ふだんなかなか耳にしない病気でも、かかると重症化する怖い病気がたくさんあります。今回はその中からとくに、飼い主さんが気づきにくい病気を3つご紹介します。
失明してしまう!「進行性網膜萎縮」
網膜内の光を受ける部分に異変が起こることで、網膜が徐々に委縮していき、最終的には失明してしまう病気です。犬は目が見えにくくても嗅覚で補って生活できるため、飼い主さんが異変に気づきにくいという特徴があります。遺伝性のことが多く、基本的に完治が望めない病気で、白内障を併発する場合も多いです。暗い場所で不安がったり、しょっちゅう段差でつまずくなどの異変が見られたら動物病院を受診しましょう。
ミニチュア・ダックスフンド、ボーダー・コリー、トイ・プードルのいずれも子犬に多い病気です。
先天性で症状がないことも…「門脈シャント」
肝臓にある血管(門脈)とほかの静脈との間に余分な血管(シャント)ができてしまい、肝臓で分解されるはずのアンモニアなどが体内に循環。さまざまな症状を引き起こします。多くは先天性で、無症状のこともあり、エックス線で見つかりにくいですが、子犬期からの肝臓の数値に異常が見られるなどの特徴があります。食欲がない、よく嘔吐する、下痢が続くなどの症状が出ることがあります。
ヨークシャー・テリア、ミニチュア・シュナウザー、シーズーの子犬に多くみられます。
鼻血や歯茎からの出血に注意「免疫介在性血小板減少症」
なんらかの原因で免疫機能に異常が起こり、自らの血小板を破壊する病気です。血小板は血液中に存在し、出血したときなどに血液を固める働きがありますが、これが破壊されると出血が止まらなくなったり、内出血が見られることがあります。出血しないと異常には気づきにくく、投薬治療を行いますが、完治は難しい場合も。鼻血が出たり、歯ぐきから出血することがサインになることもあります。
マルチーズやシー・ズー、トイ・プードルのメスがかかりやすいといわれています。
いかがでしたか? なかなか聞き慣れない病名ですが、発症すると完治が難しかったり、重症化してしまうものも多いです。病気の早期発見ができるよう、少しでも愛犬の異変に気がついたら、迷わずにかかりつけの獣医師に相談しましょう!
参考/いぬのきもち19年2月号「飼い主さんが気づきにくい犬の病気」(監修:東京動物医療センター副院長 南直秀先生)
イラスト/ササキサキコ
文/melanie
※写真はイメージです。