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腫瘍とがんって別モノ? 意外と知らない「犬の腫瘍のコト」5

日本人の死因のトップは、「悪性腫瘍」といわれています。
じつは犬も、10才以上の犬の約半数が「がん」で亡くなるといわれており、実際「愛犬が闘病している」という飼い主さんも少なくありません。

しかし、犬の「がん」「腫瘍」といわれても、いまいちピンとこない方が少なくないのも事実。
そこで今回は、犬の「がん」「腫瘍」について、基礎的な情報をご紹介します。
シニア犬の飼い主さんだけでなく、まだ若い愛犬を飼っている方も、将来に備えて知識として知っておきましょう。


※記事内ではリアルな症例写真を掲載しています。閲覧にはご注意ください。
(イラスト/仲西 太)

そもそも「腫瘍=がん」?

(イラスト/仲西 太)
「腫瘍」とは、細胞がなんらかの原因で異常に増殖し、かたまりになったもののことをいいます。

腫瘍は、転移することがほぼない「良性腫瘍」と、周囲の正常な組織を巻き込んで急速に増殖し転移する「悪性腫瘍」に分けれられます。

そしてこの「悪性腫瘍」を総称して「がん」といいます。
悪性腫瘍には、「癌(がん)」や「肉腫」のほか、「リンパ腫」や「肥満細胞腫」などが挙げられます。

悪性腫瘍と良性腫瘍の見分け方はあるの?

目のわき近くにできた基底細胞腫の例(矢印部分)。赤く飛び出しているので一見すると悪性のように見えますが、じつは良性の腫瘍です。(写真提供/遠藤美紀先生)
見た目だけでは、腫瘍のよしあしを判断できません。
腫瘍の一部を採取して顕微鏡などでくわしく調べないと、正確にはわからないのです。
ときには獣医師でも、皮膚にできた悪性腫瘍を「炎症かも?」と見間違えることがあるくらいですから、見た目で勝手に判断するのは危険です。
愛犬の体にできものを見つけたら、患部を強く触ったりせずに、すぐに獣医師に相談しましょう。

腫瘍はシニア犬だけがなるもの?

生後6カ月で口内に扁平上皮がんを発症した例。非常に進行が早い悪性腫瘍のひとつで、この症例では、手術で下あごの一部を含めて腫瘍を摘出。(写真提供/浜松家畜病院・ドッグギャラリークリニック 武信行紀先生)
腫瘍、とくに「がん」と聞くとシニア犬がなるイメージですが、若くても腫瘍になることがあります。
たとえば皮膚組織球種は子犬から若年期に多い良性の腫瘍です。
症例数は少ないものの、骨肉腫や肥満細胞腫などの悪性腫瘍が2、3才で発症する例も。
過去には生後数カ月でがんを発症したケースもあり、若い犬でも注意が必要です。

腫瘍になりやすい食べ物や生活環境ってあるの?

猫では喫煙家庭だとリンパ腫の発症率が上がるというデータがあり、おそらく犬でも同様だと考えられます。
また、除草剤を口にすることで、膀胱癌が増えるというデータも。
食べ物ではそのような報告はほぼないので、それよりも身近にあるたばこや薬剤、化学製品に注意しましょう。

腫瘍の早期発見のコツは?

エックス線検査の様子。エックス線検査も超音波検査も必ず定期健診の項目に加えて。血液検査だけでは、体内の腫瘍はわかりません。(写真提供/遠藤美紀先生)
年とともにできやすくなる口内の腫瘍は、毎日の歯みがきでしっかりチェック。
ほおの内側や唇、歯ぐき、舌などに“不自然な盛り上がり”やデコボコが無いかを確認しましょう。
また、頭からしっぽの先まで、全身の皮膚を日々よく見るようにし、できものや炎症がないか調べて。
体内の腫瘍は、定期健診のエックス線検査や超音波検査で早期発見を心がけましょう。
いかがでしたか?
人と同様、犬も「がん」になるケースが増えています。
そのときに備えて情報を知っておくことは、病気の早期発見・早期治療にも役立ちます。
「うちのコは元気だから」と他人事でいるのではなく、愛犬のためにも学んでおけるといいですね。

参考/「愛犬との暮らしをもっと楽しむのいぬのきもち」2016年12月号『良性腫瘍からがんまで犬の腫瘍最新事情』監修:池尻大橋ペットクリニック院長 遠藤美紀先生)
イラスト/仲西 太
文/h.taco
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