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【獣医師が解説】 犬のワクチンは毎年必要? 種類や接種時期、費用、副作用まで

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愛犬を感染症などから守るために、飼い主さんなら知っておきたいワクチンに関する知識。犬と暮らすために必須のワクチンや、任意のワクチンなど、その種類や接種時期、費用、世界的な基準となっている最新のガイドラインまで、安田獣医科医院、安田英巳院長に伺いました。子犬の飼い主さんも成犬の飼い主さんも、獣医師に相談する際の参考にしてください。

犬のワクチンって、どんなもの? どんな種類があるの?

ワクチンとは、病原体から作られた予防接種剤のこと。毒性を弱めたあるいは不活化した病原体を体内に入れて、一時的に病気にかかったような状態にし、体内に免疫をつくり感染を予防するものです。
大きく分けて犬のワクチンには、法律で義務付けられている「狂犬病ワクチン」と、飼い主さんの任意で接種する「混合ワクチン」があります。

狂犬病ワクチン、いつ接種する? 費用は?

感染動物に咬まれることにより感染する狂犬病。発症すると致死率100%の恐ろしい病気で、人にも感染する人と動物の共通感染症です。狂犬病の接種は生後91日以上、取得後30日以内のすべての犬に、年1回義務付けられています。接種しないと、狂犬病予防法により罰則が科されることに。接種は、毎年4~6月に各自治体で実施されますが、その期間以外でも動物病院で受けることができます。
料金は、自治体によって異なりますが約3500円です。

混合ワクチンってどんなもの? 費用は?

飼い主さんの任意で接種する「混合ワクチン」。これについては近年、WSAVA(世界小動物獣医師会)が推奨する、ワクチン接種のガイドラインが基本になっていると、安田先生。
「ワクチンは、犬の体に異物を入れること。犬の健康のためにも不必要な接種はしないほうがいいので、最小限のワクチン接種が望まれます」(安田先生)
日本語でも公表された2015年版WSAVAの最新のワクチネーションガイドラインを要約すると、以下のようになります。

ワクチネーションガイドラインより

・ワクチンをコア、ノンコア、非推奨に分類する
(コアワクチン=必ず接種すべきワクチン ノンコアワクチン=地域や飼育環境から接種を推奨するワクチン 非推奨=WSAVAが推奨していないワクチン)

・子犬全頭にコアワクチンを接種する

・コアワクチンの最終接種は16週齢以上

・コアワクチンは、3年以内に接種しない

・ノンコアワクチンは、生活環境に応じて接種する

犬のコアワクチンとは、ジステンパーウイルス、犬アデノウイルス、犬パルボウイルスの3種です。これらの疾患は、子犬期の致死率が高いため、すべての犬が接種すべきと定められています。そしてこの3種は、科学データから免疫持続時間が長いことがわかっており、免疫持続という意味でも、WSAVAは子犬期の適切なワクチン接種の重要性を解説しています(後述参照)。
ノンコアワクチンは、犬レプトスピラ、犬パラインフルエンザ、犬ボルデテラ感染症などで、犬の住環境やライフスタイルで感染リスクが高い場合に接種が推奨されています。これらは免疫の持続時間が短いため、頻繁な接種が必要になりますが、必要と思われる限度を超えて接種してはなりません。
(犬レプトスピラ症は人と動物の共通感染症です。)
非推奨ワクチンは、犬コロナウイルス感染症となります。

混合ワクチンとは、このコアワクチン、ノンコアワクチンなどのこと。何種の混合ワクチンを接種するかにもよりますが、費用は5000円~9000円くらいが相場のようです。

子犬期の適切なワクチン接種って? 

