となるケースも
もしも愛犬を甘やかしすぎてしまい、問題行動を起こすようになった場合は、しつけや接し方の見直しが必要です。しかし、一度“ワガママし放題の犬”になってしまうと、飼い主さん一人でしつけ直すのが難しい場合も。そんなときにおすすめなのが、犬の問題行動の治療を専門的に取り扱う「行動診療科」です。
「行動診療科」での治療法とは?
「行動診療科」では、学習心理に基づいて犬の行動修正を行います。具体的には、犬がした望ましい行動に対して、おやつやほめ言葉などのごほうびを与えて強化していく「正の強化」を中心といた治療方法です。
もちろん、犬を怖がらせるような「バツ」を与える方法を行いません。それに加え、飼育環境の改善を提案したり、必要に応じて検査や薬の処方を行ったりすることもあります。犬の代弁者である飼い主さんとのカウンセリングを丁寧に行い、飼い主さんが中心になって治療を進めていきます。
犬の問題行動は「甘やかし」では直らないことを心得よう!
このように、犬を甘やかしすぎて育ててしまうと、最終的には専門医の力を借りなければいけなくなるほど、手に負えなくなってしまうことがあります。吠えるからおやつをあげてしまう、歩かないから抱っこしてしまうなどの「甘やかし」は、何の解決にもならないのです。
愛犬を“ダメな犬”にさせないためにも、良いことをしたときだけほめて、ごほうびを与えるなど、メリハリのある接し方を徹底することが大切ですよ!
参考/「いぬのきもち」2018年3月号『愛犬を幸せにする三人の神様とダメにする一人の悪魔のお話』(監修:東京大学附属動物医療センター行動診療科勤務 獣医師 菊池亜都子先生、「ラ・アンベリール」オーナー JKC公認A級トリマー 愛犬飼育管理士 愛玩動物飼養管理士 櫻井陽道先生)
文/hasebe
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