ホントにあった、犬にまつわる事件簿を紹介!
この連載では、過去に実際に起こった犬がらみのトラブルと、それに対して裁判所から下された判決について解説します。同じような事件が起こった場合の参考になります。
今回ご紹介するのは、東京地方裁判所で平成27年4月9日に判決が出た事例です。
※この記事の解説は、ひとつの例にすぎず、まったく同一の解決・判決を保証するものではありません。個々の事件の判決については裁判所に、解決策はその当事者に委ねられます。
お話してくれたのは……渋谷 寛先生
弁護士/渋谷総合法律事務所。ペット法学会事務局次長。動物の医療過誤訴訟を担当するなど、ペットと法律の問題に力を注ぐ。共著に『Q&A ペットのトラブル110番』(民事法研究会)など。
例外を破って、3頭目を迎え入れていた!
「飼育は一代限り」とするルールを破り、新たに犬を迎え入れた
イラスト/別府麻衣
Aさんが飼っていたのは、ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアとシーリハム・テリアの2頭。マンションはペットの飼育禁止でしたが、ほかにも飼っている人がいて管理規約が変更され、その時点で飼育しているペット一代に限っての飼育が認められることになりました。Aさんはその時点で飼育していた愛犬2頭の飼育許可申請書と、一代に限って飼育するというルールを守る誓約書を、マンションの管理組合に提出しました。しかしAさんは「一代限り」というルールを破り、こっそり3頭目の愛犬を迎え入れたのです。
3頭目の犬と散歩する様子などが住民に目撃され、マンション側から飼育をやめるよう求められたAさん。しかしAさんはこれに応じず飼育を続けました。マンション側はAさんの飼育行為は管理規約に反するとして、3頭目の犬の飼育禁止と損害賠償を求めて裁判を起こしました。
管理規約に反する3頭目の飼育は、不法行為と認められた
判決は……損害賠償20万円と、3頭目の飼育禁止が命じられた
イラスト/別府麻衣
Aさんは、規約に反して3頭目を迎え入れた事実は認めましたが、一代限りのペット以外は飼育禁止とする管理規約は変更するべきと主張して、マンション側からの請求を退けようとしました。しかし、裁判所はAさんの主張を棄却し、Aさんの飼育行為は管理規約に反する不法行為であるとして、3頭目の飼育の禁止を命じました。あわせて、損害賠償として20万円をマンションの管理組合に支払うよう求めたのです。