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「甘えん坊になった」「よく吠えるようになった」コロナ禍以降に増えた困りごと、改善策を獣医師が解説
「コロナ禍以降に愛犬の困りごとが目立つようになった」 該当する飼い主さんは約1割
具体的な困りごとについては、以下のような声が寄せられています。
以前よりも甘えるようになった
- 「甘ったれになりました」
- 「家にいる時間が多くなったから、以前よりも甘えるようになった」
- 「甘えん坊。お留守番が苦手になった」
- 「旦那が自宅での仕事になってからパパっコになった事」
- 「おうち時間が増え、ちょっと外出するだけで寂しがるようになった」
- 「自宅にいる時間が長いので離れるのを不安がる」
以前よりも吠えるようになった
- 「無駄吠えが多くなった気がする」
- 「毎日家にいるものと思っているようで出勤の支度をしていると慌て出し、吠えるようになった」
- 「飼い始めて間もなくステイホームになったので、家族の誰かが家に居る状態が続き、お留守番をさせる時に物凄く鳴くようになりました…」
【獣医師解説】コロナ禍以降に見られた愛犬の困りごと 理由と対策は?
気になる疑問を、いぬのきもち獣医師相談室の先生に聞いてみました。
コロナ禍以降に「甘え」「吠え」が目立つようになったワケ
「犬の生活は、一緒に暮らす人との生活によって大きな影響を受けます。
たとえば、コロナ禍によって飼い主さんの生活が『在宅ワークが中心になった』『外出を控える生活様式になり、休日にも出かけず在宅していることが多くなった』という変化があったのであれば、愛犬もその影響を受けます。さらに、在宅時間が増えたことで愛犬をかまってあげる時間も増えたのであれば、その影響もさらに加わります。
その点から、コロナ禍によって変化した人の生活を、愛犬は『飼い主さんがいつもそばにいる』『かまってくれることが増えた』という、新しい生活として受け入れたのだろうと思います。
甘えん坊になることも、寂しがるようになることも、そのコなりに理解した新しい生活にしっかり馴染んだからこその行動ともいえるでしょう」
飼い主さんができる改善策は?
「在宅中心の生活スタイルそのものは、個人の意思ではなかなか変えようがありませんが、愛犬に対する接し方は工夫ができます。愛犬と関わる際には、むしろコロナ禍以前のとき以上にしっかりメリハリをつけることが大切です」
「たとえば、在宅ワーク中や家事や用事の際などは『愛犬には一切かまわない、声もかけない』という対応をするほうが、犬にとっても『今はかまってもらえない状況』だと伝わりやすいです。
また、在宅時でも所用で忙しいタイミングには、そもそも愛犬が過ごす部屋を別にするなどの工夫を取り入れるのも、よい対応です。これは、飼い主さんの在宅・不在にかかわらず『1匹だけで過ごすこと』のトレーニングにもなります」
「最もよくないのは、仕事中のちょっとした隙間の時間や、家事や用事をしながら片手間にちょっとだけ声かけをしたり、かまったりすることです。
かまってもらえると期待させつつ、満足するほど十分にはかまってはもらえない状況は、愛犬にとってはかえってストレスです。飼い主さんの気をさらに引くためのイタズラや甘噛み、要求吠えなどの困った行動につながってしまうこともあります」
「そうですね。しかし、在宅しているからと常に一緒にいるのも、愛犬のためにはよくありません。一緒にいられない際のストレスや不安が、かえって強くなるからです。そうならないよう、在宅時でもあえて愛犬とは一緒に過ごさない時間を意識して持つことも大事です」
「今後のこと」を見据えて、愛犬への接し方を考えよう
「コロナが収束すれば、コロナ以前の生活と同じように、愛犬は自宅で留守番をする時間が増えることと思います。愛犬にとっては、それもまた『今までとは違う、さらに新しい生活』なので、受け入れるためには日ごろの備えや、慣れる時間が必要です。
そうなったときにできるだけストレスを少なく、受け入れやすくするためには、飼い主さんが在宅中の今から、生活の中で適度な距離感を保つ習慣を意識することが大事です。
たとえば、飼い主さんが家事や在宅ワークをするタイミングは、愛犬にとっては1匹で過ごすトレーニングの時間と考え、おもちゃなどを用意した環境で、1匹で過ごさせる時間を意識して持ちましょう。
そして、家事や仕事が終わり、しっかり向き合ってあげられる時間になったら、たくさん遊んであげましょう」
「在宅中心の生活でも対応にメリハリをつけることで、愛犬は『いつでもかまってもらえる』という勘違いをしにくくなり、1匹だけで過ごす時間も落ち着いて受け入れ、上手に過ごせるようになることが期待できます。
可愛さや癒しを求める気持ちから、ついつい頻繁に愛犬をかまいがちになってしまう状況もあると思いますが、先々、愛犬が心穏やかにコロナ終息後の新しい生活に馴染んでいけるよう、今から備えてあげることが大切です」
(監修:いぬのきもち・ねこのきもち獣医師相談室 担当獣医師)
※写真は「いぬ・ねこのきもちアプリ」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください
取材・文/sorami
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