犬と暮らす
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動物の精神科医、犬猫の「ストレス診療科」を開設。その背景は
犬もストレスで健康を損なう
ストレスに対するケアを行うという立場を明確にすることで、飼い主さんや獣医師が犬のストレスに目を向けるきっかけになれば…と、ストレス診療科を開設されました。
愛犬が実はストレスを感じてるシーンは
「犬が苦手なのに、ドッグランに連れていかれて、「お友達作ってらっしゃい」と追い立てられるとか、服を着るのが苦手なのに服を着せられるとか、「犬のきもち」に配慮できていないことによってもストレスがかかります。
例えば、ブラッシングとか、身体のケアとか、散歩に行くこととか、犬の生活上必要不可欠なストレスについては、馴らして乗り越えていく必要がありますが、そうでないもの、飼い主の満足のためにやることを無理強いしてしまうのは、犬にとって大きな負担になります」
一方、ストレスは悪いものだと避けてばかりいると、ストレスに弱い犬になってしまうそう。「ストレスを乗り越えられるようにサポートする事で、ストレスに強い、心が柔軟な犬に育てることができると思います」
ストレスの視点で治療を行ったところ…
「飼い主さんに対する攻撃行動がある犬の例です。ヒアリングで攻撃行動の他に、ほぼ毎日嘔吐を繰り返していることが分かりました。しかし、血液検査やその他の検査では異常がありませんでした。
飼い主に対する攻撃性や音などの刺激に対する過敏性も強かったことから、交感神経の過剰な興奮、自律神経の失調が関連した嘔吐を疑いました。飼い主との関係改善を目的とした行動療法と、抗不安作用のある向精神薬と、自律神経を整える漢方薬による薬物療法を併用したところ、嘔吐の発生が月に1~2回程度に減少し、攻撃行動についても減少しました」。
現在も薬物療法を併用しながら、トレーニングを行い、飼い主さんとの安心できる関係づくりを進めているそうです。
愛犬に大きなストレスがかかる災害時に備えて
万が一の備えとして、普段からどんな場面でも落ち着いて行動できること、社会性を高めることが大切だそう。
「愛犬の社会性を高められるように、ぜひしつけ教室などに参加してみてください。日常生活で問題がないからと言って、非常時にそれができるとは限りません。クレートに入ってリラックスしていられる、人混みでも飼い主さんに集中して歩ける、大きな音がしてもびっくりせずにいられる、など、普段の生活+αの状況で、飼い主さんと行動できるようにすることが大切です。そうすれば、大きなストレスがかかっても、対応しやすくなります」
今、大きな問題なく愛犬と暮らしている方も、これを機会に愛犬のストレスについて考えてみてはいかがでしょうか。

ぎふ動物行動クリニック院長/鹿児島大学獣医学部講師(動物行動学)
帝京科学大学アニマルサイエンス学科講師(ペット共生学)
著書:「動物の精神科医が教える 犬の咬みグセ解決塾(2018)」「ペット産業CSR白書(2018)」
文/maki
※奥田先生のプロフィール写真以外の写真は「いぬのきもちアプリ」で投稿されたものです
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください
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