愛犬のかわいい写真を撮るにはどうすればいいのでしょうか? 今回は、写真家の中村陽子さんにうかがった、犬の写真を上手に撮るコツやポイントをご紹介します。おすすめのカメラの種類や便利グッズ、写真加工アプリもご紹介するのでぜひ参考にしてくださいね。
犬の写真を撮るときにおすすめのカメラ
犬のかわいい写真を撮るには、どのようなカメラを使えばいいのでしょうか?
写真の撮り方講座などでさまざまなかたと接する機会が多いという、写真家の中村陽子さん(以下、中村さん)によると「最近では、スマホ(スマートフォン)のカメラ性能が上がってきているため、スマホのカメラ、あるいは、ミラーレス・一眼レフカメラの二極化になってきているようです」とのこと。とはいえ、やはりミラーレスカメラや一眼レフカメラでないと難しいことも多いといいます。
犬の動きをそのまま撮影したいときは、ミラーレスカメラor一眼レフカメラがおすすめ
「たとえば、犬の動きをそのまま撮影したい場合、ミラーレスカメラや一眼レフカメラなら、望遠レンズを使って遠くから動きをとらえることができますが、スマホならそれなりに近づかなければなりません。このように、スマホのカメラ性能が上がっているとはいえ、ミラーレスカメラや一眼レフカメラでないと難しいことは多々あります」(中村さん)
【豆知識】ミラーレスカメラと一眼レフカメラの違いとは
ではここで、ミラーレスカメラと一眼レフカメラの違いについて、簡単にご紹介します。
■ミラーレスカメラ
ミラーレスカメラは、レンズが捉えた景色を映像に変換し、それを電子ビューファインダーや液晶モニターに映すという仕組みのカメラです。そのため、撮影前に明るさや色味を確認できるなど、初心者でも失敗しにくいといったメリットがあります。
また、軽量でコンパクトなものが多く、カバンの中に入れて日常的に持ち歩きたいかたには適したカメラといえるでしょう。ただし、バッテリーの減りが早いので、1日中使いたいときは予備のバッテリーを持ち歩くと安心です。
■一眼レフカメラ
一眼レフカメラは、カメラの中にあるミラーにレンズが捉えた景色を反射させ、光学ファインダーを通してその景色を見るという仕組みのカメラです。リアルタイムに景色を見ながら撮影できるため、「写真を撮りたい!」と思った瞬間にシャッターを切れるのが大きな特徴でしょう。動く被写体を撮るのに最適なカメラともいえます。
なお、ミラーや光学ファインダーの構造を含む分、カメラとしては大きく重めになるため、日常的に持ち運びたい場合は、やや不便を感じるかたもいるかもしれません。ただし、一眼レフカメラは液晶モニターを使用しなくても光学ファインダーだけで撮影できるため、ミラーレスに比べてバッテリーの持ちがよく、一度の充電で長く使えるというメリットもあります。
■ミラーレスカメラのほうが初心者向き
「一眼レフカメラに比べると、ミラーレスカメラは小型のものが多く、撮影時に電子モニターで色味なども調整できるので、初心者向きといえるかもしれませんね」(中村さん)
愛犬の写真を上手に撮るための基本ポイント
「写真は愛犬との関係性がそのまま写されます。最初から上手に撮ろうとするのではなく、むしろ愛犬との関係性をよくするきっかけとして、撮影を楽しんでみてください」という中村さん。
このことを踏まえたうえで、愛犬の写真を上手に撮るコツやポイントについてうかがいました。
愛犬に「撮影が楽しい」と思わせることが大切
「飼い主さんの悩みで多いのが、“愛犬がレンズを見てくれない”というもの。犬がレンズを見ないのは、スマホやカメラを構えた状態で何度も名前を呼んだり、『こっち向いて! ちゃんとして!』などと大きな声を出したりするので、犬が『またこの嫌な時間か……』と思ってしまうのが原因です。
愛犬が撮影嫌いにならないためにも、最初は短時間で撮影を行い、しつこくしないようにしましょう。また、撮影する際にフードやおやつを与えると、愛犬にとって撮影がより楽しいものになるかもしれません」
愛犬と光の位置を意識する
■「キャッチライト」を意識する
「犬の目に光を入れることを意識してみてください。これは『キャッチライト』という撮影技法ですが、瞳に光がうつるように意識すると表情がイキイキしますよ」(中村さん)
■「順光」と「逆光」を使い分ける
犬の顔に向かって光があたることを「順光」といい、犬の背後から光が当たることを「逆光」といいますが、これをうまく使い分けることで、よりステキな写真を撮ることができるといいます。
・色鮮やかな写真を撮りたいときは「順光」
「順光だと色鮮やかなくっきりした写真になり、キャッチライトが入りやすくなります。ただし、まぶしくて犬が目を細めてしまったり、顔に強い影が出てしまったりすることも。そんなときは、犬の姿勢が少し横になるような位置にしたり、顔の向きを変えたりしてみるといいでしょう」(中村さん)
・やわらかな写真を撮りたいときは「逆光」
「逆光で撮影するとやわらかい印象の写真になりますが、顔全体が暗くなってしまうこともあります。この場合も順光のときと同じように、犬の位置や顔の向きを少し変えてみるといいでしょう。レフ板やストロボを使うのも手ですが、いずれにせよ、光と愛犬の位置を意識してみるとかなり違いますよ」(中村さん)
スマホはケースをつけて、「連写機能」を活用すると◎
「スマホで上手に撮影することを考えると、ケースをつけたほうが掴みやすく、構えやすくていいと思います。
また、多くのスマホは長押しすると連写できる仕様になっているので、それもぜひ活用してほしいです。いつも連写する必要はないかもしれませんが、ここぞというときは連写しておいて、あとでとっておきの1枚を選ぶといいでしょう。
ちなみに、スマホの機能にもよりますが、音量ボタンがシャッターになる場合は、その機能を使って撮影すると、画面が見やすくなるのでうまくいく場合も」(中村さん)
愛犬の「笑顔」写真を撮るポイント
愛犬の笑っているような表情の写真を撮りたいというかたは多いようですが、愛犬の「笑顔」写真を撮るコツなどはあるのでしょうか?
