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最近寝てばかり……それは老化じゃなくて「認知機能不全症」かも

犬も人と同じように加齢とともに認知機能が衰え、認知機能不全症になります。8才以上のシニア犬で、「最近、寝ていることが多い」「呼びかけても反応しなくなる」といった様子が見られるようになったら注意が必要です。

睡眠時間が長くなり、悪化すると夜鳴きすることも

イラスト/フジマツミキ
イラスト/フジマツミキ
認知機能不全症は、8才以上のシニア犬に発症しやすいといわれ、脳の神経細胞の減少や脳の委縮が原因で、認知機能に障害が出てくる病気です。よく見られる具体的な兆候としては「睡眠時間が長くなる」「ぼんやりしている」「飼い主さんの呼びかけに反応しない」などが挙げられます。睡眠時間が長くなるだけなら、日常生活にとくに支障は出ませんが、悪化すると夜鳴きをしたり、怒りやすくなったりといった症状があらわれ、犬自身もストレスを感じ、飼い主さんの負担も大きくなります。

そそう、徘徊……認知機能不全症のおもな症状

イラスト/フジマツミキ
イラスト/フジマツミキ
認知機能がうまく働かないと、次の3つの症状が現れます。

1.記憶力が低下する「記憶障害」
それまで覚えていたことを思い出せなくなったり、新しく経験したことを記憶できなくなります。たとえば、しっかりトイレトレーニングができた犬も、記憶障害によってトイレの場所がわからなくなり、そそうをしてしまいます。

2.場所や時間の感覚がなくなる「見当障害」
見当障害が生じると「ここがどこか」「今が昼か夜か」など自分のいる場所や時間の見当がつかなくなります。そのため、昼夜の区別がつかなくなり、夜中に起きて鳴くことがあります。

3.判断や予測ができなくなる「判断力の低下」
まわりの状況を把握したり、自分がとるべき行動を判断する力が低下します。たとえば、後ろに下がれずに、部屋の隅から出られなくなったりします。判断力の低下にともなう不安や恐れから、ひとつところを円を描くようにうろうろすることもあります。

こうした異変が愛犬にあらわれて初めて病気と気づくことが多いです。

動物病院では認知機能不全症のチェックシートにもとづいて「人に対しての反応は鈍くないか」「排泄場所を間違えないか」など日常生活の様子をチェックして認知機能のレベルを調べます。また、画像検査で脳の委縮などを調べて、診断することもあります。




食事療法や適度な運動で認知機能の維持や改善を目指す

イラスト/フジマツミキ
イラスト/フジマツミキ
認知機能不全症の治療は、まずは食事療法で、脳の神経細胞の保護や修復に役立つ栄養素を取り入れたドッグフードを食べさせます。DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)、ビタミンBなどは脳細胞の保護と修復に役立つとされています。

食事療法と並行して、適度な運動をさせます。シニアになると散歩をしたがらない犬もいるかもしれませんが、短い時間でいいので無理のない程度に散歩をさせ、刺激を与えます。認知機能の維持や改善には、脳を使うことが大切だからです。長い散歩よりも、短い散歩を1日3~4回に分けてするほうが刺激の回数が多くなり、効果的です。おもちゃやゲームで遊ぶのも脳への刺激になります。

徘徊や夜鳴きなどを何度も繰り返すなど症状が進行した場合は、症状の程度に合わせて治療薬のほか、安定剤や睡眠剤を使うこともあります。

いかがでしたか。認知機能不全症は、日常的な刺激が少ない犬ほどなりやすい傾向があります。シニアになっても、無理のない範囲で散歩に連れていったり、体を軽くマッサージしてみましょう。脳にも筋肉にもよい刺激となり、認知機能の低下を抑えることができます。

参考/「いぬのきもち」2019年9月号『犬の現代病ファイル 認知機能不全症』(監修:佐藤貴紀先生 JVCC動物病院グループ代表) 
イラスト/フジマツミキ
文/犬神マツコ
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