犬の病気の中には、症状が現れにくく、飼い主さんがなかなか気づいてあげられないものもあります。そこで今回は、飼い主さんが気がつきにくい犬の病気のうち、3つの「腫瘍」に注目してみました。早く気づいてあげるための注意点もご紹介するので、参考にしてみてください。
気づきにくい犬の腫瘍① 脾臓(ひぞう)の腫瘍
「脾臓」は、たくさんの血管が集まっている臓器です。この脾臓に腫瘍ができてしまうと、破裂したときに体内で出血し、貧血やショック症状などを起こすおそれがあります。
脾臓の腫瘍は、免疫力が低下しやすいシニア犬に多く見られますが、初期段階ではわかりやすい症状が現れません。そのため、飼い主さんによる健康チェックだけではなかなか気づくことができず、エコー検査によって見つかるケースが多いようです。
気づきにくい犬の腫瘍② 胸腔内の腫瘍
「胸腔」とは、胸の部分にある空間のことで、心臓や肺などが収まっている場所です。ここにできる腫瘍には、「縦郭腫瘍(じゅうかくしゅよう)」などさまざまな種類がありますが、いずれも、皮膚の腫瘍のように見てわかるものではありません。
また、犬も痛がるなどの症状を訴えないため、飼い主さんが普段の生活の中で気づくのは困難といえるでしょう。
胸腔内の腫瘍の場合、目で見てわかる症状が出てきたときには、かなり進行していることが多いといわれているので、なるべく早く獣医師に診てもらうことが大切です。
気づきにくい犬の腫瘍③ 口腔内の腫瘍
シニア期に入ると、良性の“できもの”などをはじめ、舌にできる腫瘍など口腔内に腫瘍ができやすい傾向があります。口腔内の腫瘍は、飼い主さんが「歯肉炎」と見間違えてしまうことも多く、また、口周りを触られることが苦手な犬の場合は、口の奥が見づらいため見逃してしまいがちに。
舌が変な方向から出る、口臭がキツイ、水の飲み方がおかしいなどの異変が見られたら動物病院を受診しましょう。
犬の気づきにくい腫瘍に、なるべく早く気づくためには?
このように、初期症状が現れにくかったり、目に見えない場所に腫瘍ができていたりすると、発見が遅れてしまうケースが多くなります。そこで、愛犬の腫瘍になるべく早く気づくためにも、以下のような点に注意し、少しでも気になることがある場合は、動物病院で検査してもらうようにしましょう。
腫瘍に気づくための“チェックポイント”
- 食欲がない/元気がない
- 体に不自然な盛り上がりがある
- 口臭が強い
- オシッコやウンチに異常がある
- 皮膚に“できもの”がある など
犬は本能的に、自分が弱っていることを隠そうとする傾向があります。飼い主さんが愛犬の異変に気づき、適切に対応することが長生きのヒケツともいえそうですね。
参考/「いぬのきもち」2019年2月号『症状をチェックして愛犬の健康に役立てよう! 年代別 飼い主さんが気づきにくい犬の病気』(監修:東京動物医療センター副院長 南直秀先生)
文/ハセベサチコ
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。