春先から夏にかけて犬がかかりやすい外耳炎。犬が「頭を頻繁にふる」「耳や頭部を後ろ足などでかく」「耳を壁などにこすりつける」など耳や頭をかゆがるしぐさを見せたら、外耳炎にかかっている可能性大です。今回は、外耳炎の検査の内容やその後の治療の経過について解説します。
耳専用内視鏡を使って外耳道の隅々まで検査
犬に外耳炎が疑われる場合は、まず耳鏡で耳の中を検査します。外耳炎のなかでも治りにくいケースでは、患部をさらに詳細に検査する必要があり、その場合はビデオオトスコープ(耳専用内視鏡)というカメラを使うことがあります。犬の外耳道は、L字型に曲がっていて、奥まで見えづらいのが特徴で、通常の手持ちの耳鏡では診断しづらいことがあるからです。ビデオオトスコープでは、外耳道の奥や鼓膜の様子をモニターに拡大して詳しく観察できるため、たとえば、耳の中のどの部分に炎症があるかがピンポイントでわかり、より緻密な診断・治療ができます。
(写真上)ビデオオトスコープで検査することもあります。
(写真上)ビデオオトスコープ(耳専用内視鏡)で見ることができる外耳道の内部です。健康な犬の耳の中は耳垢もなくきれいです。
(写真上)外耳炎にかかった外耳道の内部です。炎症や腫れ、分泌物などが見られます。
外耳炎は、再発することが多い
外耳炎は、おもに定期的な点耳薬の投与や耳の洗浄によって治していきます。ただし、春先に治療して症状はおさまったものの、真夏に再発するケースもあります。再発しやすい犬は、春先から夏にかけて定期的な検診が必要です。また、アトピー性皮膚炎やアレルギーが原因の外耳炎は、繰り返し発症することも。たとえばブタクサをアレルゲンとする皮膚炎が原因の場合は、花粉が飛ぶ季節になれば必ず発症し、その季節が過ぎれば症状が収まるということが繰り返されます。完治はむずかしいですが、症状を抑えることはできます。大切なことは、外耳炎を発症したときに症状を悪化させないこと。毎年、発症の季節が来たら、症状の軽いうちに動物病院を受診しましょう。
いかがでしたか。愛犬がかゆがるしぐさを見せたら、なるべく早めに動物病院を受診し、検査を受けましょう。外耳炎は、早期に治療すれば、短期間で症状を抑えることができます。
参考/「いぬのきもち」2019年8月号『犬の現代病ファイル 外耳炎』(監修:本郷どうぶつ病院院長 山岸建太郎先生)
イラスト/フジマツミキ
文/犬神マツコ