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【ホントにあった犬の事件簿⑭】愛犬が亡くなった後、マンションで新しい犬を飼い始めたら訴えられた! 気になる判決は?
ホントにあった、犬にまつわる事件簿を紹介!
この連載では、過去に実際に起こった犬がらみのトラブルと、それに対して裁判所から下された判決について解説します。同じような事件が起こった場合の参考になります。
今回ご紹介するのは、東京地方裁判所で平成28年3月18日に判決が出た事例です。
※この記事の解説は、ひとつの例にすぎず、まったく同一の解決・判決を保証するものではありません。個々の事件の判決については裁判所に、解決策はその当事者に委ねられます。
お話してくれたのは……渋谷 寛先生
弁護士/渋谷総合法律事務所。ペット法学会事務局次長。動物の医療過誤訴訟を担当するなど、ペットと法律の問題に力を注ぐ。共著に『Q&A ペットのトラブル110番』(民事法研究会)など。
飼育は一代限りと約束していたのに、新たに犬を迎えてしまった
実は、ペットの飼育は禁止のマンションだった!

Aさんが愛犬と暮らすマンションの賃貸契約を結んだときには、契約にペット飼育禁止の項目はありませんでした。しかし、このマンションはもともとペットの飼育は禁止されており、その後新たにペット飼育に関する取り決めがなされ、飼育中のペットを管理組合に登録した場合、一代限りの飼育が認められることになりました。Aさんもさっそく、当時の愛犬を登録しました。
時は流れ、残念ながらAさんの愛犬は亡くなり、その後、Aさんは新たに犬を飼い始めました。管理規約上、認められていたのは先代の愛犬の飼育のみです。新しく犬を迎えることは管理規約に反します。管理組合は再三にわたり口頭や文書でAさんと部屋の区分所有者である賃主のBさんに飼育中止を申し入れましたが、Aさんはこれを聞き入れず、愛犬との暮らしを続けたところ、管理組合は飼育中止を求めて、AさんとBさんを訴えました。
飼育中止を求める管理組合の主張が認められた
裁判では、Aさんは、ほかにもペットを飼っている人はたくさんいて、ペット飼育禁止の管理規約は形骸化していると主張。またBさんは、賃貸契約にペットの飼育禁止の項目がないため、Aさんの飼育をやめさせることはできないと主張しました。
裁判所は、入居者のAさんとBさんにはペットの飼育禁止がきちんと名言されている管理規約を遵守する必要があると判断。飼育中止を求める管理組合の訴えを認める判決を下しました。
判決は……建物内での飼育禁止が命じられた

このように、賃貸契約上ペット禁止の項目がなくても、マンションの管理規約に禁止項目があれば裁判では認められず、退居することになります。賃貸物件に入居の際は、事前にその物件のペットの飼育に関する管理規約を確認してからにしましょう。
参考/『いぬのきもち』2017年12月号「ホントにあった犬の事件簿」
イラスト/macco
構成・文/豊島由美
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