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歴代のパートナードッグと避妊去勢手術の変化|連載・西川文二の「犬ってホントは」vol.88
今回は、犬の避妊去勢手術に関するお話。西川先生が、避妊去勢手術に関して生徒さんから質問を受けた際、歴代のパートナー・ドッグの話をするそう。その経験から見えてくるのは、手術の仕方の変化。生徒さんの愛犬の話も交えて、さまざまなケースを話してくれています(編集部)。
私の教室では、クラススタート時に生後4カ月齢未満の犬は、パピークラスから参加することになります。
そのパピークラス4回を修了したのちには、初級クラス7回、さらにはステップアプクラス7回へと、上がってもらいます。
間に休みなども入りますから、パピークラスからスタートした場合、ステップアップクラスを終えるにはだいたい6カ月間後。すなわち、生後3カ月齢からパピークラスに参加するとなると、クラスに参加している間にどうしても避妊去勢手術のタイミングがやってくるわけです(避妊去勢手術の理想のタイミングは第二次性徴期を迎える直前といわれているので)。
さて、冒頭の質問に対しては、まずは私のパートナー・ドッグの話を聞いてもらうところから始めます。
ここ24年の変化
今は亡き初代パートナーのプーのときには、1泊入院、術後エリザベスカラーをつけ抜糸まではなるべく安静にと指導されたように記憶しています。抜糸までは約1週間。その間、途中傷の着き具合などを見るために1回通院。24年前の話です。
ダップのときはどうかというと、1泊入院で抜糸までは1週間、エリザベスカラーをつけることは変わらなかったのですが、それ以外は、生活面での注意は受けませんでした。こちらは15年前の話。
そして鉄三郎(通称・鉄)。鉄の場合は、11年前。即日退院。エリザベスカラーも、術後着もなし。抜糸も生活面での注意もとくにありませんでした。
抜糸がないのは、溶ける糸を使用するから。それも皮膚の外側に糸が出ないように縫い込むので、糸を噛み切られる心配がない。よって、エリザベスカラーも必要ない、ということです。
獣医療の進化は確実にあるのだが
なぜ時代が進むごとにいろいろ変わってきたかというと、まずは手術方法が進化しているということ。それに人間と同様、なるべく術後なるべく体を動かした方が回復が早い、という考えに変わってきたからだと思います。
獣医療が進化し考え方も変化したとはいえ、これ、病院によって違う。
24年前のプーの時代には、抜糸まで1週間は安静という病院が多かったように思います。一方でついこの間、かかりつけの病院で次のように言われたという飼い主もいました。「抜糸まで場合によっては2週間、それまでは安静」と。
過去のコラムで、「人間なら1カ月入院が普通の開胸手術でも、5日で退院、生活も今まで通りでいい」とされた、パートナー・ドッグの鉄の手術の話をしました。昨年の話です。
子宮卵巣を摘出して、その翌々日にはクラスに参加した犬がいるという話もしました。こちらの方は最近の話ではなく、20年以上前の話でしたね。
時代の問題かというと、そうでもないということです。
どの病院を選ぶかで異なる
手術方法、術後の考え方などで病院を選ぶことも可能なわけですが、いままで診てもらっていた病院との関係を今後も維持したいのであれば、それは難しいともいえます。
費用の問題もあるでしょう。
どの病院を選ぶかはさまざまな要素を総合的に見て、最終的には飼い主が自ら判断するしかない。
ということは、「クラスをどのくらい休まないといけないか」の答えは、病院次第、そしてさらにはどの病院を選ぶかを決める飼い主次第ってこと?
それってなんか質問の答えになってないんじゃないか?って……。
実はですね、私の教室ではあらかじめ手術の予定、獣医師の指示がわかっている場合は、その期間を外してクラスの日程を組みます。ですから途中でお休みするってことが起きにくいのですよ。
え、それを早く言えって?
おっしゃる通り。でも、いろいろ参考にはなると思うのですよ、私のパートナー・ドッグたちのお話は。
写真/Can! Do! Pet Dog School提供
https://cando4115.com/index.html
西川文二氏 プロフィール
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