受診時に愛犬の症状をうまく説明できなかった経験はありませんか? そんなときに役立つのが、症状を撮った動画や写真。なかでも動画は、愛犬のしぐさや行動の異変を判断するのに最適です。
そこで今回は、症状別の動画撮影のポイントを、獣医師の若山正之先生に教えていただきました。
愛犬の「歩き方がおかしい」様子を撮影する場合
愛犬の歩き方がおかしいときは、骨や関節、靭帯にかかわる病気のおそれがあります。
横・後ろ・前から歩く姿を撮影しよう
参考・写真/「いぬのきもち」2025年8月号『受診時に役立つ! 助けてくれる! 「症状」の撮り方』
この場合、異変のある足のアップではなく、歩いている様子を全身入れて撮影しましょう。横と後ろ、前から撮影できるとベターです。診察時に痛みを隠す犬も多く、歩き方を再現するのは難しいため、自宅や散歩で歩いているときの様子の動画が診断に役立ちます。
後ろと前からの撮影例
参考・写真/「いぬのきもち」2025年8月号『受診時に役立つ! 助けてくれる! 「症状」の撮り方』
愛犬の「震えやけいれん発作」を撮影する場合
震えはおなかや関節、筋肉などの痛みのほか、脳や神経の病気のおそれも。けいれん発作はてんかんや脳の異常、中毒などの可能性があります。
全身と顔のアップを撮影しよう
参考・写真/「いぬのきもち」2025年8月号『受診時に役立つ! 助けてくれる! 「症状」の撮り方』
震えや発作は動画で判断しやすいケースも多いため、短時間でもよいので撮影しましょう。また、表情から得られる情報も多く、顔のアップも撮っておくと診断に役立ちます。全身を硬直させて震えるけいれん発作は、初めて見た飼い主さんは動揺するかもしれませんが、撮影時間は十数秒程度でもかまいません。
アップだとわかりにくいことも
参考・写真/「いぬのきもち」2025年8月号『受診時に役立つ! 助けてくれる! 「症状」の撮り方』
なお、部分的な震えの場合、寄って撮りたくなりますが、得られる情報も限られるため、全身と顔のアップを撮影することを優先にしてください。
愛犬の「食べ方がおかしい」様子を撮影する場合
歯周病や口の中のできものなど、口腔内のトラブルが考えられるほか、食欲不振の可能性も。
できるだけ正面から撮影しよう
参考・写真/「いぬのきもち」2025年8月号『受診時に役立つ! 助けてくれる! 「症状」の撮り方』
例えば「こぼしながら食べる」場合は、口の中にトラブルがあることが多く、動画があると痛みがあるかどうかの判断に役立ちます。犬によっては食事中に飼い主さんが近づくことを嫌がる場合もあるので、無理のない範囲で食べている顔つきがわかるように撮影しましょう。
犬の「咳やくしゃみ」を撮影する場合
逆くしゃみか咳なのかを見極めます。咳なら気管虚脱や心臓病などが疑われます。
ほかの音は入れないように撮影しよう
咳やくしゃみは飼い主さんが誤解しやすい症状のため、動画がとても役に立ちます。犬が発する音が重要なので、なるべく静かに撮影しましょう。テレビの音も消すのがベストですが、すぐに消せないなら撮影を優先してください。
愛犬の「排せつの姿勢がいつもと違う」様子を撮影する場合
排せつの姿勢がいつもと違うときは、膀胱炎で排尿時に痛みがある、便秘でウンチを出しにくい、下痢で腹痛があるなどが考えられます。
横から見た姿勢がわかるように撮影しよう
参考・写真/「いぬのきもち」2025年8月号『受診時に役立つ! 助けてくれる! 「症状」の撮り方』
排せつ時の姿勢は横から撮るとわかりやすく、痛みや違和感の判断の助けに。しかし、撮影しようとするとストレスを感じる犬もいるため、無理は禁物。排せつ姿勢の写真を撮るだけでもよいでしょう。
愛犬の辛そうな姿を撮ることに心苦しさを感じる飼い主さんもいるかもしれませんが、飼い主さんが撮った症状の動画や写真が診断の助けになるケースは多いです。疑わしい病気を絞り込めて検査や治療がスムーズに行え、結果として犬の負担軽減につながることもあるので、「気になったら撮ってみる」を習慣にしてみましょう。
お話を伺った先生/若山正之先生(若山動物病院院長)
参考・写真/「いぬのきもち」2025年8月号『受診時に役立つ! 助けてくれる!「症状」の撮り方』
文/長谷部サチ
※一部写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性がない場合もあります。