一緒に遊んでから撮影するのがおすすめ
「じっとしているときより、動きがあるほうが自然と口も開き、表情がイキイキして見えることが多いです。そのため、いきなり撮影するのではなく、飼い主さんが少し一緒に遊んでから撮影すると、笑っているような表情をとらえやすいでしょう。とはいえ、大切なのはやはり『撮影が楽しい』と愛犬に思ってもらうことですよ」(中村さん)
なお、犬の「笑顔」写真やカメラ目線の写真を撮るコツは以下の記事でもご紹介していますので、あわせて参考にしてみてくださいね。
愛犬の写真撮影で持っていると便利なグッズ
愛犬の写真を撮る際、持っていると便利なグッズなどはあるのでしょうか?
「リングライト」があるとよりかわいい印象に
【Amazon】LED自撮りライト リングライト【ピンク】 価格1,099円(税込)※2020年11月の記事制作時
「スマホで自撮りする際などに使われる『リングライト』は、愛犬の顔を照らすと目にかわいく光が映るため、キャッチライトのために便利です。スマホにつけなくても、飼い主さんが手に持って愛犬の顔を照らすのもいい使い方ですよ」(中村さん)
フードやおやつ、音のするおもちゃがあると役立つ場合も
そのほか、中村さんの解説にもあったように、フードやおやつを持っておくと、愛犬を楽しませるときに役立つ場合も。また、音の出るおもちゃなどがあると、愛犬の気を引くときに便利かもしれません。
愛犬の写真をキレイに加工するコツ
「愛犬の写真を撮ったけど失敗してしまった」という場合、あとからアプリで修正する際のコツなどはあるのでしょうか?
アプリの機能を上手に使い分けるのがポイント
「ボケたりブレたりした写真は加工できませんが、明るすぎる・暗すぎるものは、アプリで補正することができます。全体が明るすぎるのか、また、明るい部分が明るすぎる、あるいは、暗い部分が暗すぎるのかなどによって、アプリの機能を使い分けてください。部分的な問題であれば、『露出』や『明るさ』ではなく、『シャドウ』や『ハイライト』機能を使って調整してみるといいでしょう」(中村さん)
初心者におすすめの写真加工・編集アプリ
では最後に、中村さんがプロの写真家として、一般の飼い主さんにおすすめしてくださった写真加工アプリをご紹介します。
『Focos』
「背景をあとからぼかすことができるアプリ」として中村さんが紹介してくださったのが、カメラアプリ『Focos』です。
『Focos』を使えば、あとから背景をぼかすのはもちろん、ぼかし具合を調整したり、ピントがずれてしまった写真を修正したりすることもできるため、スマホでの写真撮影がより一層楽しくなるでしょう。
「Adobe Lightroom」
「色の調整など、操作が直観的で使いやすい」として中村さんがおすすめしてくださったのが、『Adobe Lightroom』という写真加工・編集アプリです。
『Adobe Lightroom』は、スライダーを動かすだけで写真がぐっと鮮やかになるほか、ペットの写真の逆光補正や、うっかり写りこんでしまったものの削除などができるアプリなので、うまく使いこなせば、スマホで撮った写真もワンランクアップするでしょう。
愛犬のかわいい写真を撮って思い出を残そう!
今回は、写真の中村陽子さんに聞いた、犬の写真を上手に撮るコツやポイントなどについてご紹介しました。みなさんも愛犬のかわいい写真を撮って、楽しい思い出を残してみてはいかがでしょうか? ぜひ参考にしてみてくださいね。
教えてくれた方 中村陽子さん
写真家
大阪市生まれ
カナダ・トロント市在住中に犬と暮らし始め、ペットの撮影を始める
2005年 (有)ドッグファーストとスタジオD1を設立 広告を中心として、ペットや子どもの撮影などを手掛ける
現在 広告撮影を中心に、カメラ専門誌・愛犬雑誌でも活躍中
参考/「いぬのきもち」WEB MAGAZINE『【専門家監修】愛犬の写真撮影~カメラ目線や自然な表情を撮影するコツを伝授』
文/ハセベサチコ