犬はストレスを感じると、病気になってしまうことがあります。今回は、ストレスが原因で発症する主な病気と、その病気によって犬が見せる特徴的なしぐさや行動について解説します。何気ない犬のしぐさや行動も、実はストレスによるものだったというケースがあるので、注意しましょう!
なんだか急に怖がりになった…不安症かも
普段どおりの生活をしているだけなのに、急に怖がるようなしぐさを見せたら、それはストレスによる「不安症」になっているかもしれません。不安症は、主に恐怖体験がトラウマとなって鮮明に残った状態です。不安症になると吠えやすくなったり、食欲が落ちたりするほか、物を壊す、粗相するなどの行動が見られることも。
不安症の中でもよく知られているのは、飼い主さんと離れることで病的なまでに不安を感じる「分離不安」でしょう。分離不安になると、常に飼い主さんについて回る、留守番中に問題行動を起こすなどの症状が見られます。
しきりに体をかくしぐさ…皮膚炎かも
しきりに体をかいたり、なめるようなしぐさが見られる場合は、ストレスによって「皮膚炎」になっている恐れが…。毎日の長い留守番や引っ越しなど、じわじわ続くストレスによって、水分保持やバイ菌を防ぐ働きをする「バリア機能」が低下すると、皮膚病になってしまうことがあります。
皮膚が赤くなる、フケが出るなどの症状があれば、一度動物病院で診てもらうようにしましょう。
呼びかけを無視…攻撃症かも
名前を呼んでも無視する、うなる、噛むといったしぐさが見られたら「攻撃症」になっている恐れがあります。攻撃症は、過去に学んだストレスの対象を、先回りして回避するために、攻撃的になっている状態です。また、日頃から耐え続けていたストレスに対し、我慢の限界をこえてキレてしまっている場合も…。
飼い主さんの呼びかけに応じないのは、飼い主さんに対して反抗的になっている証拠です。いつもは穏やかなのに、悪天候で何日も散歩に出られなかった結果、ストレスが溜まり、少しのことでうなるなど、不可抗力で起きる場合もあるので注意しましょう。
いくらあげてもゴハンを欲しがる…肥満症かも
さっき食べたばかりなのに、またゴハンを欲しがるようなしぐさが続いたときに、疑うのは「肥満症」です。この病気は、スキンシップや運動が足りていないなど、小さなストレスが積み重った結果、食欲が増進し、一日中食べ続けるような行動を引き起こします。
飼い主さんとの生活のなかに、遊びや散歩などの楽しみが少ない場合、食べることにしか楽しみを見出せなくなっている状態といえるでしょう。
自分のしっぽを追いかけ回す…常同症かも
自分のしっぽを執拗に追いかけ回したり、噛んだりするようなしぐさが見られるときは「常同症」を患っている恐れがあります。常同症は、長期間にわたるストレスによって、心が病んでしまった状態です。
ひどい場合は、延々と同じことを繰り返すだけではなく、血がにじむまで体を噛み続けるなどの自傷行為で、たまったストレスを解消するケースもあるので非常に危険です。ただし、同じ行動を繰り返すことが必ずしも常同症でとは限りません。飼い主さんへの「構って欲しい」というアピールや脳の病気の恐れもあります。
犬は、飼い主さんの生活リズムに合わせて生きているため、日々何らかのストレスを感じているともいわれています。今回ご紹介したような病気にさせないためにも、スキンシップや散歩、遊びなどを通じて、ストレスをためないように飼い主さんが努力することが大切ですよ!
参考/「いぬのきもち」特別編集『ベテラン飼い主さんも意外としらない愛犬のストレス事典』(監修:ノヤ動物病院 院長 野矢雅彦先生)
文/takemori.m
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