犬は自分の体をペロペロなめることがありますが、この行動にはいろいろな理由があります。中には、病気やケガが原因でなめている場合もあり、注意が必要なケースも。そこで今回は、飼い主さんに知っておいてほしい“犬が自分の体をなめる理由”をまとめました。
犬はどうして自分をなめるの?
犬の「舌」は、人でいう「手」にあたります。つまり、人が手を使って体の気になる部分を触るのと同じ感覚で、犬は舌を使っているのです。
グルーミングのため
犬が自分の体を丁寧にペロペロなめるのは、身づくろいのひとつでキレイ好きな犬によく見られます。体についた水分やオシッコをしたあとの陰部、被毛の汚れなどを舌でなめとることで、清潔を保っているのです。
寝る前や寝起きにクセで
人が眠いときになんとなく目をこするのと同じように、犬も眠る前や寝起きに無意識で足や体をなめることがあります。また、子犬が母犬になめられて眠るように、眠る前に自分の体をなめることで安心できる場合も。
ストレスを感じて
不安や緊張、退屈などのストレスを感じたときに、一見無関係に見える「なめる」しぐさをすることで、犬は自分の気持ちをほぐそうとします。愛犬のストレスに気づいたら、苦手なものや場所からいったん離れて気分転換をさせるなどして、気を紛らわせてあげましょう。
飼い主さんの気をひくため
飼い主さんの前でばかりなめるのは、なめている姿を気にかけて、かまってくれるのを待っているのかもしれません。しかし、飼い主さんがそれに反応してしまうと、ますますなめるようになる場合もあるので、愛犬がなめていないときにかまってあげるようにしましょう。
病気やケガが原因でなめることも
散歩中に肉球を傷つけてしまい痛みがあるなど、犬は体に痛みや違和感を覚えると、その部分をなめることがよくあります。なめることで炎症がひどくなる場合もあるので、すぐにおさまらない場合は獣医師に相談してください。
なお、以下のような病気やケガが原因でなめることもあるので、注意してください。
皮膚表面の炎症などがある場合
脱毛や皮膚の赤みなど、愛犬がなめている部分に原因があることが多いので、よく観察してみましょう。
《疑われる原因》
外傷・トゲが刺さる、マラセチア皮膚炎、膿皮症、アレルギー性皮膚炎、ノミ・ダニ刺咬症、肢端舐性皮膚炎
体の内部に潜む病気やケガなどがある場合
気持ち悪いときや痛みを感じたときだけ体をなめる場合もあります。早期発見のために、定期的な健康診断も大切です。
《疑われる原因》
胃腸炎、膀胱炎・尿石症、子宮蓄膿症、関節炎など
上記以外にも、脳や神経の異常が引き起こす病気や、心の病気(常同障害)が原因の場合もあります。
受診が必要な「自分をなめるしぐさ」の見分け方
愛犬の異変に気がついたら、早めの受診が重要です。以下のチェックポイントにひとつでも当てはまる項目があったら、愛犬を動物病院へ連れて行きましょう。
受診の際のチェックポイント
□ なめている部分に脱毛や赤みがある
□ なめるしぐさが急に始まった/急に増えた
□ いつも同じ部分をなめている
□ 四六時中、または一日に何回もなめている
□ なめている部分を触ろうとすると怒る/嫌がる
言葉で体調を表すことができない犬たちは、体の不調やそこからくるストレスを“なめるしぐさ”として表面化していることがあります。日ごろから愛犬のしぐさなどをよく観察して、体調管理に気を配ってあげたいですね。
参考/「いぬのきもち」2017年10月号『モノ・人・自分をなめるワケが知りたーい!犬はどんな理由でペロペロするの?』(監修:東京大学付属動物医療センター行動診療科特任助教 獣医行動診療科認定医 荒田明香先生)
文/terasato
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。