もしも愛犬が熱中症になったときに、飼い主さんは適切な対応ができるでしょうか?
愛犬が熱中症に…経験した飼い主さんは約1割
今回いぬのきもちWEB MAGAZINEでは、飼い主さん374名に「愛犬が熱中症になったことがあるかどうか」をアンケート調査しました。すると、約1割の人が該当する結果に。
愛犬が熱中症に…経験した飼い主さんの経験談
愛犬が熱中症になったときの状況とは、どのようなものだったのでしょうか? 愛犬の熱中症を経験した飼い主さんたちに、当時の状況を聞きました。
・「夕方5時過ぎに散歩に行って、帰って来たらグタッとして、食欲もなくおかしいと思い病院に行き点滴しました」
・「そんなに暑くない日だったのに、散歩から帰ってから急にブルブル震えてグッタリしてたので、大急ぎで病院に連れて行った。点滴してもらって1日休んだら落ち着いた」
・「老犬が脱水症状を起こしてぐったりして、心配になって病院に連れて行った。点滴をして連れて帰って様子を見ていると、元気になってくれてホッとした」
・「トリミング中に、数回嘔吐してその後病院に連れて行き、熱中症と診断されて点滴を受けました」
・「元気がなく、ご飯も残して、下痢でした。すぐに病院に連れて行き、注射を打って、首に保冷剤を巻いて帰って来ました」
・「まだ夏になる前だったので、熱中症だとは思いませんでした。ちょっと食欲がなくていつもと違うくらいでした。念のため病院に連れていったところ、熱が高く、熱中症の初期症状でした。それからは夏前でも人の体感ではなく、気温を確認してエアコンをつけたり、水をあまり飲まないので、ゼリーをあげたりしています」
・「25年くらい前、お盆のため東北に帰省中の夕方(19時頃だった)お散歩中に、突然パタンと倒れて痙攣を起こしました。田舎で病院も少なく、お盆休みでしたが診察してもらえ、その時に熱を測って『熱中症で、もう少し遅かったら厳しかったかも』と言われました。お盆休みにも関わらず、すぐに点滴してくれました。毎日点滴し元気になりました」
そこまで暑い日ではなかったのに…といった声もあり、突然の出来事に驚いた飼い主さんもいたようでした。
【獣医師解説】犬が熱中症になりやすいシーンは? 注意点や対処法も知っておこう
愛犬が熱中症にならないようにするために、飼い主さんはどのようなことを知っておくとよいのでしょうか。ここからは、犬の熱中症について、いぬのきもち獣医師相談室の先生が解説します。
犬が熱中症になりやすいシーン
犬の熱中症は夏が圧倒的に多いですが、梅雨の時期にも見られます。
熱中症は高温多湿の環境によって起こり、気温だけでなく湿度も気にするようにしてください。たとえ曇りでも、気温と湿度が高ければ熱中症は起こります。
また、飼い主さんの体験談にもありますが、
意外と知られていないのがトリミングや、自宅でのシャンプーによるドライヤーの熱風でも熱中症は起こるので、注意が必要です。
以下の条件がそろうと、犬は熱中症になりやすいとされています。
- 高温多湿の環境に長時間おくこと
- パグやフレンチ・ブルドッグなどの短頭種
- 肥満、呼吸器や心臓疾患などの持病があること
- 過度の運動など
犬はアスファルトからの照り返しを受けやすいので注意
人の平熱は36℃台くらいですが、犬の平熱は38度℃台と高く、さらに被毛があります。そして、犬のほうが地面に近いので、アスファルトからの照り返し(輻射熱)を受けやすいことも忘れないようにしましょう。
そのため、「まだそれほど暑くない時期なのに」と飼い主さんの体感温度ではなく、犬は暑さの感じ方や影響が人とは違うことをまず想像してほしいと思います。
熱中症の犬に見られる症状
熱中症になりやすい高温多湿の環境において、飼い主さんは下記のような犬の症状に気づくことが多いと思います。
- 口を開けてハアハアと激しいパンティングが続く
- 愛犬の体を触るといつもより熱くなる
症状が悪化すると下痢や嘔吐をしたり、倒れて意識を失ったり、けいれんを起こせば命の危険があります。
熱中症が疑われる犬に対し、飼い主さんが取るべき行動は
熱中症の可能性がある場合、まずは必ずかかりつけの動物病院に連絡をして、対処や受診について指示を仰いでください。
室内であればエアコンや扇風機を使って冷やし、愛犬が自力で飲めるようであれば、新鮮な水を与えてもよいでしょう。病院までの移動の間、可能であれば濡れたタオルで愛犬の体を冷やしたり、タオルに包んだ保冷剤で首や脇の下、内股を冷やしたりしてください。
自宅でできることは限られているので、迷わず早く病院で治療を開始することが重要です。
犬の熱中症の予防
基本的な犬の熱中症の予防については、下記のようなことでしょう。
- 室内で適切にエアコンを使用する
- お散歩は暑い時間を避ける
犬が室内で快適に過ごすには、室温は26℃前後、湿度は50~60%が目安となります。
ただ、熱中症のリスクはみんな同じではありません。先ほど述べた熱中症になりやすい条件のほかにも、小型犬と大型犬でもリスクは違いますし、被毛がシングルコートかダブルコートか、毛量の多さや毛の長さによっても変わってきます。
熱中症の予防としては、まずは愛犬が暑がっていないかをよく観察することが大切です。飼い主さんは注意して見てあげるようにしてください。
また、お散歩は高温多湿の時期は短いコースを選んだり、日陰のあるコースにするなど、犬に無理をさせないようにしましょう。日差しがある場合は、犬の足裏がヤケドを起こさない温度かどうか、アスファルトを触って確認してみてください。
こまめに水分補給をしたり、休憩をすることも大切です。また、クールベストを着せたり、保冷剤を入れるクールバンダナなどのひんやりグッズを使用することもおすすめです。
もしお散歩中に愛犬のパンティングが激しいと感じたら、早めにお散歩を切り上げてください。
いぬのきもちWEB MAGAZINE『犬の熱中症に関するアンケートvol.01』
(監修:いぬのきもち・ねこのきもち獣医師相談室 担当獣医師)
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください
取材・文/sorami