前述のように、免疫をしっかり定着させるためにも、子犬期のワクチン接種が肝要です。子犬の狂犬病と混合ワクチンプログラム例は以下のとおりです。
母犬から引き継いだ免疫(母体移行抗体)が残っていると、接種しても効力を発揮しないので、以下の様に最終接種を16週齢以上ですることが重要です。

・1回目の接種 6~8週齢
・2回目の接種 3~4週間後
・狂犬病予防接種 4週間後
・3回目の接種 1週間後(16週齢以上)
・抗体検査 4回目終了4週間以上後。低ければ再接種。

「さまざまな科学的根拠から、WSAVAでは、混合ワクチンのうちのコアワクチンの追加接種は、3年以上間隔をあけることが推奨されています。毎年の接種というのはあくまで獣医師の判断によっているのです。そしてその後のワクチン接種については、犬の体にどれだけ抗体が残っているかを調べる、抗体検査の結果次第となります。これは世界の趨勢です」と安田先生。

抗体検査ってどんなもの? 動物病院でできるの?

近年、不要なワクチン接種を防ぐためにWSAVAが推奨しているのが、動物病院で行う抗体検査です。採血して、犬の体に抗体が残っているかどうかを調べます。この検査キットなら30分程度で結果がわかり、抗体が残っていればコアワクチン接種は不要ということになります。抗体検査の費用は、大体8000円が相場のようです。

ワクチン接種の証明書を求められたらどうすればいい?

犬の「ワクチン接種証明書」が必要になる、ペット関連施設もあります。その点を考慮し、抗体検査の際には、「抗体検査証明書」が発行されるようになっています。これが犬には充分な免疫があるという意味になり、ワクチン接種証明書と同等の扱いとされています。

安田先生は、「説明するとほとんどの飼い主様は抗体検査を選ばれます。最近の傾向として、抗体検査証明書が浸透してきており多くの施設でも導入されていると実感しています。日本は接種率が低いと言われていますが、個々の犬に毎年接種するのではなく、抗体検査をすればいいのです」。心配な際は、施設を訪問する前にHPを確認し、問い合わせてみるといいでしょう。

抗体を調べるために愛犬の血液を調べることは、同時に健康チェックにもつながりますから、積極的にかかりつけの獣医師に相談してみるといいですね。

犬には怖い! ワクチンの副作用

弱めた病原体を体内に入れるワクチン接種は、副作用のリスクも。たとえば、まれにではありますが、接種後、下痢や嘔吐、顔の腫れや発熱などの異変が起きることがあります。

もしものことも考慮して、ワクチン接種の当日は、午前中に来院して、接種後1時間くらいは動物病院の近くで様子を見るといいでしょう。また、接種後2~3日は、念のため散歩は軽めにして、激しい運動やシャンプーなどは控えるといいですね。

ワクチンの副作用で最も恐ろしいのが、アナフィラキシーショックです。これは急性のアレルギー症状で、接種後大体1時間以内に起こることが多く、けいれんや呼吸困難が見られ、最悪命を落とす恐れも。

日本小動物獣医師会と麻布大学の共同疫学調査では、ワクチン接種後にアナフィラキシーショックを起こした犬は、1万頭あたり7.2頭で、人が100万人に1人というデータと比べても、犬の副作用の頻度は高いといえます。
「犬の健康面から考えても、無用なワクチン接種は避けるべきでしょう。世界のスタンダードとなっている、WSAVAのワクチネーションガイドラインがさらに広まることを期待しています」と安田先生。

まとめ

ワクチン接種は、愛犬を恐ろしい感染症から守ってくれる切り札です。そもそもが愛犬の健康を守るためのワクチン接種ですから、より安全に実施したいと望む飼い主さんも多いことでしょう。法律で接種が義務付けられている狂犬病ワクチン以外の混合ワクチンは、犬それぞれの個体の状態や、住環境によっても病気の感染リスクが異なります。ご紹介したWSAVAの情報を参考にして、かかりつけの獣医師とよく相談のうえ実施するようにしてください。

※写真は本文とは関係ありません。
取材・文/いぬのきもちWeb編集室

監修/安田獣医科医院 安田英巳院長

安田獣医科医院

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