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【ホントにあった犬の事件簿④】放し飼いの犬が飛び出し、原付自動車と接触事故! 気になる判決は?
ホントにあった、犬にまつわる事件簿を紹介!
この連載では、過去に実際に起こった犬がらみのトラブルと、それに対して裁判所から下された判決について解説します。同じような事件が起こった場合の参考になります。
今回ご紹介するのは、東京地方裁判所で昭和56年3月26日に判決が出た事例です。
※この記事の解説は、ひとつの例にすぎず、まったく同一の解決・判決を保証するものではありません。個々の事件の判決については裁判所に、解決策はその当事者に委ねられます。
今回ご紹介するのは、東京地方裁判所で昭和56年3月26日に判決が出た事例です。
※この記事の解説は、ひとつの例にすぎず、まったく同一の解決・判決を保証するものではありません。個々の事件の判決については裁判所に、解決策はその当事者に委ねられます。
お話してくれたのは……渋谷 寛先生
弁護士/渋谷総合法律事務所。ペット法学会事務局次長。動物の医療過誤訴訟を担当するなど、ペットと法律の問題に力を注ぐ。共著に『Q&A ペットのトラブル110番』(民事法研究会)など。
大型犬が道に飛び出し、原付自動車と接触!
犬は自由に外へ出て、よくオートバイなどにじゃれついていた
午後10時ごろから午前6時ごろまで犬を庭で放し飼いにしていたAさん。しかもAさんの自宅には塀はあるものの、犬は放し飼いにされているときは、塀の間から自由に家の敷地と外とを出入りできる状態でした。犬には飛びつきグセがあり、事件の以前にも外に出てオートバイや自転車についていき、じゃれつくことがあったといいます。
事件があった朝も、犬は自宅に来ていた新聞配達員のオートバイの後を追って、近隣の寮まで出ていました。Bさんは通勤のため寮の前を原付自動車で通りかかり、寮の門から飛び出してきた犬と接触。ハンドルやブレーキを操作する間もなく転倒し、大ケガを負ってしまったのです。Bさんは、左肩に後遺障害も残ってしまいました。
事件があった朝も、犬は自宅に来ていた新聞配達員のオートバイの後を追って、近隣の寮まで出ていました。Bさんは通勤のため寮の前を原付自動車で通りかかり、寮の門から飛び出してきた犬と接触。ハンドルやブレーキを操作する間もなく転倒し、大ケガを負ってしまったのです。Bさんは、左肩に後遺障害も残ってしまいました。
Aさんは飼い主としての注意義務を著しく怠ったと判断された
AさんはBさんの主張を認めつつも、Bさんの前方不注意と速度超過も原因のひとつであるとしゅちょう。この主張が検討され請求額から35%の減額はありましたが、Aさんは大型犬が外に出られないよう係留し、他人に危害を加えないように飼うべき注意義務を怠ったと判断されました。治療費、休業損害、後遺障害に対する慰謝料など、損害賠償としてAさんが支払うよう命じられた金額は、裁判までに支払っていた金額と合わせて約418万円。現在だと約750万円に相当する金額になります。
判決は……損害賠償約418万円(現在の約750万円相当)の支払いが命じられた
愛犬を自由に外へ出られる状態にすることは、短時間であっても決して許されることではありません。今回の事例のように他人にケガをさせたり事故の原因になったりするだけでなく、犬自身が事故の被害にあいケガを負うケースも。外飼いの場合でも、出入り口を確実に閉めてリードでつなぐなど、愛犬が外へ出ないよう飼い主さんが責任をもって管理しましょう。
参考/『いぬのきもち』2016年9月号「ホントにあった犬の事件簿」
イラスト/別府麻衣
参考/『いぬのきもち』2016年9月号「ホントにあった犬の事件簿」
イラスト/別府麻衣
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