犬と暮らす
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【獣医師監修】犬に人のインフルエンザはうつるの?犬とインフルエンザについて
今回は、犬のインフルエンザの話と、インフルエンザがうつる可能性のある人間と動物(犬、猫、馬、鳥)との関係性について、いぬのきもち相談室の獣医師に取材を行いました。
人間のインフルエンザは犬にうつるの?
人間のインフルエンザは犬にうつるが、日本での発症例はない
この季節性インフルエンザに犬が感染したという例は、色々な国で報告があるものの、集団発生の例はないそうです。ただし、アメリカや中国など海外では、過去に世界中で大流行した人間の新型インフルエンザウイルスA(H1N1)の犬への感染例が報告されています。
日本においても、過去に季節性インフルエンザウイルス(A型、B型)及び新型インフルエンザウイルスに感染しただろうと思われる犬がいることが免疫学調査で確認されていますが、発症の例はありません。
インフルエンザの感染と発症は違う
「犬のインフルエンザ」がある
犬のインフルエンザの症状
症状が軽い場合は2~3週間で回復しますが、重症になると高熱や呼吸が速くなるといった症状伴う肺炎などを起こし、死亡してしまうケースもあるそうです。
犬のインフルエンザの対処・治療方法
例えば、犬の咳や鼻水がひどく、ウイルス感染だけではなく細菌感染が疑われる場合は、抗生物質を使ったり、脱水や食欲不振に対して補液で対処することになるでしょう。
人間がかかるインフルエンザ同様に、感染自体は防御できませんが、犬のインフルエンザを疑うような症状がみられたら、早めに動物病院で受診することで、重症化することを防ぐことができます。
犬のインフルエンザの予防方法
このため犬のインフルエンザウイルスに感染したと思われる犬がいたら、「犬の隔離」と「環境の消毒」を行い、感染が広がらないように対処して予防を行ってください。インフルエンザウイルスは、各種消毒薬や洗剤を正しく使えば容易に消毒できます。
「犬パラインフルエンザ」は「犬のインフルエンザ」とは別の感染症
犬パラインフルエンザについては、予防接種で使用する混合ワクチンの成分に含まれているので、ワクチン接種で予防できますが、犬が感染すると、咳や鼻水が出たり、発熱、元気がない、食欲の低下など風邪やインフルエンザに似た症状が現れます。
猫や鳥、馬など他の動物のインフルエンザが犬にうつるって本当?
馬と鳥のインフルエンザの変異型ウイルスによる感染
それぞれのウイルスが馬や鳥から犬へうつり、種を飛び越えて犬にうつっていく過程で、犬に感染しやすくなったと考えられています。また、中国では呼吸器症状がみられた犬から、さまざまな型の鳥インフルエンザウイルスが発見されています。
犬のインフルエンザは猫にうつる
猫のインフルエンザウイルスの研究では、猫からフェレットの間でも感染することが明らかになっています。このことは、新しいインフルエンザウイルスあるいは鳥インフルエンザウイルスが、猫を介して人や犬など他の哺乳類にうつる可能性があることを示していると考えられます。
人畜共通感染症(ズーノーシス)を防ぐために
人や犬に「うつる」「うつらない」の表現について
医療や獣医療の進化で、今までは人間と動物間ではうつらないといわれていた感染例や新しい発見が、今後見つかるかもしれません。人間には発症しなくても、人間を介して、動物になんらかの感染が広がる可能性や、動物を介して人間に感染が起こる可能性もあります。
日頃から、お世話などで犬と触れ合う際には、犬用の食器を分ける、人間の口の周りをなめさせない、手を洗う習慣をつけるといった認識をしっかり持って、人間が人畜共通感染症(ズーノーシス)にかからないようにペットと暮らしていくことが大切です。
文/maki
※写真は「いぬのきもちアプリ」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください
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