愛犬に与えているドッグフード。ラベルに書かれている内容を読んで、選んでいますか? 犬が喜んで食べていれば、そこまで気にしていない人も多いのではないでしょうか。
しかし毎日食べるものだからこそ、材料は何が入っていて、それが愛犬の体にどのような影響を与えるか知っておきたいところ。ドッグフードラベルには、「ペットフード安全法」により必ず「原材料」を表示することが義務付けられているので、ラベルをよーく読めば、選んでいる「ドッグフード」の特徴をより深く知ることができます!
今回の記事では、「じつはよく分かっていないんです……」という飼い主さんのために「原材料」の欄によく出てくる用語を紹介します。
「原材料」の表示を読み解いてみよう!
イラスト/iina
原材料とは、フードに使用されたすべての原料・材料のこと。使用料の多い順に記載されており、おもに「メインの食材」「栄養をサポートする成分」「鮮度を保つ成分」などがあります。順番に、その内容についてみてみましょう!
a. メインの食材
原材料のうち、もっとも多く含まれている材料のことで、味や栄養の基本となる部分。エネルギーがたくさん含まれていて、愛犬の体の成長や健康維持に大きくかかわっています。肉類、油類、穀類などのことを指します。
肉類
おもに牛(ビーフ)、豚(ポーク)、鶏(チキン)、七面鳥(ターキー)、羊(マトン・ラム)、馬肉、うずらなど。犬に嗜好性が高く、たんぱく源として用いられます。
油類
ドッグフードの栄養素を補完するために使われます。大豆油・亜麻仁油(あまにゆ)などの植物性油脂や、魚油、食肉(鶏肉・牛肉など)から抽出された動物性油脂などがあります。
穀類
小麦や米、とうもろこしや大豆など、穀類を使ったフードもあります。小麦グルテンやコーングルテンなど、穀物からたんぱく質を取り出したものも含まれます。
b. 栄養をサポートする成分
エネルギー源となるメインの食材のほか、愛犬の体をつくり、健康維持に役立てるための栄養素も重要です。皮膚や被毛の健康を保ったり、骨や歯をつくることにもかかわっています。アミノ酸類、ミネラル類、ビタミン類など。
アミノ酸類
たんぱく質を構成する成分です。生物の体は20種類のアミノ酸からできていますが、うち10種類が犬に必須のアミノ酸。被毛の健康に役立つメチオニンなどがあります。
ミネラル類
犬の体の組織をつくる、体調を整えるなどの働きがあります。骨のもとになるカルシウムや、血圧などにかかわるカリウム、赤血球の成分になる鉄分などがあります。
ビタミン類
犬の体に欠かせない、五大栄養素のひとつです。皮膚や粘膜の健康を保つビタミンAや、歯をつくるのに役立つビタミンD 、体の酸化を抑えるビタミンEなどがあります。
c. 鮮度を保つ成分
ドッグフードはエネルギー源として油脂成分が多く含まれているため、時間がたつと酸化や劣化するおそれも。鮮度と品質を保つため、保存料や酸化防止剤などの添加物を使用しているフードもあります。
保存料
カビや細菌など、食品の腐敗や変質の原因となる微生物の発生を抑え、ドッグフードの保存性を高めます。ソルビン酸カリウムなどがあります。
酸化防止剤
油脂など、フード中の成分が酸化するのを防ぐために添加される抗酸化物質のこと。BHA 、ミックストコフェロール(ビタミンE )などがあります。
原材料にかかわる用語を、もっと知ろう!
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上記で、原材料における3つの主要な要素を紹介しました。次に、原材料の欄によく出てくる用語を紹介します。聞き馴染みのない言葉もありますが、いっしょに読み解いていきましょう。
ミール
原材料を粉状にしたもの。身近なものではカップラーメンの粉などがありますが、犬のドライフードでもよく使われます。
ポリリン酸ナトリウム
いわゆる結着剤のこと。食品を作るときに、材料をなめらかにまとめて、食品の安定性を高める効果が狙われています。
ビートパルプ
ビート(てんさい)からとれた食物繊維のこと。腸によいバランスの繊維質で、おなかの健康によいと考えられています。
肉副産物
家畜から食肉を使ったあとに残る部位のことで、いわゆる内臓などのこと。肺や脾臓(ひぞう)、腎臓のほか、血液や骨など。
コーンフラワー
とうもろこしをひいて作った粉のこと。人用の粉ミルクのほか、フランクフルトやナゲットなどフライ製品にも使われています。
加水分解
酵素により物質を分解すること。分解するほどアレルギー反応が起こりにくくなるため、低アレルゲンフードなどで使用。
セルロース
ごぼうなどに多く含まれる植物性繊維のこと。水に溶けないため減量用フードでカサ増しに用いたり、腸を刺激して便通をよくする狙いで入れることも。
愛犬の健康維持に役立てよう
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上記で紹介したなかに知らない用語はありましたか? 原材料の要素だけでは愛犬に最も適したフードを選べませんが、知っていると知らないでは大きな違いも。アレルギーに気づきやすくなったり、愛犬が好むフードを知れて、より健康的な毎日を送れるでしょう。
今まで気にしていなかった飼い主さんも、今後は、ドッグフードラベルに書かれている内容をチェックしてみてくださいね。
参考/「いぬのきもち」2020年2月号『ドッグフードのラベルの読み方』(監修:徳本一義先生)
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文/ichi