ほかの犬や人に出会うなどの刺激に直面すると興奮して吠えてしまう犬。
社会で暮らしていくと、さまざまな刺激に出会うことになりますが、そんなときも、興奮せず落ち着いていられる犬に育てるためには、日ごろから「落ち着いているといいことが起こる」と愛犬に教えておくこともひとつの大切な方法です。
今回は、愛犬を「落ち着きがあり、吠えない犬」にする方法を解説します。
興奮している犬を落ち着かせる
愛犬が興奮して飼い主さんに飛びついたり、吠えたりしたときに、どのように対応していますか?
「うるさい」と叱ったり、愛犬が興奮するのに合わせていっしょに遊んだりするのはNGなんです。
飼い主さんが相手してくれることは、愛犬にとっては「ごほうび」。興奮すると「ごほうび」がもらえるのですから、愛犬は「興奮するのはいいこと」と覚えてしまいます。興奮している犬に対しては、かまったり相手にせず、背を向けましょう。逆に愛犬が落ち着いているときに「オスワリ」の指示を出し、指示通りにできたら、ほめるようにします。
犬が興奮しているときは相手にしないこと。犬に話しかけたり、遊びに誘ったりするのも、犬が興奮しているときではなく、犬がリラックスしているときにしましょう。「落ち着いていると、飼い主さんが相手をしてくれる」と犬に思わせるのです。犬が落ち着いているときに話しかけてみるのも手。
遊びながら「クールダウン」を覚えさせる
犬も遊ぶときは自然と興奮します。遊ぶことは犬の心身にいい刺激になりますが、自ら興奮を静めることを覚える絶好の機会でもあります。遊びの中に「クールダウン」の時間をはさむことで、犬は興奮度を下げることを学んでいきます。たとえば、次のような手順で愛犬と「引っ張りっこ遊び」をしてみましょう。
1. 遊びは飼い主さんから誘う
犬と遊ぶときは、飼い主さんから誘いかけます。犬が興奮せず、落ち着いているときがよいタイミングです。イイコにしていると遊んでもらえると犬は覚えていきます。オスワリさせてから始めてもいいでしょう。
2. 遊びで興奮させる
引っ張りっこ遊びは、おもちゃをいろいろな方向に揺らすと、犬の興味が増し、遊びに集中、興奮も高まります。
3. いったんクールダウン
犬の興奮がある程度高まったら、いったんクールダウン。おもちゃの動きを止め、犬から離すと、犬の興奮も静まっていきます。
4. 犬が落ち着いたら、遊びを再開
犬が興奮を下げ、落ち着いたら、遊びを再開。1~3を数回繰り返します。
5. 遊びを終わらせるのも飼い主さん
遊びを終了するときも飼い主さん主導で。おもちゃの動きを止め、おもちゃとおやつを交換するようなかたちでおもちゃを犬から離します。遊びは、犬が飽きる前(「もうちょっと遊びたい」と思うくらい)に止めるのがコツ。次の機会にも、遊びへの興味が持続します。
クールダウンをして遊びを再開する。これを繰り返すことで、犬は「興奮を静めて落ち着いていると、また飼い主さんが遊んでくれる」と覚えるようになります。つまり、「落ち着いているといいことが起こる」と学ぶのです。
いかがでしたか。興奮しやすく、吠えやすい犬には、まずは「落ち着くと、楽しいことが起きる」「落ち着いていたほうがいい」と日ごろから教えていくことも大切です。そうすることが、吠えをあらかじめ防ぐ一助になります。
参考/「いぬのきもち」2017年8月号『犬の興奮メーター、どう下げる!?』(監修:井原 亮先生 SKYWAN! DOG SCHOOL代表)
文/犬神マツコ